⑤溜まっている怒りを出そうとすると怖い理由。
いざ溜まっている怒りを出そう、表現しようと思っても
大抵の人は怯んでしまいます。
自分が怒りを出したら、相手を完膚なきまでに叩きのめしてしまうのではないか。
粉々に壊してしまうのではないか。
極限まで追い詰めてしまうのではないか。
なんなら地球が割れるのではないか。と怖れるのです。
でも、具体的にどんなことをして相手に怒るのかを聞くと
「・・・怒鳴ったり、声を荒げたり・・・??」
それはそんなに、相手にものすごい致命的なダメージになることでしょうか。
ならないですよね。
なぜそんなふうに、自分の中の怒りを怖れるのか。
一つは出したことがなくて、埋蔵量も、出方も分からないから。
いざ出したらものすごい嵐が吹き荒れるかも、と怖い。
もう一つは、自分が子供の時に怒られた時、実はそのぐらい怖かったから。
私たちが怒りを表現しようとした時に予感する恐怖は、
子供の時に怒りを向けられて感じた恐怖と結びついています。
大好きで、世話してもらわないと生きていけない人である親に
自分の存在自体に対して怒りをぶつけられたら?
この記事でも書いたような、
親の機嫌が悪いから、
親自身が不安だから、
その捌け口として八つ当たりされ、
怒りをぶつけられるのは子供にとっては本当に怖いことです。
ここまで激しくなくても
友達と喧嘩してしまって、そのことを話したら「あんたが悪かったんでしょ!」と跳ね除けられた、
なんだか突然怒り出した、
目の前で夫婦喧嘩をされた、
コップを倒したら、ものすごい勢いで怒られたり詰られたりした。
そんなことでも、子供にとっては
身体がちぎれて粉々になるような恐怖を感じたり、
とことんまで追い詰められて、打ちのめされて、
何もかもが粉々になるような恐怖を感じるものです
その体験が、自分が誰かに対して強く拒否をしたり、声を荒げた時、
あるいは「それは嫌だ」と伝えるだけでも、
自分が子供時代に傷ついたのと同じように、相手を傷つけてしまっているに違いない、と感じさせてしまうのです。
ですが、昔は昔。
今は今。
大人になった私たちは、適切で健全で、そしてクリエイティブに
怒りを身体の外に出す方法を見つけて実践できます。
少しずつ怒りを表現してみることで、
自分が抱えている怒りへの怖さ、怒りを表現することへの怖さは減っていきます。
そのように効果的な怒りの出し方には
いくつかのポイントがあります。
怒りに表現の場を与え終わったら、
なんの痕跡も、後悔も残さないようにやること。
そのプロセスで、誰も傷つけないようにやること。
これは次の記事で詳しく書いて行きますね。
ちょと番外編として、私の体験談です。
私にとって、すっごく有効で、転換点とも言える体験は
キックボクシングジムで、プロの総合格闘技の選手にミットを受けてもらったことでした。
サンドバッグもいいけど、実際に誰か生身の人間に、
自分の暴力を安全に、そして軽々と受け止めてもらえるインパクトはすごかった。
私がどんなに全力で挑んでも、グローブでなくミットを持ってても
この人がちょっと反撃する気になれば、私なんてひとひねりだわ。
というのが、向き合うとすぐ分かる。
そこから、『私の怒りや暴力でも、世界は全然割れないし壊れない!!』って安心がブワって入って来ました。
まさかそんなふうに自分の感情が動くとは思ってなかったので、
びっくりしました。
でもすっごく面白かったなぁ。
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