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大政展タイトル「ハーモニー」に思うこと

私の自宅の敷地のすぐ横に小川が流れています。せせらぎの音が心地よい素敵な環境なのですが、夜中に大雨が降ると洪水が心配で一時避難をすることしばしば。先日の大雨もまさにそんな状況で、被害も多少あって疲労感が残る朝にインスタをけだるくスクロールしてたら、くっと心に入り込んできたのが、自分のお店の投稿写真、「ハーモニー」。(手前味噌)




大政さんは今年合気道を始めて、相手との優劣を競うかわりに相手の力と調和するところに心を惹かれ、たくさんのものどうしの関係が、やきものでいえば土・釉薬・炎・そして自分自身の手とが調和で出来上がっていることを意識するようになったそうです。窯からはいつも素直にそのままの気持ちが形になって出てくるそうで、今年は作品どうしの間にハーモニーを感じ取った大政さんはそれをタイトルにしたのですが、ふと、前日夕方に訪れた名護市営市場の路地の、仕事終わりの時間帯の風景がよみがえってきました。

あちこちで雑談の声が聞こえたりおじさんが自転車に乗ってすーっと横切ったりと一見当たり前の風景ですが、古くからの市場のたたずまいが一部残る路地のたたずまいが妙に心に沁みたのでした。

ああ、これは「ハーモニー」だ。

唐突にそう思いました。

別に仲良しのみんな、同級生や同窓生など似たような境遇の人たちだけが入居しているわけでなく、いわゆる市場の魚屋さんやお惣菜さん、古くからのお直し屋さんもあれば、素敵な陶芸工房やエプロン屋さんや人気コーヒー店やパン屋さんもあります。おしゃべりも無口もいれば、気の合う人ももしかして大嫌いな人とかも、さまざまな人たちが雑居して市場で事業をしながらお客さんと交わりお互いが交わる。そのために市場の狭い路地だったりちょっとした広場だったり、建築や設計も一役買っていて自然と会話が生まれる。そこには人々の生活があり、市場が保たれるためのナチュラルな調和がありました。

今取り壊しが話題になっている本部町営市場もしかり。2006年から2020年まで続いた月に一度の「もとぶ手作り市」を通じて息を吹き返した、趣のある古い市場。「もとぶ手作り市」をきっかけに生まれた交流の数ははかりしれず、私だってどれだけお世話になり、主催者を陰ながらリスペクトしてきたことか。
時々行くたびに感傷的になるのは、細い筋が縦横無尽に迷路のように入り組んで、市場っぽい匂いもなんとなくただよって、昔から入居している地域の方や移住者や観光客や学校帰りの子供たちが自然に行き来する、「ハーモニー」のしわざ。

話は横にそれますが、ご存じの方もいるとは思いますがこの本部町営市場の取り壊しが決定しました。入居事業者たちにとっては寝耳の水で、存続を求めるオンライン署名がスタートしています。
詳しくはこちらのリンク先をご参照ください。市場がいかに大切な場所かがよくわかる内容になっています。
https://www.instagram.com/p/DB_eqeQTAmc/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
またひとつ、貴重な文化遺産が無造作に失われようとしています。

喜如嘉翔学校でも芸術縁日でも、大宜味村で地域活動っぽいことをやるときに、いつもお手本はもとぶ手作り市の取り組みです。民間の地道な努力の積み重ねで生まれる「ハーモニー」を、喜如嘉翔学校でも見てみたい。

といってもここは過疎地域の集落のはずれにある学校跡地だから、市場のようにはいかない、けれどここでは自然とぶながやと人間との寓話的なハーモニーが奏でられることになるのではないか、と思うとソワソワワクワクしますね。

と、一周回って山原工藝店大政展のテーマに戻ってきました。
大政さん、改めて素晴らしいタイトルをありがとう。

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