メルヘン【詩】
「メルヘン」
かなしい
かなしい
かなしい
音が
三回して
水たまりの鯉は
のたうちまわっていました
おたまじゃくしは
海の中で目を白黒させていました
砂漠では
珊瑚が立ちつくしていました
枝にかかったわかめが
すっかり干からびていました
らくだは
氷河の上で脚をつるつるさせていました
マンモスが
やしの木の下で汗をかいていました
空を見上げると
大きなエイが飛んでいました
終わりました
と
告げる人は誰もいません
最後の日に
メルヘンは必要ないのです
(2003-11-15)