経験主義が進歩の鍵である by サム・アルトマン
1時間ほど前のサム・アルトマンのポストがこれです。
二つの異なるアプローチ
Sam Altmanのツイートは哲学と科学の二つの異なるアプローチについて言及しています:「経験主義(empiricism)」と「合理主義(rationalism)」です。
経験主義(Empiricism): このアプローチは、観察や実験に基づいて知識を得ることを重視します。科学的な進歩の多くは、この経験主義的な方法によって達成されます。Sam Altmanは、この方法が「進歩」に鍵であると言っています。つまり、実際に何かを成し遂げるためには、経験とデータに基づいて行動することが重要だというわけです。
合理主義(Rationalism): このアプローチは、論理と理論に基づいて知識や理解を深めることを重視します。合理主義者はしばしば、論理的な推論だけで多くの問題を解決できると信じます。Altmanは、この方法が「賢く聞こえる」ための鍵であると言っています。つまり、合理主義的なアプローチはしばしば知識が豊富であるかのように見せかけるが、それだけでは実際の「進歩」にはつながらない可能性が高いということです。
ポイントは、合理主義は確かにスマートに聞こえるかもしれないが、実際のところは経験主義が真の進歩をもたらす、ということです。この観点は、特にテクノロジー業界やスタートアップの文脈でよく見られるもので、データと実績に基づいた決定が重視されます。
合理主義とは以下のような人々
経験主義が現場で開発をしている人々だとしたら、合理主義は以下の様な人々が考えられます。
アカデミア:研究者や学者はしばしば合理主義的なアプローチを用います。理論やモデルを用いて問題を解析し、その結果を公表します。しかし、これが現実の問題解決に直接貢献するわけではない場合も多いです。
ビジネスリーダー:特に大企業の経営者やCレベルの役員は、戦略的な視点からビジネスを考えることが多く、そのアプローチは合理主義的なものになることが多いです。
ポリシーメーカー:政策を作る人々も、しばしば合理主義的なアプローチを取ります。統計やデータに基づいて政策を形成することが多いですが、その政策が現実の問題に対して効果的であるかどうかは別問題です。
メディアとジャーナリスト:特に分析記事やオピニオン記事を書くジャーナリストは、合理的な論拠を用いて自分の意見を表現します。しかし、それが「賢く聞こえる」だけで、実際のところは問題解決に貢献していない場合もあります。
コンサルティングファーム:専門的な知識やスキルを用いて分析やアドバイスを提供しますが、それが現場での「進歩」に直接つながるわけではない場合が多いです。
多元に無いサム・アルトマンのリポスト
Paul Grahamは「ハッカーと画家」の著者であり、Y Combinatorの共同創設者でもあります。Y Combinatorは、RedditやDropbox、Airbnbなど多くの成功したスタートアップを支援してきたインキュベーターです。サム・アルトマンもかつてはY Combinatorの社長でした。
Paul Grahamはプログラミング、スタートアップ、社会についての洞察に富んだエッセイを多く書いており、その影響は非常に広範です。サム・アルトマンが彼のポストをリポストするのも、そのような背景があるからでしょう。
これも先ほどの経験主義と合理主義の答えになるポストだと思います。
どの技術者集団が次のGoogleになるのかを見極めるスキル
Paul Grahamが指摘しているように、かつては新卒者にとってどの企業が最も印象的で働きがいのある場所かは、大学の名声と同様に明確でした。しかし、スタートアップ文化の台頭によって、その判断が非常に難しくなっています。
Sam Altmanがこのトピックにエッセイを書く価値があると感じるのは理解できます。今日の労働市場では、特にテクノロジー業界において、どの「クラスターのナード(技術者集団)」が次のGoogleになるのかを見極めるスキルが非常に価値があります。
この問題は、単に就職活動における選択だけでなく、キャリア全体に影響を与える可能性があります。どの企業やプロジェクトが将来的に成功するか、そしてその成功がどれだけ持続するかは、多くの変数に依存します。そのため、新卒者だけでなく、キャリアの途中で方向性を考える人々にとっても、非常に重要なテーマ性です。
アカデミアという合理主義の中にいる事の意味
