君はベイマックス 〜白いダウンジャケットを探して〜
中1の娘・フォカッチャの買い物に付き合った。白いダウンジャケットが欲しいという。
娘との買い物で、ひとつ心に決めていることがある。
娘がどんな服を選ぼうと、否定する言葉は絶対に口にしない。全て受け入れる、肯定する。「私はあまり好きじゃないな」と思っても、胸の中で消化する。センスがいいか悪いかは気にしない、常識的な服装を選んでいればそれでいい。
ところが今日は、思ったことを胸の内に留めておくことができなかった。
フォカッチャが選んだ白いダウンジャケット、ショート丈で〝イマドキ〟オーラが眩しいデザインだったが、それを試着したフォカッチャの姿が「某アニメキャラ」にしか見えなかったのだ。
「ごめん、言っちゃいけないこと、言ってもいい?」
「え? 何?」
「ごめん、ベイマックスにしか見えない」
「笑!」
ほんまやー。ベイマックスやー。と言うと、フォカッチャはさっさとダウンコートを脱いで、ハンガーにかけ直してしまった。
申し訳ない、だけど、どこからどう見てもベイマックスだったのだ。これだけは阻止せねば、と母として直感が働いたのだ。
・そのダウンコートの〝白〟は、蛍光灯のような白で、発色具合やツヤ感が、もろにベイマックスだった
・ショート丈だったせいか、〝団子〟感が強かった
・もしくは、コントに出てくる〝力士〟が身につけている被り物にも見えた
フォカッチャは私の「ベイマックス」という意見に納得してくれたようで、「ベイマックス」じゃない白いダウンコートを探すことになった。
・少し丈が長いだけでも、脱・ベイマックス。
・色が真っ白でなく、少し黄身がかっているだけでも、脱・ベイマックス。
ベイマックスじゃない白いダウンコートは、意外とすぐに見つかった。めでたしめでたし。