SaaSにおけるビジネスチャット領域の”PLG”を考察
こんにちはパートナーサクセス株式会社COOの秋國(@akikuni2316)です!
皆さんPLGってご存知ですか?
Product-Led Growth 私もこの本読みました!
今までプロダクトは営業がゴリゴリ売ってくるスタイルだったイメージが強いのですが、それはSales-Led Growth(SLG)というようです。
PLGで成長している代表企業ではZoomやSlackがあります。
特徴はこんな感じです。
・フリーミアムで顧客獲得
・バイラル効果
・絶妙なタイミングで課金ポイント
Product-Led Growthについては他の方も既に多く解説されているので今回は割愛します。
本日は、もう一つのPLGをご紹介します。
※はい、最近の流れに乗っかってます
いわゆる販売パートナーを獲得することでの営業手法の一つではあるのですが、ここではこのように定義します。
パートナーのコア事業に密接な関係構築ができており、パートナーの営業がベンダープロダクトを単独で提案しなくても、パートナーのコア事業が伸びることでベンダープロダクトも紐付いて伸びていく状態
今回は同じ業界で全く違う2つのPLGに取り組んでいるプロダクトベンダーを見ていきます。
ビジネスチャットのPLG
1:Chatwork
ChatworkはまさにZoom・Slack同様にProduct-Led Growthで伸びているプロダクトです。
2021年12月期 決算説明資料にも22年1月からPLG推進部が新設され、中期戦略ロードマップに組み込まれてます。
Product-Led Growth戦略
・プロダクト自身が成長を加速する、高効率なProduct-Led Growth戦略を推進
・ 強みである紹介でのユーザー増を加速させ、強力なカスタマーサクセス体制を構築
Horizontal x Vertical戦略
・業界理解を深化させ、顧客課題をともに解決するコミュニケーションプロセスを構築
・業界を問わないコミュニケーション機能に、業界特化の課題解決を組み合わせる
DXソリューション戦略
・チャットをプラットフォームとしたDXソリューション事業を展開
・スーパーアプリ構想に向けた周辺事業の拡張により、提供価値の最大化を進める
PLG戦略での成長イメージ
● 自然流入と紹介中心だったフリーユーザーに対し、広告宣伝費を投資して大きくユーザー数の拡大を狙う
● セールスのプロセスをカスタマーサクセスへと転換。ユーザーの利用状況に応じた高度なデータ分析をおこない、システムによる自動化を含めた効率的なカスタマーサクセスをおこなう
● フリーを含めたユーザー数拡大を進めることにより、スーパーアプリ構想のプラットフォーム価値向上を実現
実は、私は2018年〜2020年までChatworkに在籍しており、アライアンス中心に担当しておりました。
当時からフリーミアムモデル中心に顧客獲得の勢いがあったのを覚えています。
今後もProduct-Led Growth戦略が非常に効果的であろうと感じております!
それでは、もう一つのPLGです。
2:LINE WORKS
LINEのビジネス版と言われて、ワークスモバイルジャパン社が提供しているLINE WORKSです。
昨年11月に初めて実績数値が公開され、まさに規格外の実績に驚きました!
21年Q2のARR78.7億円です!
そんなLINE WORKSは、メインの販売チャネルにパートナーを活用しています。
そうです、Partner-Led Growthです。
販売パートナーの獲得だけではなく、ベンダーとパートナー・パートナー同士のエコシステムの構築こそが重要だと考えます。
LINE WORKSパートナープログラムは、お客様にLINE WORKSをご販売いただくパートナーを対象とした「セールス&サポートパートナープログラム」と、お客様がLINE WORKSを活用するために必要とされるサービスを提供するパートナーのための「サービスパートナープログラム」の2つのプログラムで構成されます。
LINE WORKSがお客様の仕事/はたらくというシーンのコミュニケーションにおいて活用され、「仕事、楽しい」を広げられるよう、パートナーの皆様とともにより一層のエコシステムの充実を進めてまいります。
例えば、パートナープログラムを用意されており、上位パートナーとのリレーション構築は完璧です。
特にPlatinumパートナーは、docomo・KDDI・Softbank・USENなど通信キャリアを中心にしています。
各社が取り扱いプロダクトとして自社webに掲載もしています。
LINE WORKSはスマホでの利用者を想定しているので、通信キャリアがモバイル回線など販売するときと相性が抜群なんです。
回線契約する時に一緒に契約できるので、請求関連も一括でまとめられるので導入企業からすると楽ですよね。
また、パートナーを表彰するアワードも毎年開催されております。
The Best Sales Performance
2021年に最も優れた販売実績を挙げられたパートナー様へ授与されます
The Best Collaboration
LINE WORKSのソリューション連携を強力にリードされ、ソリューションモデルの確立に貢献されたパートナー様を表彰いたします。
Business Growth
2021年に最も優れた販売実績を挙げられたパートナー様へ授与されます。
New Customer Success
LINE WORKSの活用により、お客様の課題解決と成功に貢献されたパートナー様へ授与されます。
The Best Deal Creation
年間を通して強力に提案活動を推進され新規案件創出で傑出した実績を挙げられたパートナー様へ授与されます。
Special Award
LINE WORKSの戦略テーマに率先して取り組まれ、顕著な実績を挙げられたパートナー様を表彰いたします。
実は、パートナーの実績や取り組みに応じて表彰するのはITベンダーであれば王道です。外資ITベンダーや国内でもソフトウェア・ハードウェアベンダーは絶対実施しています。
LINE WORKSは何が破格なのか
市場ベースでのARRは別格
先程ARRが21年2Q78.7億円と記載しましたが、これはどういう意味かわかりますか?
パートナービジネスのスキームにもよりますが、今回は卸売・再販売モデルです。
そうなると、定価の60〜80%でパートナーに卸している想定になります。
(%の数値は完全に私の想像です)
先程のARR78.7億円については、卸価格なんですよ。
定価ベースのARRでは100億円をゆうに超えていると考えていますので、実際の顧客市場で考えた時のLINE WORKSのARRは100〜130億円です。
こちらの資料によると7位ですが、実質3位くらいかなと。
LINE WORKSの戦略
「LINE WORKS」成長の鍵は現場、使いやすさ、地方--ワークスモバイルジャパン 福山社長(22/2/14)
2016年1月登場以降、緩やかに成長していたLINE WORKSは、2019年時点では100万人だったユーザー数が翌年2020年に200万人、2021年には400万ユーザーまで拡大した。コロナ禍におけるリモートワーク需要増があるものの、その理由について同社代表取締役社長 福山耕介氏は、「LINE WORKSの販売パートナーが昨年対比で約400%に増加。また、2020年、2021年は認知度向上のため、マーケティングに投資した」からだと説明する。
マーケティング施策は、「われわれ自身が顧客にLINE WORKSの良さをお届けする。(コロナ禍で)販売パートナーも動きにくく、販売パートナーに顧客自身から『欲しい』と言わせるため。販売能力だけに頼っていてはコロナ禍を乗り切れない」(福山氏)と述べつつ、テレビコマーシャルを2022年2月1日から再開させ、販売シナリオの準備に取り組んでいる。
終わりに
いかがでしたか。
同じビジネスチャット領域でも、2社の戦略は全く別です。
Partner-Led Growthに関しては、単純に販売パートナーに売ってきてもらうだけではなく、会社間でのアライアンス戦略が取られているか、パートナーのコア事業との親和性が取れており、パートナーが自社商材を販売する時に、ついでに売れること。また、プロダクトを販売することがパートナーの事業拡大に自動的に紐付いている関係になっているかどうかが重要です。
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