![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/44509713/rectangle_large_type_2_72d36da286130936a0af238010d463ec.jpg?width=1200)
副業先生に登壇して頂いているワケ~日経働き方innovationでの事例~
みなさま、こんにちは。
横浜市港北区にある学校法人 高木学園 英理女子学院高等学校の高木暁子と申します。
本日の日本経済新聞オンラインで、本校の「副業先生」の取り組みを紹介して頂きました。民間企業でご活躍のビジネスパーソン(外資系・大手IT企業にお勤めの、上原正太郎さん)が先生としてご登壇、本校で2年前より立ち上げた世界で活躍する女性のための学部"iグローバル部"の生徒たちに「グローバルプレゼンテーション」について教えてくださっています。
今日は、なぜこのような取り組みをしているのか、民間企業出身で現在教育の現場にいる立場の人間として書いてみたいと思います。
高校で学ぶことの位置づけ
私は私立の女子高等学校を経営していて、日々「高校生」が何を・どのように学ぶべきなのかを考えています。
学校を卒業して企業で仕事をしていると、「高校で学ぶこと」がどのような意味を持っていたかについて、記憶が薄れてしまうと思います。ですが、私のように民間企業勤めを経てから「高校」に身を置いている人間は、とりわけ感じるのです。
高校時代の学び、高校時代の出会いが、人生の方向性に大きく影響する
高校を卒業した後の、大学・学部を選ぶのは「高校」時代です。自分が進路を選んだときには、ほとんど周りの大人から言われた記憶はありませんが、この「大学・学部」をどこにするかということが、実は人生の大きな分かれ道である、ということは、もっと強調されるべきだと思っています。
何となく、高校時代の模試の偏差値がこれくらいだから、この大学のこの学部・・・では、後で人生を後悔する確率はかなり高いと思います。
そうではなく、高校時代に学校の中だけでなく、社会の様々な人に接し、世の中には色々な仕事・学問領域があることを知り、自分の関心を発見していく→その結果として、大学・学部を選択する、ということが極めて大切だと思います。高校時代とは、その後の人生の方向性を選択する、きわめて大事な学びの期間だと、私は信じています。
そのためには、学校の外の「社会」にいる方々からも学ばせていただくことが大切です。
社会を・社会から学ぶことのできる環境?
では、実際に現在の「高校」は、広く社会を・社会から学ぶことができる環境でしょうか。
もちろん、学校の先生たちは非常に努力しています。教えることに非常に熱意を持ち、できるだけ良い選択肢を生徒たちに選んでもらえるよう、生徒たちに向き合ってくれています。ですが、学校の先生たちは「学校」という環境の中で生徒たちとともに生活していて、例えばビジネスの世界のこと、行政・政治の世界のことを、直接経験したり知ることは簡単ではありません。
広く社会を・社会から学ぶということは、高校生が、ビジネスの世界や政治の世界など様々な分野で実際に仕事をされている方とも接し、学ぶことが大切だと感じます。しかし、そうした方々が実際に「高校」の現場で教壇に立つことは、制度上難しいのです。というのも、日本の高校で教壇に立つためには、「教員免許」を持っていることが必要だからです。
つまり、この「教員免許」という制度が、学校が広く社会に開かれることを制約してしまうという側面が否定できないのです。
課外授業だったら?!
私は、学校の仕事に携わるようになってすぐの頃から、学校と社会をつなぐことがとても大切だと感じてきました。そして、自分自身がビジネスの世界出身ということもあり、そうした「つなぎ目」の役割を果たすことが、自らの使命であるとも感じています。ですが、先ほどのように、制度の縛りがある・・・
そこで考えたのが
普通の授業では難しくても、「課外授業」という正規の授業外の取り組みであれば、様々な大人の方に先生になって頂けるのでは?
ということでした。学校の正規の授業を教える先生は「教員免許」を持っている必要がある。ですが、部活のように「自由に参加できる」というような取り組みであれば、そこで教えて頂く方については、自由度が格段にあがります。
そこで、今から10年以上前から、「課外活動」という枠の中で、民間企業の方などにご登壇いただいたり、企業と協働で商品開発などに取り組んできました。
”グローバルプレゼンテーション講座”を教えて頂くなら?
2019年。本学園は新しい挑戦を始めました。
創立者・高木君が「社会で信頼され、役立つ女性」を育てたいとスタートしたこの学校の、創立の精神に忠実に。これからの時代の社会で本当に役立つ女性を育てるために、校名を「英理女子学院高等学校」とし、世界に活躍できる女性を育てる教育を始めました。
新しい校名で新しい教育を創っていくときに、どのような力をこの高校で身に付けて欲しいかを、じっくり考えました。そのときに非常に大事だと考える力の一つとして挙げたものが
プレゼンテーション力、それも世界の人の心に訴えかけるプレゼン力
です。私自身、海外留学や日本~外資系企業勤務の経験で、プレゼン力の重要性を痛感していて、高校生にぜひこの力をつけて欲しいと考えました。
そして、そのような力をつける講座を教えて頂く方は、ご自身が世界中のビジネスパーソンにプレゼンを重ねている方が良い、そしてプレゼンだけでなく、世界で生きて行くことは何を意味するか、というようなことも同時に教えて頂きたい
と思っていたのです。
そんな想いで、記事で紹介頂いたようにビジネスパーソンを「副業」という形で募集させて頂きました。
日本の教育現場は、これから大きく変わっていくことが大切だと思っています。そのためには、学校の先生方に加えて、社会のさまざまな分野で活躍している大人がみんなで次世代を導いていくことが、求められているのではないかと思うのです。
横浜の小さな学校から、このような取り組みを今後も継続~発展させていきたいと考えています。