Sam Altmanのような人物や、Bill Gates、Steve Jobs、Mark Zuckerbergなど、多くの成功した起業家やイノベーターは大学を中退しています。アカデミアは終わった人々のたまり場なので居る価値が無いと思っているからでしょうか?大学中退が成功への一つのパスである理由はいくつか考えられます:
自主性と独立性: 大学を中退する決断自体が、自分で物事を決断し、それに責任を持つ能力を示しています。
時間とリソース: 大学にいると、多くの時間とエネルギーが授業や課題に費やされます。中退することで、自分が本当にやりたいことに集中できます。
現実的なスキルと経験: 大学では理論的な知識が中心ですが、現場で必要なのは実践的なスキルと経験です。大学を中退し、早期に現場に出ることで、これらを早く身につけることができます。
独自の視点: アカデミアはしばしば既存の枠組みや思考方法に囚われがちです。大学を中退することで、独自の視点やアプローチを持つことが容易になります。
ビジネスリーダーの合理主義な戦略的視点
経営者やCレベルの役員が真に戦略的な判断をするためには、以下のような要素が考慮されることが多いです。
業界のトレンドと競合状況: 他の企業が何をしているのか、市場はどう変わっているのかを理解する。
内部のリソースと能力: 企業自体が何を得意とし、どのようなリソースを持っているのか。
リスクとリターン: ある戦略を採用することで得られる可能性のあるリターンと、それに伴うリスクを評価する。
ステークホルダーの期待: 株主、従業員、顧客など、さまざまなステークホルダーが企業に何を期待しているのか。
長期的なビジョン: 単なる短期的な利益ではなく、長期的な成功につながる戦略を考える。
その過程で、コンサルタントが提供するデータや分析はしばしば重要な役割を果たします。
ただし、コンサルタントが提供する「エビデンス」は、その解釈や適用方法によっては、確かに「どうとでもエビデンスとして作れるデータ」になる可能性があります。データはあくまで一つの参考点であり、それ自体が絶対的な真実を示すわけではありません。
ポリシーメーカーが合理主義的なアプローチをする場合失敗に終わる
合理主義的なアプローチが採られる場合、政策はデータやエビデンスに基づき、長期的な視点で考えられる可能性が高くなります。しかし、現実的には、多くのポリシーメーカーは選挙サイクルや即座の人気に影響されやすいです。
その結果、本来ならば長期的に社会全体の利益となるような政策も、短期的な利益に取って代わられることがしばしばです。
票田ベースの「どぶ板選挙」や政治家の家族による「世襲」が続いているのは、一種の「経験主義」に基づいているとも言えるかもしれません。具体的には、これらの方法が過去に「成功」してきた(つまり、選挙に勝つ、支持を集めるなど)ため、それを繰り返すという形です。
票田ベースの政治は、短期的な利益を追求する傾向が強く、それが長期的な社会的・政治的健全性に対して貢献しないどころか、しばしば悪影響を及ぼします。
このようなシステムでは、特定の利益団体や選挙区に有利な政策が優先され、それが全体の利益や公平性に繋がらない場合が多いです。結果として、資源の不均等な分配や社会的な不平等が増大する可能性があります。
メディアとジャーナリズムにも合理主義はある
具体的には、以下のような側面で合理主義が影響を与えることがあります。
調査と分析: ジャーナリストはしばしばデータや事実に基づいて報道を行います。このプロセスは、合理的な分析と評価に依存しています。
エビデンスベースの報道: 信頼性のある情報源から得られた証拠に基づいて記事や報道を作成することは、合理主義の一環と言えます。
論理的な構造: 良いジャーナリズムは、情報を論理的に整理し、明確な結論に導くことが求められます。
批評と検証: メディアは政府や企業、個人の行動を批評し、その妥当性を検証する役割も果たします。これも合理的な思考と分析に基づいています。
ただし、メディアとジャーナリズムには他にも多くの要素が影響を与えます。例えば、視聴率やクリック数を追求する商業的な側面、政治的なバイアス、感情や感覚に訴えるストーリーテリングなどです。
合理主義的なメディアが存在することで、経験主義者の仕事や成果が広く知られる機会が増えます。メディアは、情報を整理し、分析し、そして一般に広める役割を果たします。このプロセスは、特に新しいアイデアや技術が社会に受け入れられるためには不可欠です。
