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入院時の心得「3ヶ月の入院で学んだこと、気付いた大切なこと」 ~第50話 パラグライダーで墜落 そして入院~

今回書く内容は是非皆さんに読んでほしい投稿です。
題して「入院時の心得」です。

パラグライダーの墜落で大怪我をし、3ヶ月入院しました。3ヶ月も入院をすると、いろんなことがあります。そういった出来事から学んだこと、気付いたことの中でも自分が「入院する前から知ってたらよかったな」と思うことをまとめました。

先に言うと、今回の投稿はかなり長いです。Noteの特性上、何回かに分けて書いたほうがいいんだろうなと思っています。でも読んでくれた人にとって役に立つ投稿にすることを優先するべきだと考えました。なので一つの投稿にまとめました。興味のある部分から読んでもらったり、日に分けて少しづつ読むのもいいと思います。是非読んで頂けたらと思います。

なぜなら、、、人間何があるかわかりません。
明日、大怪我をして入院するかもしれません。病気が原因で急に倒れて入院する可能性もゼロではないはずです。そんな時に、この投稿に書いてある「入院時の心得」や「病院での生活のコツ」を知っていたら、治療や入院中の生活に大きな違いを生むだけでなく、自分の身を守ることにつながると思っています。

ちゃんと言っていることを理解してもらいたいので、私の体験談なども踏まえながら話していきます。その分さらに長くなっていますが、みんなにとって為になる情報もあるかと思いますので、読んでみて下さい。

それではどうぞ!


心得1 受け身になるな。第一の主治医は自分自身。

まずは最も大切な心得からです。
自分の怪我や病気をきちんと治していくにあたり、一番重要なのは自分自身です。自分の事なんだから、しっかり把握するべきだという事です。もちろん医者ではないので把握できる事に限界が出てくる部分はあるかもしれません。それでも可能な範囲でいいので調べてみたり、勉強したほうがいいです。今はスマホという便利な道具もありますしね。
言っていることは当たり前のことではありますが、ちゃんと意識して行動していかないとなかなかできない事かなと思っています。
今回の入院で自分がした行動と、そのおかげでプラスに働いた出来事を紹介していきます。

医師が書いてくれた怪我の解説の紙

私の場合はラッキーでした。自分の怪我の事を把握するすごくいいきっかけがあったんです。担当医師が怪我の解説をまとめた紙をわざわざ作ってくれたんです。

私が県外で墜落事故をおこした後、すぐにドクターヘリで搬送されて、近くの県立の大きな病院での緊急手術を受けました。そしてその10日後に実家(愛知)の近くの大きな病院へ転院しました。その転院する時に緊急手術をしてくれた先生が解説の紙を私に託してくれました。A4の紙2枚に情報がまとめられていました。
・怪我の正式名称
・今の怪我の状態
・今後の治療について
・していい動きと、していけない動き
・その他の注意点
といった内容がわかりやすく書かれていました。この紙は本当にありがたかったです。4箇所も骨折しているので、かなりの情報量です。その解説を忙しい中で作ってくれたのは本当にありがたかったです。内容はとてもわかりやすく書かれていましたし、怪我の正式名称なども書かれていたので、あとから自分で調べるのも容易でした。

ただ、この緊急手術は応急処置的な手術でした。ひどく骨折した腰、骨盤、踵はそれぞれもう一度手術が必要な状況だったのです。なので解説の紙には「たぶんこうなっていくと思うけど、追加手術の結果次第なところがあります。だからはっきりしたことは言えません」と書かれている部分が多かったのです。

実家近くの病院へ転院後、更に2回の追加手術がありました。1回目に踵と骨盤の手術。2回目に腰の手術が行われました。この2回の手術のあと、主治医にお願いをしました。
「緊急手術をしてくれた先生はこういう怪我の解説の紙を作ってくれたんです。こんなお願いは恐縮なんですが、先生もこういう解説の紙を作って頂けないでしょうか?大きな怪我なので、どうしてもちゃんと自分で把握しておきたいんです。先生が忙しいのはわかっています。急いでないので、お時間のある時に作って頂けないでしょうか?」
先生は快く受けてくださいました。
(先生、本当にありがとうございました。)  

