現場で学び、実践の波に溺れる。学生バイトさんに、若かりし頃の自分を見た。
パート先に新しく学生バイトさんが入ってきた。
とはいえ、私とは部署が違うので接点はないのだが、私の席の近くに設定してあるパソコンで作業をするようだ。
うわー、いいなあ、初々しいなあ。と思いながら、過去の自分と彼女を、いつの間にか重ねていた。
私も学生時代に、デザイン事務所でバイトをしていたのだ。何をきっかけに、誰の紹介で始めたのか、全く覚えていないのだが、お世話になった人たちや事務所の空気感は、私の心にはっきりと蘇る。とても懐かしい。
今、私がこうしてAdobeのソフトで仕事ができているのは、ここのバイト先のおかげだ。メニューバーをズルズル引き下ろして作業を始めた私に、「え?なにしてんの?」とすかさずツッコミが入り、ショートカットという技術を叩き込まれた。「メニューバーなんか使っていたら、仕事にならないよ」と、ありとあらゆるショートカットが伝授され、そのスピーディーさに私は目を丸くしたものだ。「仕事とは、現場とはこういうものか」と、世界が180度変わったような感覚さえ覚えた。
デザイン事務所のバイトでは、ひょっとしたら学校よりも多くのことを学んだかもしれない。バイトとはいえ、仕事の現場なのだから、実践、実践、実践の連続。学生の課題とは緊張感が違うので、焦って失敗もしただろうし、「もう無理ー」というような甘えも出ただろうと思うのだが、怒られた記憶はひとつもない。皆さんとても優しくて、親身になって教えてくださった。
ただただ、感謝しかない。30年近くが経った今でも、感謝の気持ちが溢れてくる。
そんな経験をしているせいか、私は興味のあることや仕事として身につけたいことがあったら、勉強もそこそこに、現場に足を踏み入れるのが近道だと思っている。バイトでもいいし、ボランティアでもいい。とにかく実践の場に身を置くのだ。
今日からバイトに来た学生さんも、色々なことをたくさん吸収するといいな。老婆心全開で、そんなことを思った。