カスタマーマーケティングは、BtoBのリファラルを加速させる
こんにちは。この記事は、cmkt Advent Calendar2019の6日目の記事です。
なんと6日間で2回書くことになるとは思っていませんでしたが(笑)、頑張って書いてみます。
はじめにアドボケイトに会いに行く
前回の記事では、カスタマーマーケティングをどうはじめるか、という話を書きました。
ここで私が一番伝えたかったのは、「熱心なファン(アドボケイト)を見つけることから全てが始まる」ということです。
施策を考える前にまず、プロダクトの代弁者となってくれそうなアドボケイト候補を見つけて、その人に会いに行き、熱量を確かめる。なぜその人がプロダクトについて熱く語ってくれるのか、どんなモチベーションで動いているのか、社内でどんな立場なのか、外部に向けた活動に積極的に参加できる体制や意思がありそうか。背景を知った上で、その人の活躍やストーリーを発信するために、どんな施策が適切なのか(自社でできるどんな施策がはまりそうか)を考える。
アドボケイト → ストーリー → 施策
これって、通常のマーケティングの施策とは逆の発想ですよね。通常のマーケティング施策を考える時って、おそらく
ゴール(ターゲットとなるオーディエンスとKPI) → 施策(何をやるか、何を伝えるか)
という感じで考えていくことが多いと思うのですが、アドボケイトを中心としたカスタマーマーケティングの場合、目の前にいる人を起点として施策を考えていった方が、うまくいく確率が高いのではないかと思います。
マーケティングから見たカスタマーマーケティングの意味
では、なぜ上記のようなやり方を取る必要があるのか。
その答えを、マーケティングの観点から考えてみたいと思います。
マーケティングの方法として、例えばデジタルマーケティングとかイベントとかオフラインとかのジャンルがあり、その中でも例えばリスティング広告とかインフルエンサーマーケティングとかソーシャルマーケティングとか、多種多様に細分化したジャンルが色々とあるかと思います。
これらのマーケティング手法は、いかにROIを上げて成果を出すかということが前提になるわけですが、近年言われるのが、企業からの広告メッセージの効果はどんどん下がっているということです。
「ファンベース」で有名なさとなおさんはこう言われています。
仕事柄、宣伝部や広報部の人とよく会うが、その多くが悩んでいる。
キャンペーンなどの短期施策はもちろん、広報リリースやパブリシティ、バズ狙いのコンテンツ、スポット的なデジタル広告、店頭イベントなどの「単発施策」は特に、話題化するのがどんどん困難になってきている。苦労工夫の末に話題になったとしても、数時間から数日で人々の記憶から消え去ってしまうのだ。
しかも現代日本においては、新規顧客へのリーチ(到達)を狙った施策はますます効きづらくなっていく。
だからこそ、新規顧客に直接アプローチするよりも、ファンをベースに新規顧客を呼び込む方法の方が効果が高い、というのが「ファンベース」の考え方ですね。
BtoB購買プロセスの84%は紹介経由
そしてこの、「ファンを経由して新規にリーチする」という考え方が大事なのは、実はB2Cだけではありません。B2Bでは実はより明確なんです。
エデルマンというグローバルで有名なPR代理店によるリサーチ(Edelman trust Barometer)によると、BtoB購買プロセスの約84%が誰かの紹介経由と言われています。
Nearly all B2B decision makers start their journey with a referral. By nearly all, the Edelman Trust Barometer says 84%.
It’s clear that referrals have a higher conversion rate and close faster than deals from other sources. You can see the stats in the infographic plus access the complete report. Even though referral sales are so very valuable it’s surprising a larger percentage of companies don’t have a formal referral program. This study notes only 30% have such a program.
BtoBの意思決定におけるリファラルの大事さ
奇しくも、昨日のSuccess4の最後のセッションにおいて、青本と呼ばれカスタマーサクセス の教科書となっている『カスタマー・サクセス』の著者、ダン・スタインマン氏がこう言っていました。
プロスペクト(見込み顧客)はもう顧客とすでに話している。つまり我々が意図しようとしまいと、購入前の顧客は、購入後の顧客に話を聞きにいっているし、顧客がまだ使っていない知人に話すのも非常によくある話だという意味だと思います。
そして、企業がカスタマーサクセスに注力すべき理由の一つとして、カスタマーサクセス によってリファラル(ようするに口コミ)が生み出され、顧客獲得につなげられるというビジネスメリットがある、ということを挙げていました。
ダンさんの話については、こちらのnoteをぜひ読んでみてください。
カスタマーマーケティングは、BtoBのリファラルを加速させる
もうお気づきかもしれませんが、カスタマーマーケティングは、このB2Bの意思決定において自然発生しているリファラル(誰かの紹介による購入)を、意図的に再現しようという取り組みです。
ダンさんのセッションでは、このリファラルが生まれる・生成させる仕組みについての言及はありませんでしたが、オーガニックに任せるのではなく、マーケティングの手法によって、よりスケールさせることができるのではないかと私は考えています。
新規顧客への直接のリーチによって顧客を獲得するという従来のマーケティングの方法が効きづらくなった今、カスタマーマーケティングは回りくどいようでいて、実は一番効果的な(そして実は古典的な)マーケティングの方法ではないでしょうか。
だからこそ、発信元となるアドボケイトがいることが一番大事で、その人を起点に、どうスケールさせていくかを考えていく必要があるのだと思います。
ということで、次回はやっと「じゃあ具体的に何をやればいいのか?」について(多分きっと)書きたいと思います。
最後に:よかったら#cmkt アドベントカレンダーにご参戦を!まだ空きがあります。
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