南東欧旅行記_Day 14 ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボからモスタルへ
サラエボ旧市街ホテルからサラエボ駅へ
前日の夕食後からなんだか左目の調子がよくないなと薄々感じていたのですが、朝目覚めたら顔と目がパンパンに腫れあがっていました。
人生で初めて結膜炎になってしまいました。
この日はサラエボからモスタルへ電車で移動する日で、朝7:15発の電車のチケットを2日前にサラエボ駅で購入しておきました。
この電車に乗るためには何時にホテルを出発すればいいかをフロントの方に前夜に尋ねたところ「1時間前の6:15」と言われて驚きました。
ホテルから駅まではタクシーで10分程度なのに、そんなに早くいく必要があるかなぁと思いつつも、アドバイスに従って6時過ぎにチェックアウトするべくフロントに行くと「タクシー呼んでおいたよ」と。
びっくりです。
駅までタクシーで向かう予定とは話したけど、タクシーを呼んで欲しいとは依頼していませんでした。
というのも、2日前にタクシーで嫌な思いをして、いろいろ調べてメータータクシーが適正料金と分かったので、ホテルの近くから流しのメータータクシーに乗るつもりでした。
フロントから見える位置にすでにタクシーがスタンバイしていたので、その状況で「自分でメータータクシーを探す」とは言い出せなかったです。
フロントで宿泊費を支払って外に出ると、少年のように若いドライバーさんがニコニコしながら待っていました。
車のどこにもタクシーの表示はない、いわゆるUberドライバーさんです。
2日前にサラエボ駅からホテルまで乗った黄色のメータータクシーだと8マルク以下だったのですが、「鉄道駅まで30マルクです。15€でも大丈夫です。」とニコニコしながらドライバーさんが言っています。
メーター料金の4倍以上の金額を払って乗りたくない。
でも、この人はいつから私のことを待っていてくれたのか分からないし、今さら断るのは申し訳ないなぁ。
あぁ、いまメータータクシーが通り過ぎていったなぁ。
でも(結膜炎で)目が開かないから、えいっ、もう乗ってしまえぇ。
ということで、乗りました。
最初に30マルクを渡して、もうこれ以上現金は持っていないとも伝えました。降りる時に追加料金を請求されないように防御線を張りました。
車はきれいで手入れが行き届いていたし、日ごろから乗客を乗せている感じはありました。ドライバーさんがホテル側と結託していたとは思えないのですが、もしかするとホテル側にキックバックが入るのかもしれないです。分からないです。
サラエボでのタクシー利用について
一般家庭の乗用車に取り外し可能なタクシーの行灯を付けているのがサラエボタクシーという会社です。サラエボタクシーにもメーターがついています。
空港敷地内で客待ちができるのはサラエボタクシーだけの特権となっています。
👇こちらのサイトでサラエボタクシーの外観をご確認いただけます。
他のメータータクシー会社は黄色の車体のŽuti Taxiと赤い車体のタクシー会社の2社があります。この2社は空港敷地内で客待ちができないため、空港到着時に黄色か赤の良心的なメータータクシーに乗りたい場合は徒歩で空港敷地外まで行き、流しのタクシーに乗車する必要があります。
👇空港敷地外の一般道で待機しているŽuti Taxi
メーターが原則ではあるものの、交渉制が禁止されているわけではないので、ドライバーと交渉して金額を決めて乗車することは可能です。ただ、この仕組みを悪用したサラエボタクシーのドライバーが、タクシーを下りる時に交渉した金額やメーターよりも高額な料金をふっかけてくるそうです。私が高額な料金を請求されたのはサラエボタクシーです。
サラエボ空港に到着した際のスーツケースターンテーブル横にサラエボタクシーの料金体系が掲示されていますので、空港からサラエボタクシーに乗車する時は写真を見せながらメーター料金を支払うことを伝えてから乗車した方がいいです。
石油価格高騰でサラエボタクシーは頻繁にメーター単価を改訂するそうなので、最新情報をご確認ください。
定額料金をサラエボタクシーのドライバー側から言ってくる場合はふっかけてきていると思われますので、他のタクシーを利用した方がいいです。
メーターは車のバックミラーに表示されます。メーターは簡単に非表示にできるためメーターを回さなかったり、メーターが壊れていると嘘をつくドライバーがいるそうです。乗車したら必ずバックミラーのメーターをチェックした方がいいです。
