パラグライダーで墜落。そして入院。その12 ~久しぶりにみた空、揺れ動く心~
墜落して27日くらい。腰の本手術をした3日後の話です。
この日のリハビリではベッドでの離床。そしてそこから更に車椅子に乗ることに挑戦しました。
手術をしてまだ3日しかたっていないので、車椅子に乗る時に術創のある左脇腹がかなり痛いのは当然です。また筋力がかなり低下しているのでお尻や太ももなど、座っている時に体重が乗る場所も柔らかいベッドに座っている時点で痛いです。そしてもう一つ、ベッドから車椅子への移動を難しく重要な要素がありました。それは
「左足の免荷重」
これは粉砕骨折した左の踵が原因です。墜落時の衝撃で文字通りバラバラに粉砕してしまった踵の骨は手術でプレートとスクリューで固定されています。ただ骨はすぐにはくっつかない。なので骨がしっかりとくっつくまでは強い力を、体重をかけちゃいけませんよ、というのが免荷重です。
具体的には手術後、
0~4週 一切の荷重がNG(全免荷重)
4~6週 体重の1/3までOK
6~8週 体重の2/3までOK
8週以降 全体重OK
というスケジュールになります。
この免荷重がリハビリにおいてかなりネックになるのですが、その話は別の機会に。
話を戻すと、今はまだ全免荷重で左足は常にうかしていなければなりません。つまり、車椅子に乗り移る時も右足だけでしか使えません。これによってハードルが結構高くなる。。。実は重要なのは手を置く場所だったりします。手を置く場所を工夫して体重を支えられる状況を作れるとスムーズに乗り移れるのですが、この頃はまだそんなコツはわかっていませんでした。それでもなんとか気合で車椅子に移動して、理学療法士さんと病室の外へでました。
今までレントゲンを撮るためだったり、手術に向かう際に病室の外へ出たことはありますが、寝た状態でベッドごと移動していたので、病院内の景気はほとんど把握していなかったです。なのでこの時が病棟がどんな感じなのかをちゃんと見たのは初めてでした。流石はできたばかりの病院。とてもきれいでした。そして見えてきたのは廊下の突き当りにある大きな窓。
自分はずっと寝たきりで最近は外の景色をみていません。そんな自分の状況をちゃんと理解していた担当理学療法士のKさんはまず窓の外を見せてくれようとまっすぐ大きな窓の方へ。
いい天気。きれいな空。
ここは人口が増えてきている土地ですが、まだまだ田舎。高い建物はすくなく、とても広い空が目に映りました。その時にふと思ってしまった。。。。
「俺はこの大きな空を飛んでたんだな。また飛びたいな。。。」
そう思った瞬間、、、感情が一気に爆発してしまいました。涙が溢れ出てきました。
墜落して約1ヶ月。失ったものは多い。。。。。
でも、その代わりに得られたものも沢山あるし、これからの努力で失ったものも取り返せるばす。
そう思っていたはず。はずなのに。。。
いきなり突きつけられた現実によって心はかなり傷ついて、弱って、不安に押しつぶされそうになっているんだなと感じました。
でもここで負けるわけにはいかない。
こんなところで立ち止まるわけになんていかない。
また飛んでやる。
飛びとは関係がないが、写真だって今まで以上のものを撮りまくってやる。
パラグライダーも写真もやり残したことが沢山あるんだ。
これからは周りの人との関係ももっと大事にしたい。
このままじゃ終われない。
だからがんばる。
大粒の涙を流しながら、そう心に決めました。