カスタマーマーケティングのはじめかた
こんにちは。この記事は、cmkt Advent Calendar2019 (https://adventar.org/calendars/3871)の1日目の記事です。6月にカスタマーマーケティングmeetupを始めてから、カスタマーマーケティングに関心を持ってくれる方が増えてきたと感じます。
カスタマーマーケティングって何?という方や、これから始めたい、という方にとって参考になれば幸いです。
カスタマーマーケティングとは何か
私が「カスタマーマーケティング」という言葉を目にしたのは、たぶん2018年5月のこの記事です。
カスタマーサクセス × マーケティング = カスタマーマーケティング
カスタマーマーケティングとは「カスタマーを獲得した ”後” に彼らに対して行うマーケティング活動のすべて」です。
私自身、自分の業務の中で、既存のユーザーを中心にマーケティングのやり方で活用を支援したり、ユーザーのサクセスを発信したり、ユーザー自身から外部に発信してもらうことは、結果として他の既存ユーザーだけでなく、潜在ユーザーに対しても影響があり、購買決定やオンボーディングを促進するための大きな要素になるということを身をもって体感していました。それだけに、上記の考えたはすごく腑に落ちたのと同時に、同じようなことをアメリカ西海岸のSaaS最先端の人も考えているんだ!とワクワクしました。
そんなこともあって、2019年6月に、カスタマーマーケティングmeetupという勉強会を数名の仲間と一緒に始めることになり、今月4回目を迎えます。
詳しくはこの記事で。
カスタマーマーケティングは、カスタマーサクセスをスケールさせる考え方
さて、カスタマーマーケティングとは、既存の顧客に対して行うマーケティング活動である、というのはもちろん正しいと思うのですが、何のためにそれをやるのか?と考えてみると、やはり答えの一つは「カスタマーサクセス」に行き着きます。
カスタマーサクセスは、自社のプロダクトを活用して顧客のサクセスを支援するための方法ですが、日本のB2Bビジネスでは、ともするとサポートの延長のように思われてしまい、ポストセールスのアカウントサポートのような位置付けとなってしまっているケースも少なくはない印象があります。顧客と一対一で向き合って伴走するハイタッチの「おもてなし」は元来日本文化の得意とするところですが、直接タッチした人にしか影響を及ぼすことができないという課題があることは事実。スケールさせることを考えるのであれば、レバレッジが効くマーケティングのやり方が必要ではないでしょうか。これが、カスタマーマーケティングのスコープの一つめだと私は考えます。
(逆にいうと、ハイタッチができないSMBやB2Cのビジネスでは、カスタマーマーケティングはカスタマーサクセスとほぼイコールになるのかもしれません)
そしてもう一つは、カスタマーサクセスの先にある新規顧客の獲得。カスタマーサクセスをご存知の方にはあまりにも有名な、このホルン型のファネルのループの部分です。
(『サブスクリプション・マーケティング』p.69の図をもとに描かせていただきました)
このループの部分を、ハイタッチではないスケールする方法で、見込み顧客にリーチすることで、既存顧客から新規顧客の獲得の部分のサイクルを意図的に再現する、ということです。すなわち、カスタマーマーケティングとは、カスタマーサクセスをマーケティングの手法でスケールさせるための考え方なのではないか、と現時点で私は考えています。
ちなみに、カスタマーマーケティングの定義についてはいろんな考え方があると思いますし、これが正解というわけでもないと思います。また、現時点で教科書的な答えは存在しないと思います。ぜひ違うご意見があれば教えてください。
マーケティング観点から見たカスタマーマーケティング
一方、マーケティング観点で考えてみると、カスタマーマーケティングは一つのマーケティングの手法でありつつ、従来のマーケティングの考え方とは異なる部分も多いと思います。私の考える違いを3つあげてみました。
1. ユーザーを中心としている
