小さな哀と歓とを積み重ね
今日の空気の色は少しだけ青っぽい。それでいて、乾いた風が頬(ほほ)をなでる。今日は雨が降らないのだろう。冬の雨は温度を奪(うば)う。いやもしかしたら、凍(こご)えるような冷たさを与えているのかもしれない。冷たさを与えられた地面は、帯(おび)のように冷気(れいき)を立上(たちのぼ)らせる。昨日の雨が、きっと空気を青くしたのだろう。そう思いながら、濃香(こきこう)と二藍(ふたあい)をかさねる。寒さのせいか、庭の緑も一層濃く目に映った。冬らしい白い色目(いろめ)の襲(かさね)も好