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生ごみと土中コンポストでリジェネレーション

豊かな食材でおいしい料理をつくり、食卓を囲む。
明日へのエネルギーを、作物からたくさんいただく。
そうして残るのは、生ごみ。キッチンの嫌われ者。

この生ごみを腐らせたり捨ててしまうのでなく、リジェネラティブ生活のサイクルに組み込めないものか。

半年前、裏庭に生ごみを埋めた。
こんなことしていいのだろうか。いやな匂いが発生しないか。ご近所さんに見られたらどうしよう。
心配はいくらでも沸いてくるが、「生ごみは埋めれば土になって、肥料として使えるのよ」との母の力強い言葉にどうしても惹かれ、実行した。

そして今回、その場所を掘り返してみる。
小さいスコップで、少しずつ、丁寧に。

すると、どこまで掘っても、さらさらの土しかない。
生ごみはあとかたもない。匂いもない。感動できる。

目には見えない微生物が、分解を進めてくれたのだ。

これぞ我が家に伝わる土中コンポスト。

コンポストについてはご存知の方も多いと思うが、改めて。
コンポストとは、家庭から出る生ごみや草、落ち葉を、微生物の力を借りて堆肥に変えるものだ。
有機物の変身装置ともいえる。

焼却施設で生ごみを処理すると、水分を蒸発させるために大量のエネルギーが消費される。コンポストで分解すると、そのエネルギーの節約になる。とてもエコだ。

最近では、マンション住まいでも利用できるプラスチック製のコンポストや、段ボールを活用する方法も多々紹介されている。
これらには、時々かき混ぜたり、有機物を混ぜ合わせたりと、ちょっとしたコツがある。

一方、山形の我が家のやり方はとてもシンプル。土に穴を掘って、埋める。ただそれだけ。

祖母のやり方はさらにお手軽で、埋めずに土の上にブツを放置していたっけ、、。
その光景はあまり心地よいものではなかった。
そういえば、野良猫さんがよく来ていたし、匂いもでていたような。

鶴の恩返しのように、微生物の活動シーンは土をかぶせて、あえて見ない方が良さそうだ。

しかし、生ごみはキッチンで放っておいたら腐るのに、土に埋めるとなぜたい肥になるのだろう?

そもそも、「腐敗」と「堆肥化」の違いとは何だろう? 

どちらも微生物による有機物の分解劇という点で共通しているが、どうやらポイントは、酸素の有無だ。

腐敗は、より酸素の少ない環境で進行するという。
酸素が不足すると、「嫌気性微生物」が活動し、分解の過程で、硫化水素、アンモニアなどが発生する。それが悪臭の元となる。
また腐敗は、病原体や害虫の温床にもなりうる。

一方の堆肥化は、有機廃棄物を肥料として再利用するための分解プロセスだ。温度、湿度、酸素供給を人の手でコントロールすることで、効率的に分解が進む。
「好気性微生物」が活躍する環境をつくることで、不快な臭いも抑えられる。

おいしい空気をたっぷり吸うと心も体も元気になる私たちと同じように、酸素をたっぷり吸える環境を用意すれば、微生物たちによるリジェネレーションが活発に進むのだ。
ぬか床と同じ原理。

こうしてできたたい肥は、次に生まれてくる植物たちのエネルギーとなり、循環していく。

今回、裏庭の片隅に、コンポスト用の区画を2つ作った。名付けて土中コンポスト1号機、2号機。お笑いコンビのようだ。

区画を設けることで、埋めた箇所がわかりやすく、毎日発生する生ごみを都度、違うところに埋められる。

週明けから東京に戻るが、1か月後に山形に来る時に、1号機、2号機の中はどうなっているだろう。

リジェネラティブ生活では、楽しみが一つ、また一つと増えていく。

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