何日かして、先生は解説の紙を作って持ってきてくれました。とてもわかり易かったです。そして、、、やっぱり作ってもらって大正解でした。自分が把握していなかった重要な事が書かれていました。それは、1〜2年後にもう一度手術を予定しているということです。腰に入っている金属の一部を取り除く手術です。その手術をしてからでないと通常レベルの運動はしてはいけないというものでした。
ちなみに「パラグライダーに乗るのはこの手術をするまでだめだよ。」とも明記されていて、泣きました(笑)
「なるべく早く体を治して、東京に戻らなきゃ。仕事も早く再開したいし、パラグライダーにもなるべく早く復帰したいな」と漠然と思っていたんですけどね、、、。
「死にかけた代償はそんなに安くはないよ。あなたの考えているよりも大変だし、時間もかかるよ。」ということを思い知らされました。
体が治ったらすぐに東京に戻って仕事復帰をする。そう漠然と思い描いていた計画は不可能であり、愛知での生活基盤をつくるらなくてはいけない。ライフプランを大きく修正せざるを得ないんだと言うことが先生に作ってもらった解説の紙で早い段階でわかったのはすごくよかったです。

さてさて、ちょっと長くなってしまいましたね。まとめると
自分の怪我や病気についての解説の紙を主治医に作ってもらうのはかなりオススメ
ということです。
そんな状況にならないのがベストではありますが、もしもそうなってしまった場合は作ってもらう事を是非検討してみてください。

続けてもう一つ話があります。実は、、、この解説の紙を作ってもらい、自分の怪我のことをしっかり把握していて本当に良かったという出来事が持つ一つあったんです。。。

レントゲン撮影でのインシデント

この出来事があったのは腰の追加手術をした2日後だったと記憶しています。手術で潰れた腰椎に金属が入れられたのですが、その結果を確認する為にレントゲンを撮りにいった時の事です。この頃、私は下腹から胸あたりまであるガッシリとした医療用コルセットを常にしていました。まだ腰を曲げていけない状態だったからです。コルセットも基本的に外さないでと医者から言われていました。

そんな手術後の体で、術創がまだかなり痛い状態でのレントゲン撮影でした。レントゲン室3つか4つ並ぶホールには患者がかなりいて、とても混んでいました。名前を呼ばれてレントゲン室に入ると、レントゲン技師さんが3人いたのですが、どの人もかなり忙しそうにしていました。そんな中で言われました。
「まず立った状態でレントゲン撮りますねー。コルセット外してそこに立ってくださーい。」
あまりにも当たり前に、軽い感じで言われたので私は違和感を覚えました。
もしかして俺の怪我のこと、ちゃんと把握していないかも、、、?ちゃんとカルテ読んでないかも?
と直感的に思い、念の為聞いてみます。
「先生からコルセットを外してはだめだと言われてるんですが、外していいんですか?先生の許可おりてるんですか?」
聞いたところ、許可はとっていないとの返答でした。「コルセットは許可なしてとっていいものなのですか?」と聞くと、すぐに主治医に電話をしてくれて許可をとってくれました。おかげで立った状態でのレントゲン撮影はスムーズに終わりました。

信じられないのはこの後言われた言葉でした。
「はい、では次は寝転んでレントゲンを撮りますね。そのままそこに寝転がってください。」
私は思いました。
「え!?それは絶対にだめでしょ。レントゲン台に座る時も、寝転がろうとする時も腰が必ず曲がってしまうじゃん。コルセットつけて寝転がって、その後外さないと危ないじゃん!!!」
この時、現場にいた3人のレントゲン技師、全員がカルテをまともに読んでいなくて、私の怪我のことをちゃんと把握していないと確信しました。
なので、
「主治医から絶対に腰を曲げるなと言われているので、一旦コルセットをつけて寝転がって、それからコルセットをはずしますね。」とレントゲン技師に伝えてレントゲンを撮りました。
心の中では「いや、ヤバすぎでしょ。どうなってんだよ、、、この感じの対応だと事故が起きてもおかしくないよな、、、。」と思ってしまいました。

