きょうだい会#02(20230910)
ケーススタディ(自分語り)では、発表者が自分の体験談を話して、それを聞いた人たちが、自分の体験や思いに照らし合わせて感じ取ったことを発表者に伝えるということをやってみたいと思います。今日はまずわたしが発表させて頂きます。みなさん、メモを取るなどしながら、聞いて頂ければと思います。
◼️障がい者アート展覧会出品
兄が初めて急性症状を起こしたのが20代の頃ですので、もう30年以上たちます。はじめの頃は入退院も繰り返しながら何とか回復して、一時期はこちらの施設にもお世話になったこともあり、障がい者枠で就職することもできました。
わたしは、兄のことを友だちや同僚に話しをすることができませんでした。すべて親任せにしていて、両親が年老いても、実家の家事などは手伝わずに無関心を装っていたのです。心のどこかで、兄の病気を認められないという気持ちがあったのだろうと思います。それは、両親や夫にも言うことができないことでした。だから、自分の悩みを聞いてもらおう、なんていうことも考えもつきませんでした。こうしたきょうだい会が身近にあれば、もっと早くに相談できたかもしれません。
母の晩年、兄と3人で過ごした日々はとても濃密でした。辛かったことはおいおいお話ししていこうと思いますが、今日は嬉しかったことをお伝えしたいと思います。
兄は趣味で絵を描いていました。専門的な教育を受けている訳ではないですが、水彩や色鉛筆で絵を描いていました。わたしはあまり美術のことは詳しくなかったのですが、たまたま紹介を頂いて、障がい者アートの展覧会に出品させて頂くことになりましたた。
展覧会の会期中、病気を抱える母は入院していて、会場に行くことはできませんでした。コロナ禍で母の病院の面会もできなかったので、展覧会会場で撮影した写真と手紙を差し入れにもっていきました。それから、母が退院して、数週間後に自宅で息を引き取ったのです。
今思うと、展覧会は、兄がこれから生きていくための自信にもつながったと思いますし、最後の親孝行にもなったと思います。
◼️今日、伝えたいこと
長年病気とともに生きてきた兄といもうとの私が、ようやく向き合って話ができるようになったのが、母の晩年でした。そのきっかけは、母の介護のこともありますが、やはり一番大きかったのは、兄の「絵」だったと思います。
直近で2度(20代は幾度も)の入退院を繰り返して、生きていることが不思議なくらいの兄でしたが、コツコツとスケッチブックやノートに色々な言葉や絵を描いて自分と向き合っていました。兄が障がい者枠で勤務をしているときは言葉を交わすことは少なかったのですが、体調が悪くなって入院し、退院した後は家にいて手持無沙汰になっているようでした。暇つぶしに絵を描いて、リビングの壁にかけるのです。それを見て母やわたしが、兄の「絵」のことを話すと、とても嬉しそうに聞いているのです。
そして兄の方から「何の絵を描いてほしい?」とわたしに聞いてくるのです。それまではそのようなことは無かったので、内心戸惑いながらも、「お花、それから鳥や虫も」とリクエストすると、「わかった」と言ってサラサラと書いてくれたのでした。それから、兄の書いた絵を見ながら、幼いころの兄との思い出を語り合うようになったのです。大げさかもしれませんが、母や兄と幼い頃の話をして笑いあっているということは、私にとっては、まるで奇跡が起こっているかのようでした。
わたしは音楽がとても好きだったのですが、美術鑑賞をすることはあまりなかったので、「(兄が描いた)1枚の絵が、こころを揺さぶる」というは初めての体験でした。絵がうまい下手というのはよくわかりませんが、わたしが兄の絵を見て、言葉にならない思いが、伝わってきたように感じました。
そして、それが、生まれてはじめての兄との「対話」だったのだと考えるようになりました。
このきょうだい会では是非「対話」の重要性についてみなさんとお話したいと思っています。
どうしても、社会にでると相手の身分や言動をとらえて判断してしまいがちですが、日常の会話を通して、お互いの本音を言い合い、色んな考え方があるということを認め合うような関係をつくることができると本来の意味で「きょうだい」になれるのではないかと思います。
最後に、会話と対話の違いについて、インターネットで調べてみましたので、参考としてお伝えしておきます。
●会話とは?
相手の価値観の違いに立ち入らないで、友好的にコミュニケーションを行う。
●対話とは?
お互いの価値観の違いを認め合い、考え方を深めることができる。
どうでしょうか。会話と対話の違い、何となくこんな感じということが分かっていただけましたでしょうか。
以上で、わたしの「自分語り」を終わらせていただきます。ありがとうございました。
是非、みなさんから一言ずつお聞かせいただきたいです。「私はこう思う」ということをざっくばらんにお話頂ければと思います。
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