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「1day彼氏は魔法使い」 第4話

9 予言書  クリスは朝からソワソワしていた。現在八時五〇分。ピンポ〜ンと呼び鈴が鳴る。 「ちょっと早いけど、お邪魔します」  山ちゃんとカノンが大きな荷物を持ってやって来た。 「山ちゃん? 何その荷物」 「あぁ、これ? プリンターとか」 「は?」 「まぁまぁ追々わかるって。それより早速始める? カノンが色々食料とか買ってるし」 「カノンも。ありがと」 「も〜めっちゃ重いぃ。山ちゃん鬼だし〜」  カノンはずっしりと重たそうなコンビニ袋を二つドンと置いた。

    • 「1day彼氏は魔法使い」 第3話

      7 デートのような 「ユーリは水が好きなのか?」  私はボ〜ッとペンギンが泳ぐ姿を眺めていた。 「ん? そうね。私の故郷が海に囲まれた小島なのよ。それで… 海が恋しくなってしまって。水族館は年に何度か来るかな」 「そうか。しかしこの装置は不思議な物だな。こんな外で、しかも透明なガラスか? 水を入れて… これで魔法を使用していないなんて。本当にこの世界の技術者には驚かされる」 「あはは、クリスったら。そればっかじゃん。ここまで来るのにどれだけ時間かかったんだか。クリスに

      • 「1day彼氏は魔法使い」 第2話

        5 便利な魔法と機械 「今日は他にどっか行く? それとも言っていたラーメン屋に直行する?」 「まずはラーメン屋へ行こうか。遠いのか?」 「電車で三十分ぐらいかな。でも、人気店だから大分待たなきゃいけないかも」 「待つ? 私は食べられればいいぞ?」 「じゃぁ、行きますか」  クリスは昨日即席で買った服に着替えていた。靴だけは自前だ。ブーツなので何にでも合うよね。  黒のシャツに白いワイシャツ、ゆったりめのパンツ。めっちゃシンプルなのに、このハイブランド感。上下で五千円

        • 「1day彼氏は魔法使い」 第1話  #創作大賞 #ファンタジー小説部門

          【あらすじ】  社会人三年目の西森ゆりは自宅で「まったり休み前一人飲み」を楽しむべく、いそいそとワインの栓抜きを探していたところ、急に床が光だし魔法陣が…。そして現れたのは逆召喚された異世界のイケメン魔法使いだった。 1 床からイケメンがやってきた  今日は待ちに待った金曜日。私が一週間で一番好きな日だ。  会社帰りにデパ地下で豪華お惣菜三点セットと安いワインを買う。これが私の金曜の夜のルーティーン。 「あ~、今日はローストビーフがある。しかも半額シール付き! ラッキー