病院だからと、任せきってしまうのは危険。自分で把握しているから、自分を守れる。

あの運用方法は事故がおきる危険性があり、自分は結構危なかったということを翌日にリハビリ担当の療法士さんに伝えました。衝撃的な返答が帰ってきました。実はちょっと前に既に事故が起きていたらしいんです。

なんでも踵を骨折した人の足をレントゲンの撮影のために台に乗せる時に手を離してしまったらしいのです。力を抜いていた患者の踵は台に「ドン」と当たってしまい、再骨折させてしまったとのことでした。

レントゲン技師さんたちの様子から推測するに、あまりにも患者が多すぎて、カルテをしっかり見て丁寧に対応する余裕がないのだろうと思います。本来はあってはならないことのはずなんですけどね、、、。いろんな事情から現実問題は忙しすぎて、カルテを見る余裕はなくなってしまうのでしょう。。。

この経験から学んだこと、それは
院内のスタッフは多くの人がちゃんと患者と向き合い、とても頑張ってくださっています。ですがスタッフは大勢います。残念ながら、全員がちゃんとしているわけではないみたいです。そして、入院中はそういう人とも関わらなければいけない場面がどうしてもでてきます。また、スタッフはちゃんとしていても病院内の組織間の連携や情報共有がうまくいかなかったり、運用方法に悪い部分があって、上手く機能していないことがあるようです。残念ながら患者は場合によってはこの様な人的、組織的な弱点の溝に運悪く落ちてしまうことがある。そう。病院ではすべてが安心というわけではありません。そういった状況になってしまっても、自分の身を守れるのは自分です。だから自分の怪我や病気の事、治療法そして注意点などをしっかりと把握しておいたほうがいい。それが自分の身を守ることになる。
ということです。

この2つの出来事から、重大な怪我や病気であればあるほど、ちゃんと自分が把握しているのかは重要なことなのだと痛感しました。

まとめると、
入院しているのは自分です。そして自分の身体のことです。まずは自分自身が第一の主治医だという気持ちを持ちましょう。受け身にならず、能動的に情報を集めていきましょう。具体的にはまず担当医や担当看護師、担当療法士の力を積極的に借りていくのがいいと思います。可能であればそういった情報のまとめられた紙を作ってもらうことをおすすめします。そうやって自分の症状や治療の事を把握している事が治療を早めることになりますし、場合によっては自分の身体を守ることにも繋がります。
というところでしょうか。


心得2 患者としてどうあるべきかを考える

次にお話するのも前章と繋がってくるお話です。前章はざっくり言ってしまえば、治療に対して受け身にならないほうがいいというお話でした。この章ではそのスタンスをさらに一歩前に進めて行けるといいよねという話です。

患者として自分がどうあるべきかを考えて行動していけると自分にとっても周りにとってもプラスになると思います。自分は患者としてどうあるべきかという点で、大きく分けて2つの事を意識していました。
リハビリを頑張る。
・なるべく看護師の仕事を増やさない。
ということです。

リハビリを頑張る

まず一番大切な事は、リハビリが必要な人は頑張ってリハビリをしていこうってことです。体が悪くなって入院しているのですから、なるべく早く体を治していくべきです。当たり前の事なんですが、これが結構難しいです。入院中は肉体的にも精神的にもとても辛い時です。自分の場合、特に初期は体の至る所が痛い、思い通りに動かすことができない、トイレにすら自分で行けない、という状態でした。精神面でも、どれくらい後遺症が残るのか?事故で失ったものをどれだけ取り戻すことができるのか?社会復帰にどれくらいかかるのか?復帰後に仕事をちゃんと軌道にのせられるのか?そして、、、また飛べるようになるのか?将来に対する不安は尽きませんでした。頑張らなきゃいけないと頭ではわかっていても、どうしても頑張れない時がでてきてしまいます。


