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『内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙』@国立西洋美術館_202408
コロナに罹ったり、最終レポートに追われてなかなか行けなかった内藤コレクションをやっと観にいくことができました。今月で終わりなので、是非行ってください!
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そもそも写本ってなに?というのは、昔のnoteを見てもらえればと思いますが、要するに印刷技術がもたらされる前の全て手書きの本です。
内藤コレクションとは、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏により2015年度に国立西洋美術館に寄贈されたものであり、主に写本零葉と呼ばれる元々本の形をしてたものから1枚だけ切り離されたものが中心のコレクションです。
そのため展示スタイルも写本というと本をイメージしますが、1つずつが額に収められ絵画のように片面だけ見ていく感じでした。
ここからはおもしろ可愛い零葉のご紹介
まずこちら。一部が切り取られ新しくライオンが描かれた部分の紙葉が貼り付けられてる珍しい。
それにしてもこのライオン目がいっちゃってる・・
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写本はイニシャルが装飾されることが多いですが、こちらは鳥人間?が描かれています。そこから伸びるものにも変な動物の顔がついていて、イニシャルの下にはトーマス?みたいなのも見えます。
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こちらは赤字で書かれた聖母の讃歌が囲われていますが、その囲いの中にはウサギとそれを追う猟犬が描かれています。人っぽい顔も見えるけど、体は鳥?ゴシック期の定番モチーフだそう。ここら辺は想像力豊かで本当に面白い。
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かと思えばこの素晴らしく混じり合う組紐模様のようなお花も。
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こちらは未完成の零葉。ここでわかるのは、写字生と彩飾家などさまざまな職業の人が分担して仕事をしていたんだなぁということ。周縁部は描き終わってるのにイニシャルはまだ抜けている。
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こちらも鮮やかな零葉。
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でもよく見てみると、、、見覚えありませんか?
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ヤン・ファン・エイク《ヘント祭壇画》の「神秘の子羊の礼拝」部分なのだそう。人々が重なり合う表現がなんとも中世感ある。
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最後に世俗の写本をひとつ。
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読んだ人による注釈入りですが、なんともおしゃれ。
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最近は字体や書かれたラテン語自体にも興味があり、装飾だけではなく文字の特徴なども少しずつ判別できるようになりたいなと思ってる次第です。
おしまい