私が赤いタクシーに乗車した時にメーターが見づらくて、どこに金額が表示されているのか分からなかったのですが、ドライバーさんがすぐにボタンを連打してメーター表示を濃くしてくれました。
サラエボで使える配車アプリはMoj Taxiですが、サラエボタクシーしかこないのでおススメしません。
モスタルで知り合ったボスニア人と、サラエボで利用した赤いタクシーのドライバーさんに教えてもらった情報を総括すると以上のようになります。
もし再度サラエボに行くことがあれば、私は黄色か赤のタクシーしか利用しないです。
慣れない旅行先でタクシーに乗る時はスーツケースをトランクに入れられる前にちゃんと確認するのがポイントだなと今回思いました。
支払いの段階でドライバーさんと言い合いになった時にスーツケースが物質(ものじち)になってしまい、強気な態度がとれませんでした。
太っ腹なチップを払ったということにして、ぼったくられたという記憶はできれば抹消したいです。
ボスニア・ヘルツェゴビナ国鉄でサラエボからモスタルへ
旧市街にあるホテルからサラエボ駅まで向かったのですが、日曜日の早朝で道はすいていて、鉄道駅に6:15に到着しました。いくら何でも早すぎました。
鉄道駅はしがないカフェがあるだけで、他には何もなく寒い中1時間も電車を待つことになってしまいました。
駅の入口に👇このような運行表が貼ってあります。
こちらにどのホームから電車が出発するか書いてあります。
駅に電光掲示板はないので、この紙に書いてある情報がすべてとなります。
サラエボからモスタルへ行く電車は1日に2本しかありません
ホームに行くには階段を上る必要があり、エレベーターもエスカレータもありません。
サラエボ駅はホームは2つしかなく、ホーム間を線路横断して移動できるので違うホームへの階段を登ったとしても、線路横断してお隣のホームへ行けます。全然電車は来ないので安全に横断可能です。
ホームにはベンチとゴミ箱があるだけです。装飾も広告も何もないのでかなり殺伐とした印象でした。
6月11日の早朝は寒くて、持っていたシェルジャケットを2枚重ね着して電車を待ちました。
電車は定刻少し前にホームに入ってきました。12両くらい連結されているのですが、すべての車両の扉が開くのではなくて、進行方向前方車両しか扉が開きませんでした。どの位置で待っていればいいのかの目印などはなく、早くからホームで待っていたのに、電車に乗り込むのはかなり後ろになってしまい、空席を探すのに苦労して何両も車内を移動しました。
定刻から3分くらい遅れて電車は出発しました。もっと遅れるかと思ったのですが、意外とちゃんとしていました。
車内にはお手洗い、スーツケース置き場があります。食堂車も連結されていましたが、ホームに入ってくるときに見た感じでは何も販売していなかったです。
旅行前の下調べでは指定席制で進行方向左側が絶景だと海外YouTuberたちが言っていたのですが、実際は全席自由席で、言うほど絶景ではなかったです。
電車は山間を進むのでトンネルが多く、2時間の乗車のうち、景色のよい川沿いエリアを走るのは最後の20分くらいだけでした。
車内ではずっとレトロな歌謡曲が流れていました。
車内飲食は可能で、持ち込んだパンやフルーツを食べている方もいました。
電車は途中でいくつかの駅に停車しますが、停車時間は数十秒です。
出発して1時間くらい経過した時に車内検札がありました。腰が曲がったおじい様が検札しながらチケットを持っていない人には手書きのチケットを発行していました。
モスタルに着く直前には検札をしていたおじい様が「モスタル!モスタル!」と叫びながら次の車両へ行っていました。歌謡曲が流れていたので車内アナウンスはできると思うのですが、12両くらい連結されている電車内を叫んで乗客にお知らせするのは大変そうでした。
8割くらいの席が埋まっていた電車だったのですが、ほとんどの乗客がモスタルで下車しました。
サラエボからモスタルまでの2時間、ずっと涙が止まらず、ハンカチで目をぬぐっていたので、隣の席に座っていた方に「大丈夫?」と話しかけられました。悲しくて泣いていると誤解させてしまったようです。ごめんなさい。
サラエボに住んでいて、モスタルに日帰りで遊びにいくという英語堪能な女性とお母様でした。
「前日から調子が悪く涙が止まらないです。痛くないし痒くないけど目が真っ赤になりました。」と話したら、お母様の方が医療関係の方らしく「とにかく目を洗いなさい。モスタルについたら薬局で目薬を買いなさい」とアドバイスをくださいました。