入院中の辛い時、支えてくれた言葉

そんな辛い時、自分に言い聞かせていた言葉があります。その言葉は退院してしばらく経った今でもずっと意識していて、心の支えになっています。

「毎日順調に前に進めたらいいけれど、人生そんなに思い通りにはいかない。どうしても進めない日があるのはしょうがない。そんな時は無理に頑張って前に進まなくてもいい。進むんじゃなくて、ちょっとだけ前にズレる。それくらいでいい。1mmでも、毎日ちょっとずれていければ、どこかで違いを生むはず。次に繫がっていくばす。」

こう思うことで、随分と楽になりました。
上手く進めなかった日は「今日はちょっと前にずれられたからOK。十分頑張った。明日に繋がった。」と自分に語りかけました。そう思って開き直ると、不思議とすごく頑張れて、前に進めたりする時がおのず数日後にやっててくることがよくありました。

人間そんなものなんでしょう。自分の思い描くペースはゆっくりに設定したつもりでもハイペースすぎることがおおいんでしょうね。大切なのはゆっくりでも、亀のペースでも長期的にみて進めているかどうかを大切にすることが大切なんだなと気付かされました。


なるべく看護師の仕事を増やさない

入院中は色んなことがあります。そして、つらい日々を過ごしているのでどうしても人に甘えてしまいたくなる。そんな時、真っ先に支えてくれるのは看護師です。3ヶ月も入院していると自分と看護師の関わりだけでなく、他の患者と看護師の関わりなんかも見えてくるようになります。そして、看護師の仕事の範囲の広さ、仕事の量、その大変さがみえてきました。本当に頭が下がる思いです。

興味がある方はコチラを読んでみてください↓

仕事があまりに多い理由、その一つに日本の文化としてサービスが過剰になりすぎていることも関係しているんだろうなと思います。患者側がどこかでお客様気分になりすぎているところがあるんだと思います。だから看護師の仕事の範囲外のお願いもしてしまう。看護師の方もその要望に対してNOと言えない。そういった構図で看護師は本来やらなくてもいい仕事までやることが当たり前になっている部分があるんだと思います。だから看護師の仕事量がとんでもないことになっているんだと思います。

でもそれって、患者側にとっても、病院側にとっても、すごくマイナスだと思います。本来やるべき仕事に集中してもらうべきです。雑用のような仕事に追われるのではなく、患者のケアや体調管理に注力するべきです。

具体的にやったこと

ではそのために自分に何ができるのか。
不必要に看護師の仕事を増やさないということだと思いました。つまり、自分でできることは自分でやっていこうということです。

具体的には最初はちょっとした心がけからはじめました。
入院当初は創外固定されていましたし、その後もあまり自由に体を動かせませんでした。ベッドの下に物を落とすと自分では拾うことができません。ナースコールをして拾ってもらうことになってしまいます。だからベッドの下に落とさないように気をつけていました。

体がだんだん動くようになると、自分で起き上がれるようになりました。ですが腰を曲げられないし、足も思うように曲げることができません。なので着替える時に自分でズボンを履くことができませんでした。なのでアマゾンでマジックハンドを購入し親に病室へ持ってきてもらいました。マジックハンドがあれば、自分でズボンを履くことができます。着替えるためにナースコールをしなくてすむようになりました。しかも、このマジックハンドでベッドの下に何か落としても拾えるようになりました。もっと早くそれに気づいてマジックハンドを入院直後に買うべきだったなと思ったりもしました(苦笑)

実はこのマジックハンドで着替えるのを早い段階で自分でやっていたせいでカルテに「着替えは自分で可能」と書かれていました。そのせいで退位後に申請した生命保険の保険料が超おおきく変わりそうになるという事件があったんです。それは後日、「保険についての話」を書こうと思っていますので、そこで綴らせてもらいます。