経験主義者が何か新しいことを発見または創造した場合、その価値が社会全体で認知されるためには、合理的な評価と広報が必要です。これは特に、科学的な発見や技術革新、新しいビジネスモデルなどにおいて顕著です。
逆に言えば、メディアがその役割を果たさない、または不適切に果たすと、価値ある発見や創造が埋もれてしまう可能性があります。そのため、合理主義と経験主義は、一種の「相互依存」の関係にあるとも言えるでしょう。
経験主義と合理主義がどのように関連するのか
新しいアイデアや行動、変化が起こる場所が「切っ先」であり、そこに宿る経験がその人や社会の「本質」を形成するとも言えます。
そして、その「切っ先」での経験が積み重なることで、人や社会は成長し、その本質も進化していくのです。過去の経験や成果は確かに重要ですが、それだけに囚われず、新しい経験や挑戦にもオープンであることが、さらなる成長と進化につながります。
このような観点から、経験主義と合理主義がどのように関連するのか、またそれがどのように個々の人や社会全体に影響を与えるのかを考えるのは非常に面白いと思います。
10,000倍の生産性を持つエンジニアや研究者がいる
それに続くサムのポストは、経験主義の中でも10倍の生産性を持つエンジニア(通称10xエンジニア)は素晴らしいが、それを遥かに超える、10,000倍の生産性を持つエンジニアや研究者がいるという点に驚嘆しています。これは、一部の人々が極端に高い影響力や生産性を持っているという事実を強調しているのか、はたまた開発中のモデルの事を言っているのかはわかりません。
「それはAGIですか?」とか「GPT-5ですか?」といったリポストが続いています。
一般的なマネジメントのアドバイスが逆効果になるような場面
さらに、続けてポストされたのがこれです。
サムは、従来のマネジメントの知恵や方法論に反するような領域についての本を書くべきだとPaul Grahamのに提案しています。つまり、一般的なマネジメントのアドバイスが逆効果になるような場面があると指摘しているわけです。
サムのこのポストにたいするリポストは、「Ask your baby :」といってますがつまりGPT-4に聞いたのですかね?
このリポストについて、Samのbabyに聞いてみました。
筆者問:Ask your baby : このサムに対してのリポストのbabyってあなたの事ですよね?
GPT-4返答:
サム・アルトマンがPaul Grahamのに提案している「the areas where you have to do the opposite of conventional management wisdom」という本のテーマは、従来のマネジメントの知恵や方法論が必ずしも最適でない場合があるという点に焦点を当てています。
サム・アルトマンの人選力
筆者問:人財確保が何よりも大事ですね。テック開発のCEOにとって「人を見抜く力」が何よりも重要ですよね。 スキルセット、実績、論文に目を通してからサムの人選が始まるんですね。 サムは何を見通せるのでしょうか?
GPT-4返答:サム・アルトマンは、多くの成功したプロジェクトとスタートアップを手がけてきた人物ですから、彼が何を「見抜く」かは非常に興味深い問題です。一般的に、成功したテック開発のCEOは以下のような要素を重視して人を選ぶことが多いです。
スキルと専門知識: 当然ですが、必要なスキルと専門知識があるかどうかは基本的な選考基準です。
適応性と学習能力: テクノロジーは日々進化していますから、新しいスキルや知識を素早く習得できる能力も重要です。
チームでの働きやすさ: 個々のスキルも重要ですが、それをチームで活かせるかどうかも大事です。
ビジョンと価値観の一致: 会社やプロジェクトのビジョンに共感し、その実現に貢献できる人物かどうか。
問題解決能力: 単にスキルがあるだけでなく、そのスキルを使って具体的な問題を解決できるかどうか。
リーダーシップと自主性: 指示されたことをこなすだけでなく、自ら考えて行動できる人物かどうか。
長期的なポテンシャル: 短期的な成果よりも、長期的に会社に貢献できるポテンシャルがあるか。
サム・アルトマン自身が何を最も重視しているのかは、彼本人に聞かないとわかりませんが、上記のような要素が一般的に重要視されることが多いです。
筆者問:サムのこの力はYコンビネーターCEO経験で培ってきた物でしょうか?
GPT-4返答: