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私とネオロマンス、私とアンジェリーク

※個人の感想です

アンジェリーク、それは『乙女ゲーム』の夜明け

 『ネオロマンス』とはコーエーテクモゲームス発の女性向け恋愛ゲームの総称である。男性キャラと恋愛する、いわゆる『乙女ゲーム』であるが、ネオロマンス最初の作品『アンジェリーク』がこの世に生まれたのは1994年。『乙女ゲーム』という言葉はまだ存在せず、そもそも女性向け恋愛ゲームそのものがなかった。
 令和の世ではコエテク以外からもたくさんの名作乙女ゲームが生まれているが、ネオロマンス作品『アンジェリーク』が名実ともに女性向け恋愛ゲームの先駆けなのは間違いない。他のメーカーの乙女ゲームと比較してどうこう言っているわけではなく、これは「歴史」の話であり、乙女ゲーム界隈での「教養」と言えるだろう。
 そしてそのネオロマンスが2024年9月23日にめでたく30周年を迎える。ネオロマンス30周年、それはつまり『アンジェリーク』30周年であり、乙女ゲーム(女性向け恋愛ゲーム)30周年である。実にめでたい。
 私は普段からnoteに乙女ゲームの感想を書き散らかしているが、そういえば乙女ゲーとの出会いについては語ったことがない。
 そこで、今回は私とネオロマンス作品との出会いを振り返ろうと思う。

運命の出会いはクリスマスイブに

 私とネオロマンスとの出会いは大学時代に遡る。これは、私がゲーム発売当時(30年前)にすでに大学生だったということではなく、「大学生の時に初めてネオロマンス作品に触れた」という意味だ。「小学生の時に親からアンジェリークを買い与えられた」というエリートもいる中、私はかなり遅めのネオロマデビューである。

 その運命の日、私を含めた女4人は、鍋をつつきながら酒を飲むことになっていた。4人のうちの一人がアパートの自室を提供する形の宅飲みである。
 真冬、外は雪模様、というかクリスマスイブであった。
 そんな日に女4人でわざわざ集まったのには理由がある。参加者4人のうち2人までもがクリスマス目前で彼氏と別れたので、『その話を聞く会』開催が急務だったからだ。さらに言うなら私と残りの一人は、他県の学生と遠恋中であった。「遠恋だからなかなか会えないし〜」などと言ってはいたが、クリスマスイブに「君に会いたい」「私も!」と互いにアツく連絡を取り合わなかったのだ。その関係は「お察し」であり、別れは秒読み。人の失恋を慰めている場合ではなかった。
 飲み会開始早々、主催が「元カレへの呪詛」を吐き出し始める。肉が煮えるまで待ってはいられねえとばかりに、菜箸を握りしめてのトークであり、拝聴する我々の背筋も伸びた。
 クリスマスイブの夜。外は静かに雪。元カレとそいつの今カノへの呪詛を吐く友人。場所が場所なら殺人計画か、逆に何らかの謎解きが始まってもおかしくはない。風水的にも良くない気がする。
 そう、私とネオロマンス作品『アンジェリーク』は、こんな地獄みたいな飲み会で出会ったのだ。

 しかしここに『アンジェリーク』はまだ登場しない。しばし待ってくれ。順に話す。
 この時、参加者4人のうちの残り一人はまだ到着していなかった。彼女はケーキを調達してから合流する予定だったが、雪で道が混んでいたために参加が遅れたのだ。
「遅れてごめん!」
 そう言って彼女がケーキを手に登場し、女4人の飲み会はいよいよ盛り上がった(このアパートは人里離れており、両隣は留守。ということでそれなりに騒いでも大丈夫であった)。
 酒も入り、互いに愚痴を吐き出し合うとわりとすっきりしテンションもあがる。家主である友人は中古のPS(2ではなかったと思う)を所有していたので、当時ハマっていた音ゲーをやることに。場はいよいよ盛り上がった。
 しかしここで注目したいのが、この中にゲーマーと呼ばれる人種がいなかったことだ。4人とも一般的に話題になるようなビッグタイトルのみを『ゲーム』と認識しており、私などゲーム機すら所有していなかった。ドラクエやFFといったメジャータイトルですらプレイしたことがなかったのだ。幼少期にゲーム禁止令が出されていたわけではない。実家の弟妹は普通にゲームで遊んでいたので、単に私がゲームにそこまでの興味がなかったのだと思う。