従来マーケティングの指標であったMQLやCVRのような数字をKPIとして施策を考えるのではなく、ユーザーのサクセスストーリーを生み出すことがゴールであると考えます。イベントやコンテンツなど様々なマーケティング手法はありますが、顧客事例ほど強力なマーケティングコンテンツは他にないのではないでしょうか。これを起点とし、マーケティングでスケールさせることが狙いです。なので、測るべきは生み出せるストーリーの質と量になるはず。
2. ユーザーを対象としている
マーケティングは見込み顧客をターゲットとして様々な施策を打つのが通常ですが、カスタマーマーケティングは既存顧客が対象です。既存顧客を対象としつつ、見込み顧客に波及させるで、カスタマーサクセスをマーケティングに活かすことができると言えます。
3. ユーザーのためのマーケティングである
サービスの認知やリード獲得がマーケティングの目的だとすれば、カスタマーマーケティングの目的は、すでに使っているユーザーのサクセスにあります。だからカスタマーマーケティングの施策は、ユーザーにとってもベネフィットがある施策であるという点が大きな違いと言えると思います。
「アドボケイト」としてプロダクトを代弁してもらうことがゴール
マーケティングの手法を使ってカスタマーサクセスをスケールさせるためのステップとしては、3つあると思っています。
1. サクセスさせる
2. ストーリーをスケールさせる
3. 「アドボケイト」としてプロダクトを代弁してもらう
これらのステップの一つ一つについては、また別の機会にぜひ詳細をお伝えしたいと思います(え、、)。
ちなみに、私の考えでは、カスタマーマーケティングは一つの考え方であって、一つ一つの手法はこれまで色々な企業で行われてきた手法と比べて、それほど目新しいものはないと思います。ただ、これまで行われてきたマーケティングやカスタマーサクセスの活動を、カスタマー中心に、アドボケイトをゴールに並べ替えてみて意図的に目指すことで、よりカスタマーサクセスがスケールできるようになり、マーケティングのROIが効果的になるのではないかと思っています。
熱心なファン(アドボケイト)を見つけることから全てが始まる
実はここからが「カスタマーマーケティングのはじめかた」の本題です。
もしあなたが、カスタマーマーケティングという考え方を面白いと思ってくれ、うちでもやってみよう!と思ってくださったならば、逆説的ではありますが、プロダクトの代弁者となってくれるような熱心なファンを探すことを最初にやることをオススメします。アドボケイトを育成したり、発信を促す仕組みを作るには、とても時間がかかります。ペイドのマーケティング施策と異なり、ベンダー側の都合では動いてもらえません。だから、何の施策をやるにせよ、起点としてアドボケイトがすでに存在していると、成功率がすごくアップします。
私が現職であるオートメーション・エニウェアにカスタマーマーケティングの担当者として入社して、まず始めたことは、SNSでつぶやいてくれていたユーザーさんに会いに行くことと、過去のユーザー会のアンケートに熱心なコメントくれた方を探して会いに行くことでした。
そして実際のところ、この方々がユーザーコミュニティのコアなメンバーとなってくれることになりました。
プロダクトが未成熟だったり、まだ活用して成功するところまで行っていないユーザーがほとんどであれば、この活動は成立しないかもしれません。
であれば、まずはプロダクトとユーザーの成熟を待つのも一つの手かもしれません。
ですが、もし少しでもこんな兆候のあるユーザーがいれば、その人はアドボケイトの候補になるかもしれません。見つけたら、ぜひ会いに行ってください!まず盛り上がって楽しいこと間違いなしです。
- 導入事例を快く受けてくれ、熱心に自社のサクセスとプロダクトについて語ってくれるユーザー
- SNSなどで積極的に自社プロダクトについてつぶやいてくれるユーザー
- NPSがハイスコア(9点以上のプロモーター)のユーザー
- 他のコミュニティで活躍しているユーザー。ラッキーにもその人が自社のユーザーになってくれたら、その人はコミュニティの立ち上げの強力な味方になってくれる可能性大です。
こんな人々がユーザーの中にいれば、カスタマーマーケティングは十分成立すること間違いなしです。
ということで、まずは「カスタマーマーケティングのはじめかた」についてお伝えしました。
続きは機会があれば(そして私に気力と余力があれば、、、)またぜひ書いてみたいと思います。
そして、cmkt Advent Calendar2019エントリーお待ちしてます!