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不安と向き合った、その先に。~第41話 パラグライダーで墜落 そして入院~

墜落してから2ヶ月と25日程が経った日の出来事です。

看護師さんに「この辺の日程で退院になると思います」となんとなくの日程は言われていましたが、ついに具体的な日程も決まった頃のお話です。

いよいよ、数日後に退院が見えてきました。体としてもお陰様でかなり歩けるようになってきました。リハビリでは病室のある8階まで1階から一段とばしで階段をのぼらされるというスーパーハードな内容になってきています笑 入院初期は半身不随に近い状態だったことを考えると、驚くほど回復してきています。

なので今は退院の具体的な日程も決まり、希望を持って日々を進めているかというと、、、物事はそんなに単純な話ではありません。今は退院後のリハビリのこと、仕事のこと、将来のことにすごい不安を感じています。

退院の日が近づくにつれて、不安な気持ちもどんどん大きくなっています。その不安から、自主リハビリを以前よりも頑張るようになっています。少しでも不安を減らしたいというある意味逃げの行動です。特にここ数日は一人で何かを考えると、不安なことばかり考えてしまっています。

でも、そんな不安ともちゃんと向き合わなきゃ。そのためにも少しでもリハビリを頑張って、、、そんなふうに過ごしていたおかげでしょうか。光が一筋みえる出来事がありました。

その日、パラグライダーの大会が行われていました。四国の吉野川というところで行われている大会です。私も参加する予定だった大会です。

テクノロジーの進歩というのはすごいものですね。それはパラグライダーのレースでも同じです。大会ではライブトラックというシステムが導入されています。まず飛ぶ前に選手全員にポケットに気軽に入れられるくらいのGPS端末が渡さます。この端末はGPSと気圧計、そして通信機能などが内蔵されています。この端末のおかげでリアルタイムに選手一人一人が今どこを飛んでいるかがわかるんです。ネットのブラウザ上で、レース全体がどんな感じに進んでいるのかということから、選手一人一人のフライトの軌跡、今どこをどれくらいのスピードで、高度何メートルを飛んでいるのかといった細かい情報までみることができます。ネット回線さえあれば病室からでもレースの様子が詳しくみることができるんです。

そしてレースのライブトラックを病室で見ていてふとあることに気がついたんです。

そもそも大会のレースで飛んでいる時なんて、慣れていないエリアで、色んなことに不安を感じながら飛んでたんだよな。それでも何に不安を感じているのか自己分析して、そこから安全管理や対策を考えて、どう飛ぶか、どう進んでいくかを決めたり、行くか行かないかを判断していた。色んなことを冷静に分析して、判断して、レースと向き合っていたんだよな。
その結果、初めて飛ぶエリアでタスクトップ(その日のレースで1位)をとったこともあるし、今回の事故をするまでは毎回ちゃんと安全にランディングしていたんだよな。自分は不安な中でもそれを乗り越えてちゃんと結果だしてきたんだよな。。。。

そう気づいた時、頭の中で繋がりました。

退院後について不安に感じていることは、レースで飛んでいる時の感覚で立ち向かってけばいいのでは?

そう。パラグライダーのレースの時みたく、退院後の道のりは自分にとっては未知の領域なんだから、不安に感じるのは当たり前です。そこから冷静に周囲を見て、色んなこと分析して、考えて、判断して、しっかり進んで行けばいいんだ。

うん、そうだった。思い出した。

パラグライダーのおかげて不安な中でもなんとか道を切り開いて、パフォーマンス出すのは得意になったんだった。

大会のみんな、ありがとう。ライブトラックを見ながら大切なことに気づく事ができました。退院後はレースの時みたいに冷静に、でもアグレッシブに挑んで行こう。

人は未知の領域に足を踏み込む時は必ず不安になる。人間、誰しもそういう時は必ずあるはず。でも人生の中で、それでも最終的にうまく出来たこともきっとあるはず。うまく出来た時のことを思い出し、「うまく出来たこともあるんだ。だから今回もきっと大丈夫。大丈夫。」そう考えて、自分を励ましていくことも大切なんだろうな。

入院してから特に感じてて、今すごく意識していることの一つに

「その瞬間、瞬間で、できることをやっていくしかない。そうやって積み上げていくしかない。」

というのがあります。

小さなものでもいいから、過去の成功体験を根拠にすれば、もうちょっと自分を信じてあげられるようになる気がする。

残り短い入院生活はつづく。

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前島聡夫/空飛ぶ写真家
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