タイトルにときめく


書店で本を手に取るとき、ネットで出版社の新刊チェックをするとき、Web作品を読もうとするとき。
数ある作品の中から何かひとつの小説を選ぶ際、何を基準にして選びますか。何に惹かれて、読もうと思いますか。

私は子供の頃に絵本を読んでいた(読み聞かせてもらっていた)ときから、必ずと言っていいほどタイトルに注目しています。
親や幼稚園の先生が読み聞かせてくれるときに、最初に目にして最初に聞く言葉の響き。あの瞬間、たちまち自分の意識が物語の世界に旅立つ感覚がとても好きでした。

このタイトルの○○はどういう意味だろう、何が始まるのだろう。もしかしてこういう流れになっていくのかな、結末はもしかして……。
そんなふうにタイトルだけで無限に想像力を掻き立ててくれる、しかも物語の世界に導いてもらっているようなあのわくわく感に、幼き私はとても惹かれたのです。このときに感じたときめきを魅力的だと感じているからこそ、私は今でも物語を読むことに没頭しているのだと思います。


それなりに読書をしてきたし、今は書き手としてもさまざまなタイトルに触れる機会があります。その中でもちろん、自分の好みに合うものと合わないものの両方に出会ってきました。

これは完全に私個人の好みの話ですが、長くて本編の要素をすべて説明されているようなタイトルはあまり惹かれません。このタイプはライト系でよくあるイメージですが、以前から好きな作家さんのお話でない限り、タイトルを基準に選ぶことはないかなぁ。

逆によく好むのが、ある程度抽象的な感じや単語がふたつかみっつほどだけ使われているタイトルです。長さも短いかほどほどだと大好物ですね。
私は物語を読む際はそこそこ先の展開を想像しながら読んでいるので、タイトルから物語の全容や世界観を想像しきれない、微妙なさじ加減のタイトルが好きなのだと思います。

これにかんしては、目次も同じです。
私はタイトル同様に目次の章タイトルを見るのが大好きで、本を読むときは表紙と背表紙と中表紙のタイトルをじっくり見つめ、さらには目次に並んだ章タイトルを舐めるように見つめます。すぐに目を通せてしまう文字数なのに、じっくり何度も見返すせいで全然ページを捲れずに時間が経つぐらいです。(笑)

タイトルにときめく私からすれば、目次はタイトルの詰め合わせで最高に見ているのが楽しいです。
タイトルに惹かれて読み始めた作品の目次はほぼ私好みのラインナップなので、それを見ながらさらにどんなお話なのだろうと物語の世界に思いを馳せる瞬間が、読書の楽しみになっています。

タイトルが曖昧であるほど、自分の想像以上のストーリー展開が待っていることがしばしばあります。私はその、自分の想像とは違う展開になる瞬間を楽しみにしているのかもしれないし、はたまた想像通りのストーリー展開に安心したりと、両方の楽しみが待っている可能性が高いタイトルに引き寄せられているのかもしれません。

ちなみに自分では、センスがあってなおかつ好みだなと思えるタイトルを生み出せなくて苦労しています。たまに自分なりに作品に合うものをつけられたかなと思ったりするけれど、いつも自信はありませんね。(苦笑)永遠の課題です。

だからこそこれからも、自分では生み出せない素敵なタイトルの作品を探す旅を続けていくと思います。

もっといろんなお話に出会えるといいな。長年、積読しているのが悩みですけどね。



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