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歌には言葉の壁がある
バレンタインデーに、新しいネットコンサート動画を公開いたしました。2月4日が自分の誕生日(60歳)ということで、自分へのプレゼントです。場所はフィンランドはユヴァスキュラ市にあるStudio Audio。音のマジシャンこと音響技師はJanne Kettunen氏です。隣接するスタジオのスタッフも手を貸してくださいました。
私は表向きはクラシック声楽を歌い、そのジャンルの音楽の指導資格持ちです。本体は単に歌を歌い、好きな曲を弾き語りする人です。
今回の動画で歌っているのはフィンランドのポップスや歌謡曲、さらにスウエーデン語の歌謡曲、「ありのままに」をフィンランド語で歌っています。一曲だけ日本語「想い出がいっぱい」が入っています。
手持ちのレパートリーには子供時代に出会った日本語のフォークソングが多めです。昭和30年代、40年代、50年代の曲と言ったところでしょうか。
フランス語のシャンソンもあります。そしてフィンランド語のレパートリーはたくさんあります。曲が好き、この手でも弾ける曲がある、言葉の語感や詩が好きなのだと思います。フィンランド語に何故惹かれるのか?その疑問を解決すべく、2011年からフィンランド語を学び、5年間、住んでみました。やっぱり「何か」を好きなことを確信しました。
学校教育の中の西洋音楽
いわゆるクラシック音楽は、100年と少し前に日本へ到達した「外来文化」です。明治時代、いきなり「日本を全部西洋化」ということになり、学校制度がもたらされ、「学校で音楽を教える先生」を育成しようと音楽学校が設立されました。(ちなみに伝統文化はポイ捨てされました)
私たちに親しみ深い作曲家はモーツアルトとかベートーヴェン、また歌曲ならシューベルトの歌曲作品などでしょう。魔王は「おなじみ」ですが、それは学校音楽の教科書に常に掲載されているからでしょう。ベートーヴェンの第九も親しまれています。
歌には言葉の壁がある
私が歌っているのは、フィンランド語の歌謡曲やポップスで、現代の同世代の方が作った曲もあります。古めのヒット曲は、当地でのカラオケで学んだ曲です。多くの方に内容は通じないと思います。英語なら少々、ビートルズなら、ということもありそうですが、そもそもフィンランド語がマイナーです。ジャンルとしては定着しているシャンソンも、フランス語ではなく日本語で歌われることが多いことでしょう。
オペラと言うジャンルも、例えば1700年代に生きたモーツアルトがイタリア語やドイツ語に作曲したものだし、イタリアオペラも昔の作曲家のイタリア語作品です。これを日本で上演しよう、となった際(100年位前)「外国語ではわからないから日本語の歌詞をつけよう」となったのは、ごく自然でしょう。とはいえ、「西洋言語語から生まれた音楽」の魅力は、日本語だとまた違ったものになります。西洋で生まれた音楽文化ということは、「西洋の言葉ありき」で生まれた音楽文化であった、と私はとらえています。逆に言えば日本では生れなかったのです。
歌詞と音楽
「いい歌だね」というときには、音楽を聴きつつも、実際には「歌詞」を聞いていることが多い事でしょう。現代の日本のポップスのように、全体の演奏、アレンジ、歌手の表現の仕方、すべてが影響力をもったものになります。でも、その中で「歌詞」は大きな力を持ちます。
となるとぶっちゃけ外国語の歌は理解されない、となります。わからない、とうのが本音。ただ「言葉はわからないが、なんとなく伝わることがある」ということもあります。(だからやめられない)
日本で「歌」が学校教育に取り上げられるようになった時、日本語の曲作りが進みました。問題は、作曲ではなく「歌詞」でした。この詩は子供向けではない、とか、理解が難しい、といったことです。(現在も、歌詞の書き換えが行われています)そもそも子供に詩を与えるのかどうかということも問題点であり、文学界において、子供向けの詩をとりあつかった雑誌が生まれたそうです。
歌詞を通した言語の紹介
フィンランド(留学)から戻り、伝えたいことが沢山ある事に気が付きました。その中のひとつは歌詞の訳。さらに、多言語話者ならぬ、多言語歌手としては、言葉を紹介するのも宿題なのかもしれません。語学を学んだだけで言語学者ではありませんが、クラシックもポップスも無関係に「世界にはこういう言語もある」ということをそろそろ伝えるべきではないか、と。
フィンランド語おもしろいですよ♪ お勧めします。
こちら動画のリンクです。
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https://www.youtube.com/watch?v=KXNi_g3WnUg&t=202s