更に時間が経つと、体もだんだん動くようになっていきました。リハビリもその分、ハードなものになっていきました。結果、毎回汗だくになります。病院着が汗でベタベタに。。。苦笑 本来ならナースコールをして着替えを持ってきてもらう→着替える→またナースコールをして汚れた病院着を回収してもらうという流れになります。でもそんなの自分でできるじゃないですか。なので看護師に交渉しました。病院着がある場所を教えてもらい、汚れた病院着を入れるボックスのある場所も教えてもらいました。本来ボックスのある場所は患者は立ち入り禁止らしいのですが、入口すぐで間違えようのない感じでした。なので看護師さんと話をして特別に許可をもらいました。許可をもらってからは自分で着替えを確保して、自分でボックスに入れていました。

自分でできることは工夫してやっていこう

具体的に何をしたかの代表的な話をしていきましたが、まとめると、
「自分でできることは工夫してやっていこう」
ということです。これも当たり前のことだとは思います。でも入院中ってどうしても甘えてしまう部分があります。そこで意識をして、自分を律していくことはかなり大切なことなんじゃないかなと思います。ポジティブに考えると、自分にとってちょっと大変なことでも頑張ってやることでその行動自体がリハビリになる部分もあるかと思います。

自分のいた病棟(フロア)には患者が60名ほどいました。一人ひとりがそうやって意識して自分のことをなるべく自分でやるようにすれば全体の仕事量はかなり減るはずです。そうすれば看護師は本来の仕事に集中できます。それは患者みんなにとってもプラスになるんじゃないかと思っています。

まとめると、
患者としてどうあるべきかを考えていこう。治療のために自分でできることは頑張ってやっていこう。リハビリが必要な人はちゃんとリハビリを頑張ってやっていこう。また、自分の身の回りのことはなるべく自分でやるようにしていこう。それが自分のためにもなるし、周りの患者のためにもなる。
といったところでしょうか。


心得3 諦めなければいけない事もある。自分で選択していくことが大切。


すべてが元通りに、思い通りになる道があるといいんですけどね、、、。残念ながらそうならないことはありますよね。いや、むしろ肝心な事に限って思い通りにいかないものです。きっと人生はそんなものなのでしょう。

自分の場合は少し後遺症が残ってしまいました。主に左足の表面に麻痺感覚が残っています。左足は常に痺れを感じています。暖かい部屋からすごく寒い外に出た時に筋肉がキュっとなる感覚を経験したことあると思うのですが、あのキュっとする感覚がずーっとあるような感じです。また、痺れ度合いも場所によってまちまちです。太ももの外側なんかは優しく触ってもほとんどわかりません。ただ中の方は感覚があるので、手でペチペチ叩いたりして刺激が肌の奥の方まで行くと感じます。

あれだけの大怪我でしたからね。運動系の神経にダメージがなくて普通に動ける時点で奇跡です。スーパーラッキーです。左足表面の麻痺感覚は割り切るしかないですよね。

割り切る力とその覚悟

歩行をはじめとする様々な運動が不自由になるのと、足の表面の麻痺感覚が残るの、どちらを選ぶ?と言われれば、みんな返答は同じ後者を選ぶはずです。これに関しては迷いはありませんでし、麻痺感覚が残ってしまったことをいつまでも考えていてもよくありません。何が言いたいかというと、
何かを割り切っていく力を持つことだったり、その時にすぐ覚悟を決められることはすごく大事だよね。
と今回の事故と入院を通して改めて強く思いました。

具体的な出来事としては実家近くの病院へ搬送される車内の話があります。術創や創外固定された骨盤が車の振動でかなり痛みました。それとは別に腰の奥の方にも慢性的な痛みがありました。この時は術創と創外固定の痛みがより辛かったので、色々な寝る体勢を試してみました。その中で創外固定の痛みは少なくなるけど腰がじわじわ痛くなってくるポジションを見つけました。搬送先の病院に到着すれば術創と創外固定の振動痛はなくなるので、病室のベッドでゆっくり腰をケアできる。それがトータルで一番辛くないだろうだと判断し、そのポジションで搬送されることを選びました。

