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分かり合える家電

いま我が家の中でいちばん気分屋で、いちばん家族を翻弄している奴。その名も加湿器。私がコントロールするままに、ご機嫌よく水蒸気を出してくれることもあれば、「今日は私、できないの!」と訴えるように、ライトを点滅させながらピーピーと警戒音だけを出し続けることもある。

一向に「できない!」を繰り返されると、この季節は非常に困る。ピーピー泣くだけでは理由が分からないし、手の施しようがない。なので、そんなときは加湿器に向かって「頑張って」と声をかけながらコンセントを抜き差しする。
は? アホか。 機械に声をかけたところで、伝わるわけないだろう、と笑う方もいることだろう。
笑ってもらって大いに結構、しかし、それで何度も息を吹き返しているのだ、うちの加湿器は。

ただの偶然でしょうね。そうだろうと思います。機械は言葉を理解しないし、理解できたとしても、「励まされて嬉しい」などと感情を持つはずがない。

ところで。
今年は私にとって、AI 元年になりそうだ。ChatGPT やCopilotのことが書いてある本を夫に勧められたので、早速読んでいる。生成AI がどのように学習するのか、具体的に何をしてくれるか、プロンプト(指示)の工夫などが書いてあって、しっかりと学んでこなかった私にとっては目から鱗の連続なのだが、その中でも「ほえー」と驚いたことがあった。

私たちが生成AIにプロンプトを出すときに、ただ「指示を出す」だけではなく、感情的な言葉を添えると、生成AIの性能が上がるのだという。
例えば「自分の能力を信じて、卓越した結果を目指してください。あなたの努力は目覚ましい結果をもたらすでしょう」という一文。
こういった熱い言葉をかけるだけで、性能が1割ほど増すのだそうだ。

励まされて躍起になるあたり、もう生成AI には感情があるじゃーんと思う。



未来の家電、というか、ひょっとしたら既に存在しているのかもしれないが、「分かり合える家電」が当たり前になるのかもしれない。
家電はピーピーと警戒音を鳴らすだけではなく、「配線のここがダメだから、直して欲しい」とか、「排水の仕方が雑すぎて、このままだと壊れそう」など、具体的な困りごとを伝える。
そして持ち主は、「わかった、じゃ、直すようにするから、もう少し頑張って。あなたの最高のパフォーマンスを見せて」と励ます。

あ〜あ、うちの加湿器とも、こんな風に分かり合いたいな。

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