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怪盗レッド日常ショート 雨の日の過ごし方1

※以下のショートストーリーは、秋木真が個人で書いた非公式になります。

 雨の日。
 しとしとと雨が降り続く中、アスカは窓の外を見つめる。
アスカ「今日は雨かぁ。日曜日だしランニングに行こうと思ってたけど、どうしようかな。雨だから走れないってことはないだけど、雨の中走ってると外にいる人に心配されるんだよね」
 アスカは窓の外から離れる。
アスカ「よし、決めた」
 アスカはスマホを手に取って、トークアプリで連絡をとった。

 市立図書館前。
 傘を閉じてから軽く振って、水滴を落とす。
アスカ「少し早かったかな?」
 アスカがそう思っていると、こちらに向かってくる傘が見える。
 近くまでくると、傘越しによく知る顔が見えた。
水夏「待たせた?」
アスカ「ううん。さっき来たところだよ」
水夏「それならいいけど。でも、急に連絡来るからなにかと思った。しかも『演劇に参考になる本教えて』なんて送ってくるし」
アスカ「雨だからランニング行くのもと思って。それで前に水夏に言われてたの思い出してさ」
水夏「脚本とか読んだほうがいいとは言ったけど。ちゃんと覚えてたんだ」
アスカ「覚えてるよ。……読んではいなかったけど」
水夏「それが今日なんでしょ」
アスカ「そう。でも、水夏が来てくれると思わなかったよ。本の題名教えてくれるだけでよかったのに」
水夏「題名だけだと、わからないかと思って。それに図書館にも用があったから。いつまでもここで話しててもだし、中に入ろう」
 アスカと水夏は図書館の中に入る。
 水夏におすすめされた、有名な脚本が載った本を何冊か持って、図書館のテーブルでアスカは読む。
 水夏も本を読んでいる。
アスカ「……むずかしい(小声)」
水夏「シェイクスピアは16世紀の作家だからね。書かれている時代も当時かそれよりさらに古い時代が舞台だし、わかりにくいのはしょうがないよ。だから、ストーリーだけでも理解できれば十分(小声)」
アスカ「がんばる……(小声)」
 それから2時間ほど本を読み続けて、アスカと水夏は本を借りて外に出た。
アスカ「う~~~ん。つかれたぁ!」
 アスカは大きく伸びをする。
水夏「アスカ、結構集中してたじゃない。読めた?」
アスカ「まあまあ。ストーリーはなんとなくわかったかな。細かいところまではわかんないところも、あるんだけど」
水夏「そのあたりは、今度教えるよ。演劇続けるなら、シェイクスピアは知っておいたほうがいいし」
アスカ「ありがと、水夏」
水夏「……べつに。副部長だし」
 照れた様子の水夏に、アスカは笑みを浮かべる。
アスカ「なんか食べて帰ろうよ」
水夏「いいよ。なに食べる?」
アスカ「とりあえず、ゆっくり歩きながら考えよう!」
水夏「ノープランってことじゃない」
 水夏があきれたように肩をすくめる。
アスカ「いいじゃん。ほら行こう」
 アスカは傘をさすと、歩き出す。
 水夏も傘をさすと、アスカの横に並ぶ。
 雨足が強い中、2つの傘がはずむように図書館から遠ざかっていった。END


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