「俺的パラグライダーのテイクオフの極意」の追記
前回書いた「私の考えるパラグライダーのテイクオフの極意」ですが、公開後すぐにある方から連絡がきました。私が書いた内容の一部に対して、「ここは違うのでは?」という連絡でした。
その部分は
「無風、微フォロー風の時はいつもの立ち位置より1歩か2歩下がったところから走り出すようにしよう。そうすることでよりAラインが一気に引かれるので、より立ち上がりやすくなる。」
と書いた部分です。その方には
「どうして1,2歩下がったほうがいいの?どうして急激に引かれる事が早く立ち上がる事に繋がるの?」
と聞かれたのですが、私自身明確な答えを返答することができませんでした。練習生の頃にそうした方がいいと教えられました。そこに疑いをもったり、自分なりの検証もしないままだったなと気付かされました。
その方は「1,2歩下がるのはむしろデメリットの方が大きい」と考えていました。
理由は主に2つ。
・左右のライザーが均等に引かれづらくなる。また、ちょっとのズレが大きな差になりやすい。
・翼内のラム圧が安定して上がっていかないので翼型がきれいに作られていかない。結果、立ち上がりは遅くなる。
解説をしていきます。
まず左右均等の話ですが、そもそも立ち上げ時に完璧に左右均等に引くこと自体が難しいです。立ち位置の微妙な違いや手の微妙な位置の違いがどうしても出てしまいます。いつも通り、スムーズに引く分にはその微妙な魅かれ方の違いの影響は出づらいと思います。しかし、1,2歩下がるとAラインはガン!と一気に引かれることになります。そうなると左右の微妙な引かれ方の違いがより顕著に翼に現れてしまいます。例えは右側が一瞬早く引かれたとすると、右側は翼が一気に膨らんでいきます。そこから更に一歩前へ踏み込み、左右のが均等になったとしても、初動の差の分はある程度継続されてしまいます。なので右翼が一歩先を行った状態が続き、傾いていってしまいます。1,2歩下がり、ガン!と引いてしまうと、翼はどうしても左右に傾きやすくなってしまいます。
続いてラム圧の話です。
まず翼を立ち上げる時に翼がどう変化していくのかのを自分は以下のように理解しています。
Aライザー(Aライン)を引く→エアインテイクから翼に空気が入る→ラム圧が上がる→翼の形が作られていく→揚力が発生する→揚力分、翼が前に進もうとする+Aラインやカラビナから他のラインが引かれることで上がる力も働いています(凧の原理)→立ち上がって、翼が頭上に来る
なのでラム圧は左右均等に、スムーズに上がっていったほうが翼は綺麗に成形されていくのは想像してもらえるかと思います。
翼が綺麗に成形されていく→揚力もスムーズに発生していく→スムーズに翼が立ち上がっていく→結果、素早く翼が立ち上がる
となるわけです。
一方、1,2歩下がったところから走り出し、「ガン!」と引いた場合はどうなるか。ガン!とテンションがかかった瞬間はラム圧が急激に上昇します。まず先述したとおり、左右のテンションが均等にかかりにくいデメリットがあります。更に、ガン!の初動で急激にラム圧が上がるものの、直後はその反動でラム圧の上がり方は一旦急激に弱まってしまいます。その後は本人は走りつづけているので、そこからまたラム圧が上がるくるわけです。
つまり、翼へのテンションのかかり方や、ラム圧の変化が安定しません。そのため翼の整形はスムーズにならず、揚力の発生も遅くなります。なので1,2歩下がっても翼を早く立ち上げることにはつながらない。
ということだと、その方の話から私は理解しています。
これに関しては自分の勉強不足だったなと痛感しています。練習生の頃に言われたことを鵜呑みにしてしまっていました。「なぜそうなのか?」ということを自分なりの答えを考えたり、実際に検証していませんでした。それなのに、Noteにそれっぽく偉そうに書いてしまいました。すみませんでした。。。
また、指摘していただいた方と話をしている中で、前回の投稿で勘違いし易い部分があったのでそこも追記します。さっくり言うと、
無風、微フォローの時に「しっかり走れ!」と言ったのは頭上安定後の加速→テイクオフの話であって、立ち上げ→頭上安定までの過程は翼の特性によって適切なスピードがそれぞれにある。
という話です。
無風、微フォローの場合は風がない、風が後ろから吹いている分の速度を自分の足で稼ぐ必要があるので、頭上安定後の加速→テイクオフは自分が速く走ることで翼の対気速度上げて、揚力をしっかり発生させなければいけません。
一方、立ち上げから頭上安定までは全力で走った方がいいのかというと、必ずそうなるとは限りません。むしろ多くの場合はもっと遅い方がよかったり、途中でスピードを緩める方がいいかと思います。
立ち上げの目標は頭上に翼を持ってくることですが、自分がどんどん走って前に出てしまうと翼に対して自分の位置が前になり続ける形になります。なので場合によって翼が前に来やすくなるよう、翼が整形されたら(45度あたりから)一旦、走る足を緩めたり、止めたりして翼が頭上に来るまで待ったほうがいい機体もあります。そうすることで頭上安定までには必要な歩数が少なくなり、頭上安定から加速するのに使えるテイクオフのスペースも増えるのでより効率的です。
効率よく頭上安定までに持っていくのに必要なスピードや歩数、途中でどれくらい緩めるかは翼の特性によってそれぞれ違うので、自分の機体で色々と試してください。
ということで、無風や微フォローの時に1,2歩下がったほうがいいという話は私の間違いでした。ここで改めさせていただきます。
また追記として、立ち上げ→頭上安定までは全速力で走ればいいというものではない。翼の特性にあわせて効率よく立ち上がる方法があります。ということもお話しました。
以上を前回投稿の追記とさせて頂きます。
こうやって発信をしていくと、直接意見をくれる人もいて、自分の新たな学びになってすごくいいです。
考えや意見が変わっていく過程も見守って頂けたらと思います。
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