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でき太くん三澤のひとりごと その162

◇  小さな積み重ね


先だって、知人の紹介で大学で先生をされているアメリカ人の方とお会いする機会がありました。

その先生は幼児教育を専門とされているそうです。
大学で教鞭をとるまでは、通訳や翻訳などで生計を立てていたようです。(幼児期の英語教育において、私と若干相違点があるように思いましたが、この点はまたお会いしたときにお話ししたいと考えております)

そのアメリカ人の先生は、長野県の中でも特に自然豊かな富士見町の山奥に住んでいます。地元の方でもだれも立ち入らないような山奥の広い敷地を購入し、そこに家を建てています。

20年以上前に建てられたお家とのことですが、東京のデザイナーさんがデザインしたお家とのことで、今もデザイン的に古さはまったく感じません。

日本でありながら海外にいるような、そんな感覚がするお宅でした。できれば、ここを事務所にしたい。そう思わせる素敵なお宅でした。

ですが、そこは山奥。
冬になれば、車も入ることが困難な場所になります。

その先生は、長野に移住して20年以上経つとのことですが、長野の冬にはなかなか慣れることができず、今年の12月から3月くらいまではフィリピンで過ごす予定とのことでした。

その気持ちは、よくわかります。

私も長野に移住して、早いもので20年近く経ちますが、まだ長野の冬には慣れません。

子どもの頃、マイナスの気温の世界を体験していない東京の下町育ちの軟弱な身体にはきついです。「毎日がマイナスの世界」という冷蔵庫の中のような長野の冬の気候は、ある意味拷問のように感じることすらあります。

でも、その冬の厳しさがあるからこそ、春の訪れを理屈抜きで、喜びとして感じることができます。
(長野の夏は、これ以上ないというほど過ごしやすく、私の自宅には今もエアコンはありません。東京が猛暑というニュースのある日でもエアコンの必要性を感じたことはありません)


さて、今回のひとりごとのテーマは「小さな積み重ね」についてです。

私は、日々何気ない日常を過ごしている中でも、小さな積み重ねをしていると考えています。

日々の何気ない日常の多くは、「現状の連続」です。
昨日とあまり変化のない自分。昨日と同じセルフイメージの自分が過ごす日常です。

自分をすべて全肯定しているような、すばらしいセルフイメージの方であれば、その「現状の連続」は、充実した日々の連続となると思います。しかし、ちょっとでもセルフイメージにマイナス的な要素があって、そこに変化を与えようとしない方であれば、そのマイナス的な要素を引きずったまま、日々の何気ない日常を体験することになります。つまり、日々知らず知らずのうちにマイナスを上塗りしていくわけです。

ここで少し、セルフイメージにマイナス的な要素がある方の内面についてふれてみましょう。

たとえばここに、これまでの自分のスキルではすぐに対応できないような仕事を提案されたAさんという社会人の方がいたとします。

Aさんは学生時代からあまり自信はなく、セルフイメージにもマイナス的な要素が多々ある方です。

Aさんにある日、上司が大きな仕事の話を持ってきました。これまでのAさんのスキルでは対応できないかもしれない大きな案件です。

でも上司は、日々のAさんの真面目な働きぶりをみて、「こいつにチャレンジさせたい!」と思って持ってきた案件でした。

ですがAさんは、「これは自分には荷が重すぎる。自分のスキルでは無理かもしれない。この案件は経験もスキルもあるBさんに任せたほうがよい」。

そう思って、Aさんは上司にBさんにこの案件を任せるように話をしました。

真面目な働きぶりをするAさんなら言いそうな話です。
Aさんの姿勢は間違ってはいないと思います。

しかし、ここでAさんは「上塗り」をしています。

一見、だれの目からも見ても正論といえる話の中で、「自分には無理かもしれない」、「自分のスキル、経験の域を超えているものはできない」という、マイナス的なイメージを「上塗り」しました。

これによってAさんのセルフイメージは、知らないうちにマイナス的な上塗りをしてしまったことになります。

本当にAさんには無理だったのでしょうか。
本当にAさんのスキル、経験の域を超えているものなのでしょうか。

少し怖いのは、こういう「上塗り」に気づいている人は少ないということです。

きっとAさんは、常識的に考えて正しい選択をしたと思っているでしょう。自分が失敗して会社に迷惑をかけるよりは、経験もスキルもあるBさんがやったほうが、会社にとってもプラスになると考えているでしょう。まさか今回の選択が「上塗り」とは考えられないと思います。では、このAさんは、5年後、10年後、今回のような案件の話がきたときに、「時は来た!今こそ自分の出番だ!」と感じ、積極的に取り組むことができるでしょうか。

おそらく、しないと思います。

何かAさんの人生を変えるような大きな出来事(セルフイメージをガラリと変えてしまうような出来事)がない限り、Aさんは何気ない日常の中で小さな積み重ねをし、おそらく5年後も同じような選択をするように思います。そしてそのときも、「この決断が分相応」だと思うのではないでしょうか。

もしAさんが、上司からの提案を受けたとしたら、どうなるでしょう。

「昨日までの自分」であれば断っていたような案件を、もしチャレンジしたら、どうなるのでしょう。

「やってみよう!挑戦してみよう!上司の期待にこたえてみよう!」と思いチャレンジしたら、Aさんはどうなるのでしょう。

きっと、マイナスの「上塗り」ではなく、果敢にチャレンジしたプラスの「上塗り」となるはずです。

このプラスの上塗りによって、Aさんのセルフイメージは変わってきます。

もしこの案件が成功したら、Aさんのセルフイメージには確実に変化が起きています。

休日は疲れていつもダラダラと家で過ごしていたのに、アウトドアを友人たちと過ごすようなアクティブな人になるかもしれません。おそらく「昨日までの自分」がしてこなかったようなことに、どんどんチャレンジするようになると思います。


これは子どもにも言えることです。

子どもも、日々何気ない日常の中で色々なことを「上塗り」していると思います。

今日学習を進めていたら、ちょっとわからないことがあった。

「この問題ができないのは、ぼくがバカだからかな」と思ったら、それは小さなマイナスの自己評価の「上塗り」となります。

これがもし365日続いたら、その子のセルフイメージはどうなるでしょう。

おそらくその子も気づかないうちに、「自分はダメだ」、「自分はたいしたことない」、「自分はバカなんだ」というセルフイメージを持つようになると思います。

いつも子どもの側にいる私たちに必要なことは、日々子どもは知らず知らずのうちに「上塗り」していることを想定して、プラスの声かけや、声にしない心の言葉(意識)を伝え続けることだと思います。

「だいじょうぶ!あなたならできる!」

「だいじょうぶ!あなたにはすばらしい能力があるよ!」

という言葉を伝え続けることが、大切なことのように思います。

これも「小さな積み重ね」のひとつだと思います。

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