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いざ、ベルギーへ。ビザ奮闘記=完=

朗報です。

先週、やっとこさベルギーの滞在許可証、いわゆるビザを取得することができた。現地の大学院に進学するための、1年間の学生ビザだ。当初、ベルギーに住むために配偶者ビザを申請したのが去年の8月だったので、学生ビザ取得という最終決着が着くまでには、おおよそ丸一年かかったことになる。ベルギー移住の必要性が浮上した時点から数えると、1年と7カ月くらい。

その間、引っ越して実家に戻ったり、ベルギーに3カ月間行ったり、仕事を一度退職して新たな雇用形態でリモートワークしたり、ギリシャやドイツ、スペイン出張をエンジョイしたり、結局ビザの結果が分からぬまま強制帰国したり、配偶者ビザが出なかった場合に備えて大学院受験をしたり、実際に配偶者ビザを却下されて憤ったり、いろんなことがあった。

↑ビザそっちのけで、ギリシャエンジョイ中の私

ベルギー大使館でビザを受け取った際、最初から現実的な忠告をくれ、ずっと気にかけていてくれた窓口のスタッフさんが、「本当によかったですね」と声をかけてくれた。事情を知らないベルギー人スタッフは、「Enjoy your study in Belgium!!」と気持ちのよい笑顔でビザを渡してくれたけど、私は心の中で苦笑い...。もう2度と大使館にビザでお世話になりたくない。笑

結果を待っている間、どっちつかずで不安な時もあったが、できることはもうやり尽くしたという自負があったので、こうしてビザが取得できたことに、どこか他人に起きた出来事を聞いているような感覚がある。自分よりもむしろ、行く末を気にしてくれていた周りの友人や家族の方が喜んでくれたみたいな。まあきっと、こういうものは段々と実感が増すのだろう。

ビザ取得までを時系列にすると...

2018年
1月 ベルギー移住の可能性が浮上
4月 配偶者ビザに必要な書類を準備し始める
8月 仕事を一旦退職
     配偶者ビザを申請、本国照会のため結果が出るのは半年後といわれる
9月 ベルギーにビザなしのまま移住、リモートワーク開始
12月 ビザが出ないので日本に強制帰還し、同じ職場で再就職
   配偶者ビザだめだった時に備えて大学院を検討し始める
2019年
1月 配偶者ビザ却下の通知、大学院受験準備本格化
3月 大学院応募
4月 大学院より合格通知、学生ビザ必要書類取得
6月 学生ビザ申請
8月 学生ビザ許可の通知 

う〜ん、こうして振り返ると、自分はいろんな状況に耐え、よく頑張ったといってもいいか笑。ビザに翻弄される私を支えてくれた家族や友人、柔軟な働き方をゆるし、付き合い続けてくれた仕事場の人々にはもう感謝しかない。

ビザとのたたかいに大切な要素

ズバリ、忍耐と、周りの支えと、プランA・Bをもつことだと思う。移民を取り締まるビザという強大な制度の前で、一個人の力はあまりにも非力だ。不条理な制度であったとしても、どうにもできない。どうにもできないことは、憤りを通り越して、虚しさを感じるのだと知った。弁護士を立てるなどの裏ワザもあるそうだが、いずれにせよ時間も気力もお金もかかる。

最後まで乗り切るコツは、焦ったり悩んだり自分や他人を責めたりしすぎずに、自分で変えられることと、自分では変えられないことを見極める、つまり、ストレスマネジメントをすること。自分で変えられることに集中し、プランA実行中にプランBも用意すること。困ったり、気分転換をしたければ、周りに相談すること。そして、今目の前にある環境を楽しむことだったと思う。実際に日本にいる間、和食の素晴らしさや温泉、四季の美しさ、家族と友人と過ごせる時間を満喫した。

分断よりも愛を

私はこれまで、自分は日本人であると同時に地球市民であり、心の持ちようで世界は一つにつながれると思って生きてきた。そう実感する体験や環境が身の回りにあり、学生時代から社会人時代を通してその感覚を養ってきた。でも今回、ビザを通して、世界は国境と移民管理制度によって分断されている非情な現実を目の当たりにした。

私がベルギーにビザを必要としたのは、家族と一緒に暮らすためという理由だった。配偶者ビザを却下された時には、悲しくやるせない気持ちになった。しかし、例えば住んでいる祖国が紛争で崩壊し、他国に亡命しなければならない命の危険が差し迫った状況で、受け入れ国に却下されることがあれば、その人にとっては絶望や死を意味するだろう。これはシリアやソマリアから難を逃れるために移民している人々の間で、実際に起きていること。アメリカの国境でも、親子が引き離されたり、強制的に帰還させられる人はたくさんいて、それを強行する政治家が大統領として支持されている。

ここ日本も、難民申請の通りにくい国として悪名高い。実際に、不法滞在の人が入国管理センターでハンガーストライキ中に死亡するという事件も起きている。

移民制度はこうしたらいい、と一口には言えない複雑な問題だけど、私はこう伝えたい。敵対心や利己主義、恐怖心から分断をすすめる世界よりも、他人に手をさしのべる優しさや明日への希望、愛に満ちた世界がいい。私はそんな世界に住んでいたい。ベルギーでも、いろんな国から来た人たちと混ざり合って、多様性があるからこそ平和な社会が作れる、それを証明していきたい。

ビザ奮闘記はここら辺で終わりにして、次は5年間お世話になった職場で学んだこと、そしてこれから大学院で何をやるのかなど、別途書きたいと思う。

それでは最後に、晴れてベルギーに行ってきます!といえるようになったことに、乾杯。直接的に・間接的に、応援してくれた皆さま、どうもありがとうございました。何かしらの形で、恩返ししていきます。



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アニゼ亜紀子|サステナブルなまちづくり
私の発信が、何かの役に立てたら嬉しいな。「心の声に耳を傾け、自然体で生きていく。」よりナチュラルで自分らしい暮らしに興味のある方に、今後も日々発見したことを共有していきたいと思います!