体調が悪い時に優しい言葉をかけていただき、優しさが身に沁みました。ありがたかったです。
モスタル駅
定刻より15分くらい遅れて電車はモスタル駅に到着しました。
駅のトイレに行ったら、入口で普段着のおばさまに1マルク要求されたのでコインで支払ったのですが、トイレから出てきたらお隣のカフェで男性と一緒に座ってコーヒー飲みながらタバコを吸っていました。
トイレは不潔でトイレットペーパーはなく、個室の鍵はかからず、スーツケースは外に放置したまま狭い個室に入るしかなかったです。
トイレ利用料を支払ったのに、清掃が行き届いていないトイレは過去の旅行で何度も経験していますが、最低レベルのトイレでした。
今回の南東欧旅行ではこの時まで一度もトイレ利用料は支払っていません。ショッピングモールなどのトイレは無料で利用できました。
トイレ入口で係りの方にトイレ利用料を支払うのはヨーロッパではよくあることなので、言われるがまま1マルクコインを渡しました。
でも、もしかすると私はモスタル駅でトイレ集金係の方ではなくて、物乞いの方に1マルクお渡ししただけだったのかもしれません。分かりませんでした。
モスタル駅から観光スポットである旧市街までは歩いて20分くらいです。まっすぐ南に進むだけなので分かりやすいし、電車から降りた人がほぼ全員同じ方向に行くので迷うことはないと思います。
旧市街の手前から歩行者天国になっていて、カフェやお土産屋さんがならんでいるので歩いて旧市街へ向かうのは楽しいと思います。
モスタル駅を出たところにタクシー数台客待ちしているので、駅からタクシーで旧市街まで行くこともできます。
モスタルのホテル
旧市街ではないエリアのホテルを予約していたので、駅から15分くらい歩いてホテルへスーツケースを置きに行きました。
普段はGoogleマップのストリートビューでホテルまでの道のりや周辺の雰囲気をチェックしてからホテルを予約するのですが、モスタルはストリートビューが使えないです。(首都のサラエボでさえ一部分しか使えないです)
スポット写真を見て、なんとなく駅からホテルまで歩いて行けそうな気がしたので予約したのですが、問題なくスーツケース持って歩いて行けました。
快晴でホテルにたどり着く前に絶景を楽しめました。
ホテルモスタルに2泊しました。
目の調子が悪かったのでできればチェックインしてお部屋に入りたかったのですが、この時点でまだ朝の10時前だったので、さすがに無理でした。
スーツケースとバックパックを預けて旧市街へ観光に行くことにしました。
これまでのホテルとは違って、ちゃんと鍵がかかるお部屋にスーツケースを預けることができて安心しました。
振り返ってみるとこの日の午前中が一番症状が悪かったです。
目がかすんでしまい、5メートルおきに立ち止まって目をぬぐわないと歩けない状態でした。持っていたティッシュを使い切ってしまったので、買い足したかったのですが、日曜日だったためスーパーなどの小売店は全部閉まっていました。
モスタル観光
目がよく見えないけどホテルのお部屋に入れないので、観光スポット目指してホテルから旧市街まで歩きました。
私は全く知識がなく、単にカラフルな建物だなと思って写真を撮ったのですが、金正男さんの息子のキム・ハンソルさんが通った学校でした。
サラエボで「これは弾痕かな」と思っていくつかのビルをまじまじと見ていたのですが、モスタルはサラエボとは比較できないほどたくさんの弾痕が街中にありました。
モスタルは信号がほとんどありません。大きな道路の交差点はラウンドアバウトになっていました。歩いて横断する時はドライバーさんの方を見て、渡る意思表示をすれば止まってくれました。
信号があったのは丁字路くらいで、モスタル滞在中に1カ所しか見かけなかったと思います。
歩いていたら開店している薬局があったので、前日から不調で目薬が欲しいと相談したら、「その症状だと処方箋が必要。眼科で診察してもらって」と言われてしまいました。日曜日だしボスニアの眼科に行く勇気はなかったので、諦めて観光スポットを目指しました。
目がかすんで前に何があるか認識できないくらい悪化したので、カフェでしばらく休憩することにしました。店主さんも私が悲しくて泣いていると勘違いされたようで、陽気な音楽からジャズに切り替えてくれて、タバコの煙が店内に入ってこないように、開け放っていたドアを閉めてくれ、ご自身はテラス席で常連さんとおしゃべりして私を一人にしてくれました。なんてお優しい。
何度かカフェで顔を洗ってみたのですが、やっぱり目が見えない。