 前置きが長くなったが、要するに飲み会参加者の4人とも「ゲームにはそんなに詳しくなかった」ということだ。こんな4人のもとに、ネオロマンス『アンジェリーク』はやってきたのである。
「あ、そういえば」
 そう言って友人はバッグからビニールの袋を取り出した。
 ケーキを買いに行って遅参した友人である。地元住みの彼女は、弟だったか妹だったかに頼まれたソフトを買うため、ケーキ屋のあとで中古ゲーム屋に寄っていた。その時に何を思ったか、頼まれたソフトのそばに並んでいた『アンジェリーク』も一緒に買って、飲み会に持ってきたのである。 
 正確に言えば『アンジェリーク』ではなく『アンジェリークデュエット』だ。アンジェリークシリーズはたくさんの作品が出ていて、『アンジェリーク』『アンジェリークSpecial1』『アンジェリークSpecial2』『アンジェリークデュエット』『不思議の国のアンジェリーク』『アンジェリーク天空の鎮魂歌』……と、全部挙げたら素人は気が狂いそうになるだろうからこのあたりまでで勘弁してやるが、『鎮魂歌』『スイートアンジェ』あたりまではこの時すでに発売されていた気がする。同じネオロマンスの作品『遙かなる時空の中で』も発売されていたと思う。
 中古屋で見つけたくらいだから、『アンジェリークデュエット』は当時の最新タイトルではなかったということだろう。
 マリオとゼルダとドラクエとFF、音ゲーくらいしかやったことのない友人がなぜアンジェリークを手に取ったのかといえば、中古屋の手作りポップが「秀逸」だったからだという。
 そのポップの謳い文句は覚えていないが、生まれて初めて目にした『アンジェリークデュエット』のパッケージを「少女漫画の表紙みたいだな」と思ったことはよく覚えている。
 こういうキラキラしたゲームを私はそれまで見たことがなかったし、説明書(当時のゲームはキャラのプロフィールやゲームの進め方が載った説明書がついていた)を読んでも「とりあえずドラクエやマリオとは一線を画すゲームだ」ということしかわからなかった。説明書には「ライバルと競って宇宙の女王を目指す。でも場合によっては…」みたいなことが書かれていたので、私たちは皆それを鵜呑みにし「なるほど恋をしつつも女王になるのがこのゲームの最終目的なんだな」と思った(素直なのだ)。そこにもし「恋愛エンディングを迎えるのが主目的です」と書いてあったら、初回プレイはもうちょっとなんとかなったのかもしれない。
 まとめると、
私の初ネオロマンスは中古の『アンジェリークデュエット』、そして複数人でのプレイ だったということだ。 
 そして、心から発売を楽しみにして『デュエット』を手にした女王候補たちには本当に申し訳ないが、当初私たちはこのゲームをものすごく小馬鹿にした感じでプレイしたのである。

4人の女王候補

 古参のリーカー(アンジェリークファン、アンジェリーカーの略称)にぶっ殺されそうだが、私たちは初めて拝見する守護聖様のお姿に対して、
「ありえないロン毛」
「身長でかくない?」
「添えられたセリフすごwww」
 とかなんとか笑っていたのだ。声優さんの名前すらわからない。
 バカバカバカ!!
 黙れ子娘ども!!!!
 なんたる不敬!!!!
 と今なら思う。思うが無知ゆえの過ちだとご理解ご容赦願いたい。
 とはいえ初めて見るタイプのゲームだったので4人とも興味津々ではあった。
 『アンジェリークデュエット』は他の乙女ゲームではほとんど見られないダブルヒロイン方式である。ヒロインはアンジェリークとロザリアの二人。アンジェリークをヒロインに据えるとロザリアがライバルになり、ロザリアをヒロインに据えるとアンジェリークがライバルになる。攻略対象は同じだが、アンジェリークとロザリアでは性格が全然違うので、男たちの対応やセリフも違ってくる。タイプの違う二人とどう恋に落ちてその相手にどう接するのか、その対応が攻略対象の人格に深みを与えている。……などと小難しいことを考えていた訳ではないが、この時の体験がその後の私の乙女ゲームプレイスタイルと二次創作スタイルに影響を与えているのは間違いない。

