未来都市「Woven City」はSociety5.0を実現できるのか
Woven Cityは、人々の未来の暮らし、働き方、移動を大きく進化させる先駆的なプロジェクトです。そこに住まう人、そこに生まれるコミュニティの幸せと成長をもっとも大切にする「ヒト中心の街」。日々いとなむ生活を通して未来技術を進歩させる、活きた「実証実験の街」。住民とパートナーの継続的な参加によって成長し、進化し、共に未来を創造し続ける「未完成の街」。この3つのコンセプトをブレない軸とし、「ヒト」、「モノ」、「情報」のモビリティにおける新たな価値と生活を提案し、幸せの量産を目指します。
Woven Cityの開発は、大きく3つのテーマがある。Service Development(サービス開発)、Product Development(製品開発)、UX Development(顧客体験の開発)だ。
例えば、Woven Cityの中にある物流センターには、宅配便、クリーニング屋、小売業者、新聞配達、郵便など、さまざまなものが入ってくる。これらを各住居に届けるのが、「S-Palette」という自動運転の配送ロボットだ。物流センターで荷物を積み込んだS-Paletteは、地下道を通って各居住棟まで移動し、エレベーターに乗って部屋の前までやってくる。そして玄関前の「スマートポスト」に荷物を入れ、戻っていく。もちろんすべて自動だ。反対に宅配便やクリーニング、ゴミを出したいときも、スマートポストに入れておけばS-Paletteが自動的に回収してくれる。Woven Cityでは、荷物が地上を行き交うことは基本的にないという。
デジタルツインが開発を加速している。デジタルツインは、直訳すると「デジタルの双子」。まるで双子のように現実世界をデジタル上に再現し、シミュレーションなどに役立てる方法だ。ここでは物流センターをデジタル上で構築し、さまざまなケースをシミュレーションしている。リアルの世界では気軽に変えられない設備のレイアウトも、デジタルの世界なら短時間で変更し、膨大なパターンを試すことができる。デジタルの特性を活用することで、問題点をより明確にし、「カイゼン」の余地を広げられる。
製品開発の現場では、なんと家が丸ごと再現されている。中に入ると、ウィーンとロボットが向かってくる。これは家庭内搬送ロボットで、玄関脇のスマートポストに届けられた箱を自動で取りにいく。搬送ロボットが到着するとポストの扉が開き、届いた荷物がロボットに載せられた。荷物を受け取った搬送ロボットは、今度は棚まで移動して自動的に収納する。
ここでもデジタルツインが使われている。リアルの世界ですべてのパターンをテストしようとすると、膨大な時間がかかってしまう。これを、例えばシミュレーター上で同時に100台テストできるようにすれば、本来は1年以上かかるようなテストも一晩でできるようになる。こうして製品開発でも、リアルとデジタルを組み合わせた開発が行われている。
Woven AlphaのLead of Digital Product、この先にあるのは、VRゴーグルを装着しなくてもVR空間の中に入れる部屋だ。さらに驚くべきは、VR空間の中に、実際の人間をリアルタイムで表示する装置だ。SF映画に出てくるように、空間内に3次元の人間を投影するイメージだろうか。
日本は国家プロジェクトとして「Society5.0」を進めている。「IoTで全ての人とモノが繋がり、新たな価値が生まれる社会」「イノベーションにより、様々なニーズに対応できる社会」「ロボットや自動走行車などの技術で、人の可能性が広がる社会」「AIにより、必要な情報が必要な時に提供される社会」これら4つの社会の達成を目標としている。
Society5.0を実現するためには、人々の暮らしとデジタルを密接に繋げていく必要がある。その時、人々の暮らしそのものである「都市機能」がデジタルを手段として作られている必要がある。ICT戦略を都市単位で行いSociety5.0を実現する。それがまさにWoven Cityである。
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