生きる上で最も大切なこと ~第28話 パラグライダーで墜落。そして入院。~
はじめに
墜落して1ヶ月と25日程経った頃のお話です。
今回は真剣で、踏み込んだ内容を書こうを思います。
世の中のタブー的な部分にも触れることになるので、批判が来る内容かもしれません。でも今回はあえて自分の考えを書いてみようと思います。
リハビリ病棟へ移動して2週間ほどが経ちました。急性期とリハビリ病棟の両方を見てきて、とある「病院の現実」を知りました。
なんといいますか。。。、入院する前に想像していた病院の姿と現実はかけ離れていたんです。
入院患者のほとんどが高齢の人。
高齢化社会が進む日本においては当然のことだとは思います。でもここまで高齢の方の割合が多いとは想像していませんでした。自分の入院していた病院の入院患者の90%以上が70代以上なんじゃないかと思います。
知らない現実を知った時はかなりショックでした。。。
そしてそこから思うこと、考えること、そこから学んだことが結構あったのです。今回はある出来事を交えて、学んだ一つのことを話して行こうと思います。
ある出来事
その出来事はある日、リバビリルームでおきました。
自分はドS理学療法士のもと、いつもの様にハードなリバビリをこなしていました。リハビリの痛みに声を漏らしながら筋トレをしていた時の事です。
前を通ったおばあちゃんにニヤニヤされがら言われました。
「大変そうねぇ。頑張って。 」と。
他の人達がまったりリハビリをする中、必死に頑張って筋トレをしている自分を「すごい頑張ってる!」とおもって思わず出た言葉なのでしょう。その気持ち自体は理解できます。
でも自分は、、、この言葉にものすごい違和感を感じました。
そのおばあちゃんも入院中であり、リハビリをしている身です。年齢は大きく違えど、立場は全く一緒のはずです。
自分は1日でも早く復帰できるように、今までの生活を取り戻せるように、どうあるべきかを考えています。その結果、毎日リハビリに全力で取り組んでいます。そしてリハビリ患者は基本的にはそうあるべきだと考えています。
もちろん、患者によってそれぞれ事情がことなります。例えば心肺機能の関係で激しい運動ができない人もいるでしょうし、何からの理由で優しいリハビリしかできない人もいると思います。
人によって取り組めるキャパは違うのは当然です。でもその中で一人ひとりのやれる範囲で頑張って行くべきだと思います。早く退院出来るようにリハビリを自分なりに一生懸命に取り組むのが普通だと思っています。
その考えからすると、同じ立場の人から、ニヤニヤしながら「大変そうねぇ。頑張ってね」という言葉を言われたのにはすごい違和感を感じました。
懸命に取り組む俺の姿を見て、「自分も頑張らなきゃ」と気合を入れ直すくらいでいるべきだと思います。
けれど、かけられた言葉、それを言った時の雰囲気から感じ取れたのは「若いのだから頑張ってね。あなたと私はちがうの。私は年寄りだからゆっくりやっていくわ」的な意味あいがあったようだと自分は感じ取りました。
そこから見えた現実
一歩引いてリハビリルームを見渡してみます。みんなすごく平和そうにリハビリしているんです。ハードに取り組んでいる人は俺だけです。
別に俺と同じメニューをこなせと言っているのではないです。その人なりに頑張って行くべきではないかと思うんです。
けど現実は人によっては筋トレやマッサージをしているより、何もせず、お話をしている人や、明らかに休憩のほうが長い人すらいます。
中には、、、、リハビリを嫌がる人も。。。。
なんでそんな状況なのだろう?みんな早く退院したくないの?
頑張ろうという気持ちになれないの?
そうなるようにリハビリの先生たちも、もっと積極性を促していけないものなの?
たぶん無理なんでしょうね。本人たちにそのエネルギーがないのでしょうね。。。そして結果的にそれで良しとされてしまっている。。。
良くも悪くもそれが今の医療の現実なんだと思います。
看護師さん曰く、極稀に「畑をしなくちゃいけない」など、その人にとっては強い理由があり、すごくエネルギーのある人もいらっしゃるそうです。実際、この60人程いる病棟で、リハビリにしっかり取り組み人も数は少ないですが、いるにはいます。中にはリハビリの時間以外に自分で歩いたりなどの「自主リハビリ」に取り組む方が2,3人いらっしゃいました。やはりそういう人は早く機能回復して退院していくそうです。
しかし多くの方は、、、まったりと、ぼけーっとしてしまっているんだと思います。それを否定するつもりはありません。
でも正直に言うと、、私は歳をとることが急に怖くってしまいました。。。
齢をとるというのはそういうことなのでしょうか・・・?
意欲、目標などをだんだんと無くなっていき、生きるエネルギーも減っていくものなのでしょうか・・・?
歳をとることが怖くなると同時に、ある事を強く思いました。
「人間に一番の大切なものはエネルギーだ」
ということです。
生きていく上で大切なことは色々とあると思います。でもこれはもっとも根源にあたる、一番大切なことだと改めて考えるようになりました。
「エネルギー」というのは具体的に言うと目標、情熱、活力、好きな気持ちといったところでしょうか。その中身はなんでも良いんです。一人ひとりが強く思っていることならなんでもいい。
〇〇を大切にしたい。
〇〇を守りたい。
〇〇が好き。
〇〇をしたい。
〇〇を達成したい。
内容はなんでもいいんです。単純なことでも、他人には理解してもらえなさそうなことでもいい。自分の中で純粋に湧き出るそういった気持ちがあればいいんです。
それが生きる理由、糧、エネルギーとなる。
その気持ちをもって日々、できることをしていく。
そういった積み重ねが今日を、明日を、そして未来を作っていく。
そう強く感じました。
運良く拾ってもらえた自分の命。どんな理由でもいい。
意思を持ち続けて、日々できることに挑戦しながら歩き続けよう。
死ぬ最後の日までそういった意思をも続けて生きていくんだ。
そうしていくんだと、心の深い部分で自分に約束しました。
生活を取り戻す戦いはこれからも続く。