目にうつる全てのことはメッセージ
2023/11/30(木)
『マッドマックス 怒りのデスロード』の続篇(前日譚)『フュリオサ』が来年アメリカで公開されると知った。
高い評価のわりに興行成績はそれほどでもなかったので続篇の企画は凍結されたなんて噂も聞いたけど、ちゃんと作られていたんだな。すごく嬉しい。まさか日本で劇場に掛けないってことはないと思うけど、最悪、配信でもいい。ぜったいに観たい。
私はどんなに面白くても同じ映画を2回以上観ることはあまりなく、まして、劇場にお金を払って複数回行ったことは数えるほどしかない。『FR』はその数少ない作品です。
もう8年前(マジで?)の作品だけど、内容はいっさい古びていない。今年公開でもあらゆる意味で絶賛されただろう。
『FR』は「映画秘宝」的なセンスが大きく見直しを迫られるターニングポイントになった作品だと思う。
強烈な暴力とアクションの連発で一気に駆け抜ける、いわゆる「男の映画」でありつつ、直截的にメッセージを発するわけじゃないけど明らかに「女が“男の社会”を破壊する話」であった。
こんなに「説明しない」アクション映画で文学的なテーマを伝えられるということに私は感動したけど、ネット上の評価も、プロの批評も、荒れた記憶がある。絶賛なのは同じなのに、感想が割れた。
ひとつの作品がどのくらいメッセージを発しているか。
鑑賞者がどのくらいメッセージを受け取るか。
目にうつる全てのことはメッセージ、か?
先日テレビで、ディズニー映画の『ノートルダムの鐘』をやっていたので初めて観た。
小さいときに世界文学全集みたいなので(たぶん児童向けの翻訳がされた)『ノートルダムのせむし男』を読んだことはあるけど、それを原作とした映画やらミュージカルやらは一度も観たことがなかった。
美しいアニメだった。3Dではない、2Dのアニメ表現の極致。
ものすごい悲劇的な話だった記憶があり、ネットであらすじを確認したらやっぱりそうだった。フランス文学!!! 映画はもちろん大きく改変され、ほろ苦くも大きな希望にあふれる結末となっていた。
大人になって話を思い出し、映画を観ると、教養がない私でも物語の解像度が上がっていて、中世で聖職者が芸能の民に懸想することの重い意味もより伝わってくる。
このフロローという悪役はやはり人気なんですかね? ちいかわ作者のナガノさんもファンアートをTwitterにアップしていた。
確かに、社会的な立場と人間的な欲望でがんじがらめになって道から外れていく、味わい深いキャラである。私は「好き」ですね。
でも、このキャラに本気で怒る人もいる。
現代の価値観で見れば何重にも許しがたいキャラなのはよくわかる。でも、その時代に、その価値観で生きるしかなかった人の切なさや悲しみに思いを馳せるのも、過去の作品を鑑賞する楽しみじゃないか……という話は前の日記でも書いた気がするな。
最近、よく考えていることなんです。「現代の価値観ではこの人物は許しがたい」みたいな鑑賞のしかたの是非について。
古典への入口としてはありなのかもしれないけど、個人的には「もったいない」と感じることが増えた。
*
一週間前のテレビの話題をいま書いているのは、なかなか日記を書く余裕が(時間的にも体力的にも)なかったからです。今月後半は用事が多くて疲れました。
とうとう札幌の都市部にも雪が積もり、道が凍った。
まだ秋コートを着ていますが、そろそろ限界だろう。いちど冬コートを着ると4月上旬まで手放せなくなるので嫌なんだけど……。
今日はすすきので「ココノ」という商業施設がオープンする。
誰もがすすきのと聞いて想像する、あのニッカの看板のビルの向かい側です。薬局、スーパー、飲食店、シネコンなどが入っている。行ってみたいけど、エルフは里に娯楽が少ないので、こういう新しいものができるとワッと群がって混雑がすごいのだ。たぶん施設内のダイソーにも無駄に行列ができていることだろう。
本屋はないらしくて残念……。
蔦屋書店とか入らないのか。すすきのの民や観光客は本を買わんのか。