目に見えないもの(落ち穂R3.1.29)

 大宜味村にはぶながやがいる。大雑把にいうとキジムナーとほぼ同義のもので、村の4つのアピールポイントのひとつとして定められ、あちこちにイラストがあったり保育所の花形パフォーマンスも「ぶながや音頭」だったりと、常に身近な存在だ。実際の目撃情報は田嘉里・喜如嘉・謝名城・饒波に限定されているようだ。近所にはぶながやを見た人にもいれば、そんなのいるわけないと一笑にふす人もいる。そうだ、地元のとっておきの面白いストーリーがあるから、共同売店に来てくれたらこそっとお話しするとしよう。
 私には霊感などは皆無だが、山のほうをちょっと歩いて、あちこちの小径や水場などいかにもぶながやや生き物の精霊がひそんでいそうなスポットをみつけては喜んでいる。亜熱帯の森にはやっぱり独特な雰囲気がある。
 お正月は大石林山へ行った。あそこは観音様が横たわっている形をしているのをご存知だろうか。北に向かうときはそのシルエットを意識してドライブするのがいい。どんどんテンションが上がる。その日申し込んでいたスピリチュアルガイドツアーは、予約が定員の倍近く入ったとのことでガイドさんを増やしてくれていた。このツアーは楽しいし勉強になるからとてもおすすめだ。有名人が訪れたり、恋愛や健康のご利益があるエピソードを強調する広報のしかたは必ずしも自分の好みではないが、わかりやすくして間口を広げ、神様の存在を秘めたものからオープンなものにしていこうという方針には、シェアと透明性の時代を感じる。入園料を取り、価格が高めに設定されたスピリチュアルガイドツアーの参加者しか入れないエリアを設けるのも、聖地を守りながら多くの人に開放するためにいいシステムだと思う。
 極端で不条理で混沌としている今の世を中和させるには、精神性がひとつのキーワードになってくる気がする。これから人はさらに大石林山に向かうのではないか。
 正月早々、本当に晴れ晴れと、すがすがしい気持になった。いいところに住まわせてもらっている。

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