28位(64カ国中)〜デジタル化が遅れている日本〜
日本のデジタル化が世界的に遅れている
スイスの国際経営開発研究所の「世界デジタル競争力ランキング2021」によると、日本は64カ国中28位であった。1位は4年連続で米国、2位は香港、3位はスウェーデンと続いている。上位は5位シンガポール、8位台湾、15位中国と他のアジア諸国もランクインしている。
「2025年の崖」
多くの経営者が、将来の成長・競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性について理解している。
しかし、既存システムが事業部門ごとに構築され、全社横断的なデータ活用ができなかたったり、過剰なカスタマイズがなされていることで複雑化・ブラックボックス化している。
また、経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中、現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている。
この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある。
「2025年の崖」の要因
レガシーシステム
多くの企業がいまだにレガシーシステムが使われている。
ブラックボックス化
日本企業は業務の標準化が欠如している。欧米は、業務システムを導入する際、業務プロセスをパッケージシステムの標準機能に合わせう。一方、日本では紙ベースで進めていた時代の業務プロセスを、そのままシステムに置き換えてしまった。そのため、大規模なカスタマイズが施されたシステムで複雑化・ブラックボックス化している。ITベンダー依存
ITに関する施策はITベンダーに丸投げする文化が根付いている。そのため、社内のエンジニアリング力が低下しており、新しい技術を使ってビジネスを変えていくという意識や役割も弱くなる。結果として、ITを統括する部署であっても、単なるベンダーマネジメントに終始してしまっている。テクノロジー投資不足
日本は他の先進国と比べ、ICT投資が圧倒的に不足している。
DXの推進に向けた対応策
「見える化」指標、中立的な診断スキームの構築
経営者自らがITシステムの現状と問題点を把握し、適切にガバナンスできるよう、「見える化」指標の策定と中立的で簡易な診断スキームを構築。「DX推進システムガイドライン」の策定
既存システムの刷新や新たなデジタル技術を活用するにあたっての「体制のあり方」「実行プロセス」等を提示。
経営者、取締役会、株主等のチェックリストとして活用。DX実現に向けたITシステム構築におけるコスト・リスク低減のための対応策
刷新後のシステムが実現すべきゴールイメージを共有。
不要なシステムは廃棄し、刷新目に軽量化。
刷新におけるマイクロサービス等の活用を実証(細分化により大規模・長期に伴うリスクを回避)。
強調領域における共通プラットフォームの構築。ユーザ企業・ベンダー企業間の新たな関係
システム再構築やアジャイル開発に適した契約ガイドラインを見直し。DX人材の育成・確保
既存システムの維持・保守業務から解放し、DX分野に人材をシフト。
アジャイル開発の実践による事業部門人材のIT人材化、またスキル標準、講座認定制度による人材育成。
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