 アンジェリークとロザリア、どっちをヒロインに選んでもよかったのだが、「縦ロールが面白い」という理由でロザリアを選択した。ゲームタイトルからもわかるように本来の正ヒロインはアンジェリークなのだが、そんなことは関係なかった。何度も言うが、私たちはこの時まで『アンジェリーク』の存在を知らなかったのだ。アンジェリークとロザリア、どっちも同じ扱いのヒロインなのが『デュエット』なのである。
 しかしヒロインの名前はデフォルト名「ロザリア」ではなく、4人でじゃんけんし勝ったやつの本名で設定することになった。
 その際に星座と血液型も入力するのだが、これが実はこのゲームにおいてかなりの重要ポイントである。しかしこの時はまさか星座と血液型がこの先のゲーム展開に大きな影響を与えるとは夢にも思わなかった。
 初回プレイはソフトの持ち主を尊重し、ヒロインをさそり座O型とした。
「とりあえず何すればいいの?」
「わからん」
 こうして、完璧な女王候補ロザリアは何もわかっていない奴らによって動かされることになったのだった。

屈辱の初回プレイ

 『アンジェリーク』はシミュレーションゲームで、九人の守護聖の持つ九つの力を使って大陸を育てる。ライバルを牽制しつつうまく大陸を育てた方が試験に勝利し女王になる。女王になると恋人は作れない。恋人を作ると女王にはなれない。恋か使命かの選択を突きつけられるのが『アンジェリーク』の醍醐味である。
 九つの力を送ってもらうためには守護聖のもとに通わねばならない。そうこうしているうちに守護聖たちはヒロインのやる気を評価し始め、わざわざ仕事のある日に遊びに来たり、デートという名の圧迫面接を行ったりして、恋愛関係に発展していく。
 本来は「そこ」がメインなのだが、初心者にはそんなことはわからない。だから「とりあえず大陸をバランスよく育てないと」と思って、まんべんなく守護聖のもとに通った。それでこそ完璧な女王候補ロザリアだが、それだとマジであっという間に女王になってしまう。女王になったら悪いのかよという話だが、悪いに決まっているだろう、恋愛ゲームだぞ(※個人の感想です)。
 なにしろ1日の行動エネルギーが決まっているので真面目に仕事だけしていると、恋愛する隙がないのだ。しかもこのゲームは、真面目に仕事だけをした女よりも、デートをしまくって守護聖に恋心を抱かせた女の方が最終的に勝利に近づく。
 理不尽極まりないが、そういうゲームなのだ。
 しかし当初、我々はそのことに気づかず、土の曜日だろうが平日だろうがおかまいなしにデートに誘いに来る守護聖たちを「仕事の予定があるので」と追い返していた。
 「寝る前には必ずセーブ」。そんな義務教育レベルの知識すら持たなかったのだから、今思えばライバル候補アンジェリークに負けるのは当たり前だ。しかもアンジェリーク=ライバル=敵という認識だったので、彼女と仲良くしようという発想もなかった。つまり恋どころか友情も得られていない。
 こうして私たちの生まれて初めての乙女ゲーム、生まれて初めてのアンジェリークの結末は、女王にもなれず女王補佐官にもしてもらえず、もちろん恋も始まらないという、いわゆる帰還エンド。セーブ&リセットもたいしてしていなかったので、あっという間に試験が終わった。
 まさに「完敗」であった。

