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魅力ある女の書き方。

よ!

「魅力ある女」というのはシナリオセンターの研修科の課題です。

前回の「魅力ある男」に続き、こちらも二面性のある人物を描けると面白い脚本になるのではないかと思います。研修科序盤のこの課題二つは「人物の魅力づけの研究」と研修科カリキュラムでも書かれてます。

この研修科カリキュラムとかいうちっさい冊子。本科の頃は全く存在も知らなかったのですが、研修科に入ってからの僕は本科課題の使い回し(ちゃんと推敲したもの)をしたりと話を作るのに行き詰まりを感じ始めたりしたので、かなり頼らせていただきました。読み込んでも読み込んでも、書かないことには意味がないのが脚本の悲しいところです。新井一もシナリオの技術にそんなようなことを書いていました。あの本3度ぐらいは読み直しているんですが、この機会にもう一度読み返したいですね。本当に素晴らしい本なので脚本に興味のある方は是非一読ください。

魅力ある女。

人物にどう魅力づけするか。
人間の二面性(憧れ性・共通性)を考えて、魅力的なキャラクターを創ってみましょう。

読んでみましょう。

読む

題名「悲しみの果ては、」

講師評価

・佐々木への思いを髪の毛とともに捨てきり前向きに一歩を踏み出した愛美。主人公が魅力的に描けています
・佐々木への期待が大きいぶん落ち込みも大きい。愛美の感情の振り幅をよく練ってあります。
ゲイを告白する佐々木も魅力的ですね。
・但し、この物語は愛美と母の話です。理解があり寛大な母もでもいいですが、
◯愛美の考え方で対立させてはどうでしょう
◯初キスの相手、初体験の相手は本当に佐々木でいいのか、母の言葉が気にかかるなどと愛美に葛藤させてみて下さい。
・少ない登場人物がいいですね。20枚シナリオは核心から書くようにするとドラマの立ち上がりが早くなります。

読んでみて

魅力ある男に続き、こちらも本科を推敲したものを再び出してみたわけでした。しかしtypoがあるのはいけませんね。気をつけましょう。本当に気をつけましょう。。

本科で書いたやつとの違いとその狙いは

・佐々木が序盤から吉田の髪の毛を撫でている(ゲイ描写)
・佐々木と吉田は同じクラス(愛美の悲しみ増幅用に)
・最終ページの愛美がなくシーン(愛美の魅力増幅用)

ぐらいですかね。これも題材はほぼそのままでした。

人物表の読み方

そんな大したことでもないのですが、早い話が一番右が重要な人で、左に行くとそうでもなくなります。みたいなこと。左に行くからってどうでもいいということでもないです。新井一は、脚本家はどんなささいな役にも名前をつけるべしと言っていました。なぜかというと人間が演じるわけですからね。「消防士」の役をもらっても役者は嬉しいのでしょうけど「田中武」と名前をもらえるほうが演技に身も入るってなもんですよ。

人物表の話ですが、今回の僕が書いた脚本の場合には右から順番に、主人公が愛美。副主人公が和子で、佐々木と吉田は端役になります。右に行けば行くほど重要度があります。

要は誰と誰の話なのか?ということなんですね。脚本ってそういうことです。

なのでサスペンスモノのホンとかは、人物表をチェックすると人物同士の関係性が一発で分かるので即効ネタバレできるわけです。読み手のこともドキドキさせたい場合には人物表の関係性をあえてはぐらかして書くというのもOKだったりするようですが、そうすることで脚本が面白くなるわけじゃないので素直に書いたほうがいいと思います。シナセンにもそういった方がいましたが、先生に注意されてましたね。

今回のこの「悲しみの果ては、」の場合、先生も書いているようにもっと愛美と和子の話にならなければいけないんですね。確かに娘と母が恋愛観でぶつかるというのは面白そうですね。

個人的に好きなシーンは、最終ページの

◯同・居間
愛美、ハサミを取り出す。ハサミの音。髪の毛が落ちる。ハサミの音。落ちる髪。

ここたまらなくエモいですね。我ながらエモみに満ちる素敵なト書きだと思います。

さて、エモく終われそうなので友達と飲みに行ってきます。

また次回!


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