まぁ、、、病院についたら、翌日の踵の手術のため、むくみをとるために左足を上げた状態で寝てほしいと言われまして、、、。それが腰が余計痛くなる体勢で結果的に二重苦となってしまったんですけどね。。。先にその情報がほしかった、、、とは思いますが、搬送時には知り得ないことです。
「搬送中の判断は間違っていなかった。ここはもう腹くくるしかない。なんとか明日まで耐えるしかない」
と気持ちを切り替えられたのは割り切る気持ちと覚悟をもって自分が搬送時のポジションを決めたからだと思います。

代表的な例として搬送の話をしましたが、入院中は他にも色んな場面でどちらかを選ばなきゃいけないことがありました。たぶん、入院中はそういうものなんだと思います。

ここで「どちらも大事。どっちかなんて選びたくないし、選べない。そんなの納得いかない。」というスタンスになってしまうと中途半端な状態になり、一番良くない方向に向かってしまうと思います。

物事は密接に、かつ複雑に絡み合っていることが多いです。すべてが解決できる道があればいいのですが、「あちら立てればこちらが立たぬ」という状況になることはよくあります。どちらも大切な時ほど、選択することができなくなってしまい、立ちすくんでしまうことがありますよね。

気をつけなければいけないのは、こういう時はどちらも選べなかったり、選ぶ判断が遅れることで弊害やダメージが大きくなってしまうことが多いということです。こういう時だからこそ、腹をくくって選ぶことが重要です。

こんな時に心がけていること

こんな時に私が意識していることが2つあります。
・二兎追うもの、一兎も得ず
・選んだ方を全力で大切にする
言葉にするとシンプルですが、その解釈の仕方というか、どう捉えているかがちょっとユニークかなと思います。
それぞれを解説していきますね。

一方を確保してから、もう一方を取れるかトライしてみる

「二兎追うもの、一兎も得ず」ということわざがあります。
今話していることにまさに当てはまります。両方を得ようとして、結果的にどちらも得られなくなることは一番避けるべき事態です。なので割り切ってどちらかを選ぶという部分はことわざと同じです。でも私の場合、その後のスタンスというか心構えがちょっと違うかなと思っています。

「一方を確保した後、もう一方を可能な範囲で得られないかトライしてみる。」

ということを意識しています。
それで得られたらラッキーですし、たとえ得られなくても、もう一方も得ようとトライしているので、だめでも納得感が強まります。この考え方をするだけでも、どちらかを選んで一歩前に出る勇気がかなり出やすくなるかなと思います。

選んだ方を全力で大切にする

選んだ後の心の持ちようも非常に重要だと思います。そこで自分が意識しているのは選んだ方を全力で大切にするということです。この考えは学生の時に読んだ高橋歩さんの本から影響を受けています。うる覚えですが、本にはこう書かれていました。

二人の少年が売店でアイスクリームを買おうとしていました。アイスクリームはバニラ味とチョコ味があります。出来れば両方を食べたい。でも片方を買うお金しか持っていません。Aくんはバニラ味を、Bくんはチョコ味を選びました。
Aくんはバニラアイスを食べながら、「バニラも美味しいけど、チョコの方が良かったかなー?チョコもやっぱり気になるなぁ、、、。」と思っていました。一方のBくんはチョコアイスを食べながらシンプルに「うん!チョコアイス美味い!!」と思っていました。

AとB、どちらの少年がよりアイスを美味しく食べられるかは明白ですよね。

どうせ片方しか選べないのなら、両方を選べないことを嘆いていてもしょうがありません。割り切って片方を思いっきり楽しんだほうがいい。そういう心持ちで選択をする人のほうが、選んだ方を大切にできるし、思いっきり楽しむ事ができる。アイスの例え話ではありましたが、人生は選択の連続です。その後の一生を大きく変える選択だってあるはずです。そんな時にこの心持ちを持っている人の人生はきっと豊かなものになっていくと思います。

かなり長くなってしまいましたが、まとめると、
入院中にも色んな場面で選択を迫られる事はある。そういう時に一番避けるべきなのは選択できずに立ち止まってしまうこと。どうしても勇気をもって決断や選択をしなければいけない場面はある。
そんな時には
・一方を確保した後、もう一方を可能な範囲で得られないかトライしてみる。
・選んだほうを全力で大切にする

