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枝豆が転がるのを見たことがあるか

枝豆をいただいた。
パート先で仕事をしていたら、「はい、枝豆どうぞ!」と大きめの袋を机の上に置かれたのだった。
「この中に枝豆のお菓子が入っているから、一つとってください」ということかなとプラスチックバッグの中をのぞいたら、大量の枝豆だったので驚いた。
え。食べられるの? これ? 茹で枝豆? いや、まだ茹でる前に見えるけど、とあれこれ考えながら「え、あの、これ…」とマゴマゴしていたら、「これね、毎年送られてくるのよ、丹波の生産者さんから。美味しいよー」とのこと。「いい枝豆だから、茹ですぎとか注意しないとねー」と朗らかに笑う社員さんが素敵だった。

家に帰ってきて袋をのぞくと、それはそれは立派な枝豆。さやがパンパンになるくらい豆が膨らんでいる。触ってみた感じ、ほぼ「球」だ。
突然だが、転がる枝豆を、あなたは見たことがあるか? 私は見たことがない、というか、転がしませんでした。転がしてみればよかった。転がっただろうなあ。

枝豆をサッと洗って軽く塩揉みしてから、さっそく茹でた。
鍋に湯を沸かし、そこにザザーーーーーと投入。グツグツと湯がく。
茹ですぎないように、と頃合いを見極めてザルにあげた。熱々を指先でつまんで味見をしたら、むーん、お・い・し・い! ものによっては少し苦味が残っているが、それもほんのり鼻腔をかする程度だ。丸々と太った枝豆って、こんなに美味しいんだなあと、お腹が空いていたのもあって、どんどん口へ放り込んだ。野菜を切りながら、パクッ。具材を炒めながらも、パクッ。キッチンドランカー(調理しながらお酒を飲む人)ならぬ、キッチン枝豆好き〜と命名しながら、よーく食べた。

夕食前にお腹がいっぱいになっちゃうパターンだ。ご飯が食べられないだけでなく、作るのが億劫になるのは困りもの。
しかし、枝豆のつまみ食いを止めることはできなかった。なんでこのとき、枝豆を転がすことを考えなかったのだろう、失念していたのだろう。枝豆が美味しすぎたからだけど、やっぱり転がしてみればよかったと、今になっても悔やむのであった。

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