「嘘でしょ」
「なんかすぐに終わったんだけど」
 地位も恋も友情も得ていない私たちは、しばしポカンとした後、酒を呷った。
「やるか、2回目を」
 あんなに小馬鹿にしていたくせに、この時から全員が完全に「やる気」になっていた。
 お忘れかもしれないが、この集まりには失恋した女と失恋秒読みの女しかいないのだ。それなのに、恋愛ゲームでライバルに負けて恋も地位も得られていない。そんなことが許されていいのか。このままでは終われない。
「的を絞ろう」
 それが全員の見解だった。一周目、ライバルアンジェリークがマルセルとゼフェルを完全に手中に収めていたのを見ていたからだ。この二人がこちらをガンガン妨害し、アンジェリークの大陸に勝手に力を送るせいでいくら真面目に育成しても追いつかない。だからそれを真似て、我々も誰か二人くらいに集中して育成を頼めばよいのではないかという話になったわけだ。
「で、誰にする?」
 こうして会議が開かれた。一周目に占いの館に行って初めて、最初の星座と血液型で守護聖との相性が決定することに気付いた。
 前回プレイはさそり座O型。やけにクラヴィスばかりが遊びに来たのも仲良くなりやすかったのも滝で祈ったらクラヴィスしか来なかったのも、彼との相性がやたらと良かったせいである。
「相性92なんて他になかなかなさそうだから(←そんなことはない)、星座と血液型はそのままにして、クラヴィスと仲良くなろう」
「セーブはマメにすべき」
「とりあえずデートは断らないようにしよう」
「公園の面接に備えてメモを取るぞ」
 こうして「クラヴィス狙い」というざっくりとした方針が決まり、気分を変えてアンジェリークをヒロインに据えての2周目開始である。ちなみにまだラブフラで相性操作が可能だとは気づいていない。

そして女王の座に…

 セーブを覚え、デートをするようになった結果、2周目は1周目よりも格段に腰を据えてプレイできていたと思う。仲良くなるとライバルが妨害してこないのではないかと気づいてからは、今回のライバルロザリアともよく話すようになった。
 相性92の効果により、クラヴィスはかなり早い段階で我々の手に落ちた。頼まなくてもプレゼント育成でバンバン建物に建つ。我らの大陸は闇の力で真っ黒に染まった。その分行動力にも余裕が出て、「もう一人くらい仲良くなってもいいのでは」と皆が思い始めた時、コントローラを握っていた友人が言った。
「ねえ、みんなはこの中で誰が好き?」
 恋愛ゲームをやっていたわりに、私たちは大陸の育成のことにばかりに意識が向いて、2周目の半ばまでそういう話をしていなかったのだ。
「私はね、なんだかんだ言って優しいからクラヴィス」
 さすが、コントローラを握っているだけあって最近ずっと一緒に過ごしているクラヴィスのことが気になり始めたようだ。この段階でウェルカムメッセージが声付きになっていたのも大きい。塩沢ボイスはアニオタじゃなくてもかっこいいと思うものなのだ。
「優しいって言ったらリュミエールじゃん。さっきゼフェルの後に執務室行って優しくされたの忘れた?」
「そんなこと言ったら優しいのはオスカーでしょ! あとこの人ってきっと誠実なんだよ、好きな女には」
「ルヴァだよ、ルヴァ。結婚するなら絶対ルヴァ」(←私)
修学旅行の夜かよと思った。
 また「架空の男の事で争うなよ」とは誰も言わなかったし、四人もいるのに推し被りがないのも面白い。
 結局どうやったら守護聖からしてもらえるのかがわからず告白前に女王に選ばれてしまったが、今回はロザリアが補佐官として残ってくれた。
 こうして私たちは「ライバルに負けるまい」とプレイしているうちに、当初は斜めに見ていたゲームに本気になり、守護聖たちの性格や好みを把握しだし、各々の推しが生まれていった。
 楽しかった。
 別れた男の愚痴と今カノへの呪いをネタにしてのパジャマパーティーより、推し守護聖様の魅力を語るパーティーの方が百万倍健康にいい。