ということを意識すると勇気を選択しやすくなるかもしれない。
といったところでしょうか。

心得4 自分から主張し、工夫し、快適を作っていく

入院中はいろんな細かい問題が起きます。それは不快感につながってしまうものも結構あります。看護師をはじめとするスタッフの方たちは入院生活がなるべく快適になるように配慮してくれますが、すべてを分かってもらうことは不可能です。なので大前提として、そういった不快感や細かい問題を自ら解決していくスタンスをもって入院生活を送っていく必要があると思います。

具体的に私が抱えていた問題で代表的なものとして
・入院初期の痛み
・持病のアトピーからくるかゆみと不眠
・病院の暑さ
といったものがありました。

自分の中では当たり前になっていて、困っていることでも、そのことを担当の看護師さんがわかっているとは限りません。 担当の看護師でも把握していないことは結構あります。何か不快なこと、困っていることがあるのなら、まずはそのことを看護師さんなどに伝えるのが一番です。

それぞれの問題の話をしていきましょう。

入院初期の痛み

死にかける事故で、大怪我をしたのですから、、、痛いのは当然ですよね。入院初期は体がボロボロなので、痛いところだらけでした。特に手術をした後の痛みはきつかったです。

もちろんそういった痛みを消すことはできません。ですが、痛みがマシになる体勢はあったりします。私の場合は最初は骨盤の創外固定があったので横向きになることはできなかったのですが、体を斜めにすると腰の痛みがやわらいだりすることはありました。なのでいろんな体勢を試してみて、一番痛みがマシになる体勢をみつけてから看護師に相談をしました。そしてその体勢になるのに丁度いい大きさのクッションを持ってきてもらいました。

大切なのはただ「痛い」と言っても看護師としてもどうしたらいいかわからないので、自分なりに具体的な解決策がないか一度考えてみることだと思います。このときも看護師に「斜めの体勢を維持できると痛みが楽になるみたいです。クッションかもう一つ布団を用意してもらうことはできますか?」という聞き方をしたことで、看護師さんもちょうどいい大きさのクッションを用意するといった反応がしやすかったと思います。

持病のアトピーからくるかゆみと不眠

私はもともとの持病で幼少期からアトピーがありました。漢方をはじめとするいろいろな治療法を試してきましたが、ここ15年位は主に保湿剤とプロトピックやアンテベートという塗り薬で肌のいい状態をキープする治療を続けてきていました。事故後、入院してからは保湿剤も薬も塗れていませんでした。なので段々と肌が荒れてきて、かゆみが出てくるようになってきました。後述する病院の室内温度が自分にとっては暑すぎたことと、手術後に患部に貼られた保護フィルムによってかゆみが増えてしまい、さらに痒く辛くなっていました。かゆみのせいで夜に寝れなくなってしまうくらい酷くなってきていました。

これもまずは看護師に相談しました。もともと持病でアトピーがあること、そのために使っていた保湿剤や薬の話、今では痒みが酷くなって夜寝れなくなってきていることを伝えました。

すぐに皮膚科の医師を手配してくれようと動いてくれました。ちょうど皮膚科の先生が病院を辞めたはかりで大きな病院なのに皮膚科の先生が一人しかおらず、忙しすぎて私の診察に来るのに数日かかるという、なんとも言えない事情がありました。それはさておき、診察をしてくださって薬が処方されたので、3,4日でアトピーの状態は一気によくなりました。

また、不眠の問題の方は睡眠導入剤を処方してもらい、こちらの問題もある程度解決されました。「ある程度」という言い方をしたのは不眠の原因がかゆみだけでないことがわかってきたからです。入院中に動けないことで体があまり疲れなくなっていたことも不眠の原因になっていたみたいです。

アトピーのかゆみ問題と不眠問題、どちらも看護師さんの普段のチェックだけ見抜くのはかなり難しいことです。そういった問題はきちんと看護師さんと相談することが必要だなとこの経験から言えます。

