見出し画像

スペイン滞在2024 8てんびんにかける

あっという間にスペインに来て一か月が過ぎた。
確実に日が短くなってきてはいるが、暗くなるのは21時半。夜型の生活はまだ続く。
アルゼンチンのパタゴニア地方に住んでいるチュースの元親友の息子35歳もスペインにやってきていた。というのも、アルゼンチンの経済情勢がかなり悪化しているらしく、アルゼンチンにいても商売はあがったりだし、高齢になったおばあちゃんに会いに来たというわけだ。
アルゼンチンはトランプみたいな新しい大統領になってから、さらにさんざんな状況になっているらしい。インフレは止まらないし、さまざまな補助金が打ち切られ、本当に食べるにも困る人たちが出てきている。さらに、その状況に耐えかねてデモ行進などをしようにも、法案が厳しくなり、路上を塞いでデモ行進をしようものなら、逮捕されると彼は言う。

人々の生活に深刻なダメージを与えているのはインフレで、彼は溶接工なのだが、以前は仕事を受ける時、材料費と同じだけの手数料をもらっていた。
それが材料の高騰で、手数料を抑えるようにしないと受注が来なくなり、最近は手数料を材料費の半分程度にしても、仕事が来なくなってしまった。本当に人々はお金がないらしい。

彼にそんな話を聞いたのは私がスペインに到着して間もない頃で、それから1か月たって、先日、また彼が遊びにやってきた。彼は夏休み代替え要員の仕事を見つけて、とりあえず2か月の契約で仕事を始めていた。「どうするの?しばらくスペインに残って仕事をするの?」と聞いたところ、毎日それを考えているという。スペインにもアルゼンチンにも難しい点があるからだ。
「スペインはアルゼンチンよりずっと給料が高く、物価は安い」けど、アルゼンチンだったら田舎の自分の家に住めるけど、ここでは家賃を払わなければならないがそれがすごく高い。オビエド(アストゥリアスの県庁所在地)だと少なくとも600ユーロ以上でそれを払うのは馬鹿らしい。でも、少し郊外に住もうと思うと車が必要で、それも結局お金がかかる。(しかも彼はアルゼンチンでは車を持っている)結局、アルゼンチンより高い給料をもらっても、スペインでは出費が多いので、貯金にはあまり回らない。自分の時間を犠牲にして、一日8時間働くというストレスの代償にはならないのではないか。アルゼンチンでは、自分の家に畑もあるし、牛もいるので、食費はかなり抑えられるけど、スペインでは友達と会って一杯ビールを飲んでサンドイッチなどを食べるとお金がどんどん出ていく。

物事にはもちろん良い面もあれば悪い面もあるわけだけど、一か月スペインで生活してみて(スペイン滞在は7回目ではあるけど、いつも旅行に出たりしていたので、しっかりチュースの家にずっといて暮らしているというのは初めて)良い面の裏が見えてきた。例えば
・スーパーで売っているものが美味しいので、チリでは絶対買わないお菓子やジュースなど余分なものも買ってしまう。(チリのおかしやジュースは美味しくないので買いたくない)
・もちろん生ハムやチョリソーも美味しいのだが、保存料がたくさん入っている。そして、やたらみんな肉食。

生ハム 美味しい。

-チュースは毎日友達に囲まれて楽しそうだけど、お酒を飲みすぎて先週は2回記憶をなくすほど酔っ払っていた。(チリにいたらそのレベルまで飲むのは多くても月に一度程度)
・友達や愛娘とシェアするためにビールや食べ物をたくさん買ってしまいお金がかかる(これもチリの3倍以上)
・そんなわけで、チリよりはごみのリサイクルが進んでいるとは言え、ごみがやたらと出る。

チリの生活は、毎日顔を合わす人も少ないけど、もっとシンプルだ。そんなに買い物に行かないからごみもそんなに出ないし、加工食品はほとんど食べない(なぜならそんなに美味しくない)ので、保存料を体に入れることもない。甘いものも時々しか食べない(市販品はあんまり美味しくないか、美味しいとすごく高いので、甘いものは自分で作らないとない)
スペインのチュースの家での暮らしは、楽しい。やっぱりすぐご近所にいろんな人がいるのは嬉しい。

昼食会

そして、チリにトータル15年住んでいるのに、スペインで話されるスペイン語の方がよくわかる。しかし、ここで暮らそうと思ったら、税金も高いし、食べ物を売るハードルも高い。

チリにも、アルゼンチンにも、スペインにも、日本にも良いところとそうでもないところがあるよね・・・・。




いいなと思ったら応援しよう!