ダメもとでもう一度同じ薬局に行ったら、目薬を売ってくれました。抗アレルギーの強い目薬と涙成分のマイルドな目薬を渡されて「自分で検索して好きな方を選択してね。マイルドな方が私のおすすめ。」と言われたのでGoogleレンズで英語に変換してみるのですが、なんせ目が見えないし、翻訳したところで知識がないのでどっちを選択すればいいか分かりませんでした。
薬局の方おススメのマイルドな目薬を買いました。19.30マルク(=1,500円)の高級な目薬です。
目薬をさして、世界遺産の旧市街のスタリ・モスト(古い橋)へ行きました。
スタリ・モストは16世紀のオスマントルコ支配時代に石灰石で作られた橋です。
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争中の1993年にクロアチアからの砲弾で橋は破壊されてしまいました。
紛争終結後、川底にあった橋の破片を回収し、2004年にトルコ企業が橋を再建し、2005年に世界遺産に登録されています。
以来、モスタルに多くの観光客が訪れるようになったそうです。
数年前のクロアチア旅行の際に現地1日ツアーで訪れたかったスタリ・モストにようやく来れました。
===ツアーで置いてけぼりになったエピソードはこちらのnote
石灰石で作られている橋は表面がつるつるになっていて、橋のアーチ部分を登るのは簡単なのですが、降りる時はずるずると落ちながらアーチを降りました。
ランチはAščinica Sarayで日替わり定食Daily Offerをいただきました。
久しぶりのお米でした。ずっと濃い味付けが多かったのですが、いただいたランチは適度に薄味で美味しかったです。
日曜日でも開いているスーパーをGoogleマップで見つけたので、食後の散歩がてら行ってみました。
観光地にある小さな商店のようなお店で、他店が閉店しているので買い物客が殺到していました。ティッシュは売っていなかったのですが、お水は買えました。
旧市街で杖をついて物乞いしていたおじいさんがいたので、小銭を渡したのですが、そのおじいさんが同じ商店で買い物をしていました。とんでもなく大量の小銭をレジで広げて支払いをしてました。レジの方は嫌がる様子もなく、一緒に小銭を数えていて、なんとなくいつもの事なんだろうなと感じ取りました。
おじいさんの杖はフェイクで私よりも早歩きで帰っていくのを見てしまいました。たぶん、私と同じように「なんだぁ」と思った観光客がその商店にたくさんいたと思います。
ホテルのチェックインは14時~でしたが、そろそろホテルに入れるかもしれないと思い、13時ごろにホテルへ戻りました。
チェックイン時間前でしたが、無事にお部屋に入れました。
冷やすと目が楽になるのでフロントの方にお願いして氷をいただき、ジップロックに入れて目に当ててしばらく寝ました。
お昼寝していたら雷雨になってしまい、出かけるのが面倒になって、ホテルの近くのカフェでサンドイッチを買って夕飯にしました。
薬局で買った目薬をさしても症状は改善されず、不安になってきたので海外旅行保険会社に連絡してみました。
今回はHS損保の海外旅行保険に加入していました。もしもの時にLINEで連絡できるのが便利だと思ってHS損保を選んだのですが、まさか本当に連絡することになるとは。
現地時間で6月11日の深夜23時半でLINE電話でサポートセンターに連絡しました。
保険証券番号と症状をお伝えし、2日後に日本帰国便に乗るので日本で受診したいと申し出ました。
私の話を聞きながらオペレーターの方が手際よく、現地で受診できる医療機関があるかどうか調べてくださいました。
・残念ながら提携病院はないので、現地の代理店に連絡して受診可能な医療機関があるかどうかを確認して折り返し連絡を待つことができる。
・日本に帰ってからの受診でも帰国から72時間以内の受診であれば海外旅行保険でカバーすることが可能。
と教えてもらいました。
選択肢が分かったので安心できました。とりあえずその日は就寝して、翌朝の状態次第では現地で受診できる医療機関を探してもらうことにしました。
HS損保の方から「ご自宅に保険金請求書類を送っておきますね」と言っていただきました。弱っている時は人の優しさが本当にありがたいです。
Tripcoin
6月11日 1マルク(BAM)=75円 約24,900円
トップ画像はモスタルの世界遺産スタリ・モスト(古い橋)です。
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