初めての恋人は闇の守護聖様

 夜も更けた3周目。
 じゃんけんで勝った別の友人の星座と血液型を使ったのだが、彼女は山羊座O型。そして別の友人が牡牛座O型。
 そう、古参ならおわかりだと思うが、なんの偶然か3人ともクラヴィスとリュミエールとの相性がやたらと良かったのだ。
 (滝に)祈っても祈っても闇と水しか来ねえ。
 私たちは滝と相性の連動性に気づいていなかったので、「『水』の守護聖だからかな?」「ここが暗がり(闇)だから?」などと言い始める始末だった。
 もしこの時、じゃんけんで負けた私の星座と血液型を使っていたら、滝には光と風しか来ないという事態になっていただろう。
 祈ったらほとんどクラヴィスしか来ないのだから、私たちが初めて迎えた恋愛エンディングの相手は当然のようにクラヴィスだった。ちなみにその時のヒロインはロザリアだ。
 『アンジェリーク』での初恋愛エンディング、それはつまり乙女ゲームでの初恋愛エンディングでもあったのだが、実はこの時のことを私はあまり覚えていない。
 なぜなら、途中で寝落ちしていたからだ。こたつで気持ちよく寝入っているところを完徹していた友人たちに「ちょっと!! クラヴィスが何か言い始めたんだけど!!」(←森の湖3段階目)と叩き起こされたのである。
 寝ぼけた頭には、塩沢クラヴィスの静かな低音があまりに心地よく、そのままぼんやりしてしまったのだろう。告白の内容を全然覚えていない。
 それでも達成感でいっぱいだったし、この瞬間その場にいた者たちは皆、三次元での失恋話など忘れていたと思う。
 クリスマスイブが明けて、クリスマス当日の朝の出来事である。ちなみにホワイトクリスマスだ。
 それまでろくにゲームに触れてこなかった人間に対して、いきなりの『アンジェリーク』はあまりにも破壊力があった。この夜こそが私にとってのエポックメイキング。ゲームや二次元の男に興味を向けるきっかけになったのである。
 
 その後、私たち4人は全員この時の交際相手(三次元の)とは別れたが、ネオロマンスとは別れなかった。私たちの友情も続いている。

ロマンスは続くよどこまでも

 この飲み会の後、私は生まれて初めてゲーム機を買って、生まれて初めてゲームソフトを買った。ソフトはもちろん『アンジェリークデュエット』である。
 以来、就職、転職、結婚、出産などで離れてしまった時期はあるが、それでもネオロマンスはずっと私のそばにいてくれた。
 どちらかと言うと私は、幸せな時よりも苦しい時にこそネオロマンスゲームをやるタイプだ。
 仕事で腹のたつ顧客にあたった時、こっぴどく失恋した時、子育てで大変な時、そういうキツい時にほんの少しの時間を見つけてはゲームを起動しネオロマンスに癒されてきた。
 腸が煮えくり返るほどの怒りや苛立ちや悲しみも、男を一人攻略する頃には浄化されているのだ。これはもはや『医療』だろう。
また、私にはいわゆる「推しカプ」ができ、ここ数年は毎年同人誌も出すようになった。想像力ばかりかそれを文章にする力、さらには誰が読んでくれるかわからないような話を一冊につき数万字綴る体力と精神力も鍛えられた。この先も痴呆防止などに効果を発揮してくれることが期待できる。やはり『医療』である。

 冒頭で述べたように今年はネオロマンス、アンジェリーク、乙女ゲームが生まれて30年、記念すべき年である。二世代、下手をしたら三世代でアンジェリークをやっているご家庭もあるかもしれない。
 現在、X(Twitter)では「ネオロマンス30周年カウントダウン」のタグが盛況だ。そこには元・女王候補のみなさんの沢山のポストが並んでいる。自分を見ればよくわかるが、アンジェリーカーという生き物は「もう引退したから」と言いつつ、アンジェリークの話題になるとどうしても「オスカー様の話」や「ラブラブフラッシュの話」をしに舞い戻ってしまうのである。中には「シャルロットポワールヴィシソワーズシュラスコネギトトウフノミソシル」という呪文を詠唱し始める者もいる。
 そんな方々が現在、カウントダウンタグを使って「実はうちにこんなグッズがあります」と、私が見たことも聞いたこともないお宝の写真をじゃんじゃんポストしているのだ。それらはきっとクローゼットの奥、押し入れの片隅に眠っていたグッズなのだろう。逆に堂々と祭壇に祀られていた可能性もあるが、就職、結婚、出産を経て転居しても、どうしても、どーーしても処分できなかった大事なグッズなのは間違いない。
 そう思うと実に胸が熱い。
 アンジェリークの話ばかりしているが、私は他のネオロマンスゲームも大好きだ。他のメーカーのゲームにも好きなものが沢山ある。
 私はこの先まだまだ、女王候補でありコンミスであり神子であり安土の盾でありたい。ヒロインに憑依したり、ヒロインの背後で見守ったり、ライバルや友情キャラの恋を妄想したり、いろんなプレイスタイルで楽しみ尽くしたいと思う。



















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