
スクラムのエッセンスを活かした「感情面を大事にする」振り返りを二人でやってみた
振り返りというと、普段は「目標が達成できたか」「次に何をするべきか」といった業務面の成果や課題に目が向きがちです。さらに二人のような少人数チームでは、日頃の細かな情報共有があるため、あえて振り返りの時間を設ける必要性を感じづらいかもしれません。
しかし、スクラムのエッセンスを取り入れ、感情やプロジェクト中の気づきに焦点を当てた振り返りを行なってみたところ、思いがけない学びや新たな視点を得ることができました。
その具体的な取り組みと得られた成果を、ここにまとめます。
メンバーの「感情面」も大切にする、スクラムの振り返り
先日、私は認定スクラムマスターのワークショップに参加しました。ワークショップではチームに分かれて「振り返り(レトロスペクティブ)」を行なったのですが、スクラムの振り返りは単なる課題の分析にとどまらず、チームメンバーの感情や気づきにも目を向ける場だということを学びました。振り返りのフレームワークは30以上あり、楽しかったことや感謝の気持ちを共有しやすいよう、さまざまな工夫が盛り込まれています。
スクラムが心理的安全性を重視すること自体は知っていたものの、実際に体験してみたことで、メンバー同士が安心して意見を出し合える「場づくり」の大切さを実感しました。
↓フレームワークがまとまって紹介されています
当社は少人数のスタートアップで、普段から細かく情報共有しています。
そのため、あえて振り返りの時間を設ける必要性を感じていませんでした。
しかし、スクラムのエッセンスを取り入れた振り返りを試すことで、これまでにない学びや気づきを得られるのではないかと考え、実際に取り組んでみることにしました。
事業開発(セールス)系のプロジェクトかつ二人チームで実践してみた
最近、CTOに協力してもらいながら二人で進めていた事業開発系のプロジェクトが一区切りを迎えました。
一般的にスクラムの振り返りは、開発プロジェクトかつ3人以上のチームで行われることが多いと思います。
が、直近では対象となる開発プロジェクトがなかったことから、お試しとして今回の事業開発系プロジェクトで二人でやってみることにしました。
どの振り返りの手法を使うかは、二人で検討しました。様々な選択肢の中から、今回はプロジェクト内容的にも「4L(Liked, Lacked, Learned, Longed)」というフレームワークを採用することに。
↓こちらのサイトを参考にして採用しました
実施にあたってはFigjamを使ってオンラインで開催。タイマーで各セクションの時間配分を意識しつつも、初回ということで柔軟に進行することにしました。
また、ただフレームワークに沿ってやるだけでは通常のMTGとなにも変わらないので、「感情面にも焦点を当てる」ことを冒頭でお互い認識合わせしたうえで取り組みました。(ここが重要!楽しかったとか面白かったとかそういう感情的なことも書いてくださいと言った)
結果: 次のプロジェクトへのモチベーションが高まった!

それをFigjamに貼り付け、付箋を貼っていきました
開始前は「二人で振り返りをして意味があるのか…?」と不安もありましたが、結果として多くの気づきや学びを得る有意義な時間になりました。
例えば、一番最初の「Liked(よかったこと)」のセクションで、私は「開発タスクではないのに協力してくれて嬉しかった」「二人で考えることで良いアイデアがたくさん生まれた」といった感謝の気持ちを書いてみました。(もちろん分析的な事柄も書いています)
すると、CTOからは「サポート役のつもりで参加したが、そんなに感謝されることだとは思わなかった」「普段とは違うタスクに関わるのが面白かった。次はXXXもやってみたい」といった、プロジェクト進行中には聞けなかった感想を聞くことができました。
私自身は、このプロジェクトの最中、感謝の気持ちを伝え続けているつもりだったので、「そんなに感謝されるとは思わなかった」という言葉には驚きました。また、開発以外のタスクにも面白さを感じてくれていたことは新しい発見で、とても嬉しく感じました。
この「Liked」だけで、信頼関係をより築けたように感じました。
さらに、続くセクションでの自己開示や意見交換のしやすさにもつながり、付箋に書いたことを超えてさらなるアイデアや新しい視点を引き出すきっかけにもなりました。
また、プロジェクトの成功や課題を振り返るだけでなく、お互いへの感謝や個人としての成長を共有できたことで、次のプロジェクトでの個人的な成長目標を言い合えたりしてモチベーションも高まりました。
今後も活かしていくぞ
スタートアップという環境で、まとまった振り返りの時間をわざわざ設けることは勇気がいるかもしれません。人数が少なければなおさら、特に、たった二人のチームの場合など。
でも実際にやってみると、日々の業務では決して得られない気づきがありました。役割や視点が違っても、共に進めてきた仲間だからこそ共有できる思いや、普段は口に出さない感謝の気持ち、さらには次のプロジェクトへの期待まで、率直に語り合うことができました。
人数の多寡に関わらず、チームの関係性を深め、より良い成果を生み出すためには、このような感情的な側面も大切にする振り返りが有効だと実感しました!
今後もこの考え方をさまざまなかたちで実践し、チームの成長に活かしていきたいと思います。