病院の暑さ

これは私が特に暑がりなのが原因という部分もありますが、、、笑
自分にとっては病院が暑い、、、とにかく暑かったです。それもそのはず。病棟の患者の殆どが老人で寒がりな人も多いため、院内の設定温度は28℃の場所がほとんど。時には30℃になっていることもありました。。。

看護師さんに一度、「温度下げるのって厳しいですよね・・・?」と聞いてみたことはあります。残念ながらやはり無理でした。多数決という言い方をすればしょうがない部分はありますが、自分にとっては数の暴力と感じてしまう部分も笑

まぁ、そんなことをグチグチ言っていても何も変わりません。問題はその中でどう快適を作っていくかが大切です。自分の場合は道具に頼りました。具体的にはアマゾンで売っているUSB給電の卓上扇風機とネッククーラーを用意しました。

卓上扇風機は病室用です。食事をするときには机におけますし、寝る時にはスタンド部分をベッドのフレームに掛けて使っていました。これは大活躍でした。暑い病室でも卓上扇風機があれば不快にならない程度に体感温度を下げることが出来ました。

もし卓上扇風機がなければ、、、暑さに耐えられず個室を選ばざるを得なかったでしょう。そうなると個室の料金X3ヶ月分となり、入院費はとんでもないことになっていたはずです。そう考えると貢献度は計り知れません(笑)

続いてネッククーラーです。ネッククーラーとは首にかける扇風機といったところでしょうか。これは主にリハビリの時に使っていました。リハビリ中はハードに筋トレをしたり、歩いたりと結構な運動をします。しかも設定温度28℃の中でです。当然かなり汗を書くので、こちらもなくてはならない存在でした。

ちょっと話が脱線しますが、設定温度に関しては私なりの言い分はあります。
「世の中暑がりな人も寒がりな人もいる。暑がりな人も、寒がりな人も、それぞれに工夫をしていこうよ。そしてお互いがなんとか許容できる設定温度を探そうよ。」
と思っていました。
だから俺はネッククーラーを使ったりと必死に工夫をしていたわけです。

それなのに!!
病棟のじいちゃん、ばあちゃんは羽織る上着も支給してもらえるのに、それすら着ることなく
「ちょっと寒いわねぇ。。。ちょっと設定温度をあげてもらえないかい?」(既に28℃)
なんて言いやがるんです。
しかもこっちがガンガン筋トレしている横で、悠々自適にまったりとマッサージしてもらいながら言ってくるんです。

「ふざけるな!こっちあんたらより何倍も頑張っていて、工夫までしているのに!!ふざけるな!!!」と思うのは、しょうがないですよね苦笑

さて、話がかなり脱線してしまいましたが、まとめると、
入院中はどうしても不快になることや、細かい問題がどうしてもおきてきてしまいます。そういう時は自分から能動的に行動していくことが大切です。自分で工夫して解決したり、看護師さんをはじめとするスタッフに相談していきましょう。

※ちなみに入院中に役立ったアイテムの話はこちらでまとめてあります↓


まとめ

以上が私が3ヶ月の入院生活から得た教訓です。
全体を3つの言葉でまとめると、

・入院しているのは自分。怪我や病気をしているのは自分。まずはきちんと怪我や病気のことを理解しよう。そして治療や入院生活に対して受け身にならず、自分から能動的に動いていこう。
・残念ながら病院も、病院のスタッフも完璧というわけではない。場合によっては自分の身を守らなければいけないこともあるというスタンスを忘れないこと。
・諦めなければいけないこともある。だからこそ、覚悟を持って自分で選択していこう。そして選択したものを大切にいこう。

といったところでしょうか。

入院をするようなことにならないことが一番だとは思います。それでも人間、何があるかわかりません。そうなってしまう人も一定数いることもまた事実です。

そんなことはない方がいいのですが、もしあなたがもし入院した時に、ここで書いた内容は、あなたが早く退院したり、入院生活をより快適にしたり、自分の身を守ることになるかもしれません。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
是非、内容を頭の片隅に置いといてもらえればと思います。


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前島聡夫/空飛ぶ写真家
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