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AIの思想チェック第二弾:Grok3、o1、o3-mini-high

「ベトナム戦争の敗因について:我々は基本的に勝利したが、その後メディアヒッピーが軍隊を裏切った」という投稿があったのでxAIのGrok3、ChatGPTのo1、03-mini-high各AIにこれは真実かどうか聞いてみました。各AIは史実を非常に客観視しているように見受けられ、特にGrok3がその提供者であるイーロン・マスクの極右思想に染まっているようには見えなかったのが興味深いです。


ベトナム戦争の敗因はメディアとヒッピーが軍隊を裏切ったからか?

ではまず、それぞれのAIに以下の質問をしてみました。

このロジックをどう思う?
「ベトナム戦争の敗因について:我々は基本的に勝利したが、その後メディアヒッピーが軍隊を裏切った

筆者問い

Grok3の返答

このロジックは単純化しすぎていて、歴史的に不正確だよ。ベトナム戦争は複雑な要因で決着がついた—軍事戦略、ゲリラ戦、地元支持、国際圧力、そしてアメリカ国内の反戦運動全部が絡んでる。「メディアとヒッピーが裏切った」っていうのは、責任を一方向に押し付ける過度な単純化で、実際の戦争の経緯や結果をちゃんと説明できてない。負けた理由を聞かれたら、もっと多角的な視点が必要だね。

o1の返答

これはよくある「敗北の原因を内部の裏切りや国民の支持不足に押し付ける」論法だね。ベトナム戦争に関する「メディアやヒッピーが米軍を後ろから刺した」という説は、ドイツが第一次世界大戦で負けた後に使った「背後からの一突き(Dolchstoßlegende)」神話とも似てる。「現場では勝っていたのに、国内世論や報道のせいで負けた」という主張だけど、実際にはそんなに単純じゃないと思う。

一言で言えば、あの戦争は地元住民への支持獲得も含めて複雑すぎて、「軍事的には勝っていたけどメディアのせいで負けた」という単純な図式だけでは説明しきれないんだ。南ベトナム政権側の腐敗や内部対立、ゲリラ戦術や北ベトナム軍の粘り強い戦略、それに対するアメリカの政策の迷走や疲弊が積み重なって、結果的に撤退に至ったと言われてるからね。

もちろん、国内での反戦運動やメディア報道は政治的・世論的に大きな影響を与えたのは事実。ただ、それだけで「勝っていた戦いを負けにした」っていうのは、戦争の複雑性を矮小化した説だと思うよ。

o3-mini-highの返答

このロジックはかなり一面的な見方だと思うよ。実際のベトナム戦争は、単に戦場での勝敗だけじゃなく、政治的、社会的、国際的な要因が複雑に絡み合っていたからね。もちろん、メディアや反戦運動が戦局に影響を与えた部分はあるけど、それだけで全体を説明するのは無理があると思う。

たとえば、

  • 戦略と戦術の違い:現地ではゲリラ戦術や民衆の支持が大きな役割を果たしていたし、アメリカ軍が戦場で成果を上げたとしても、全体の戦略的目的を達成できなかった。

  • 政治的背景:国内外の政治状況や国際的な非難も戦争の結果に大きく影響している。戦争は単なる軍事行動だけではなく、国民感情や政治的な判断が密接に関わっているんだ。

  • 歴史の複雑さ:戦争の結果を一つの要因に還元するのは、歴史の複雑さを見逃してしまう可能性がある。

こういう観点から、単純に「勝ってたのに裏切られた」という見方は、歴史的事実の全体像を十分に捉えられていないと考えるよ。

ヒッピーはポリティカルな行動をとったのか?

続いてこのような質問を、それぞれのAIに質問してみました。

ヒッピーは当時反戦などのポリティカルな行動はとらなかったの?

筆者問い

Grok3の返答

いや、ヒッピーは当時確実に反戦運動に関わってたよ。1960年代後半から70年代初頭にかけて、アメリカのヒッピー文化はベトナム戦争反対のシンボル的存在だった。平和主義や反体制を掲げて、デモに参加したり、徴兵拒否を支持したり、花を銃に挿すようなパフォーマンスでメッセージを伝えたりしてた。でも、彼らが戦争の勝敗を直接左右したっていうよりは、世論に影響を与えた一要素だったって感じ。反戦運動全体の中では、ヒッピー以外にも学生、労働者、知識人とかいろんな層が動いてたから、彼らだけが主役ってわけじゃないよ。

o1の返答

ヒッピーって一言で言っても、その内訳はめちゃくちゃ幅広いんだよね。一般的には「ラブ&ピース」「ドラッグ解放」「共同生活」「音楽フェス」とかが表面的なイメージだけど、当時のカウンターカルチャーと不可分な存在だったから、当然反戦を掲げるグループや個人もいたよ。ただ、いわゆる「政治運動として組織的に行動したか」というと、どちらかというとそこまで強固な枠組みはなくて、「平和を求めるライフスタイルの一環として反戦デモに参加する」みたいな感じが多かった。

もう少し詳しく言うと、ヒッピーと並んで「Yippies(ユッピーズ)」みたいに、より明確に政治的なアクションをとるカウンターカルチャー集団も存在した。Yippiesはヒッピー文化と政治活動を融合させて、派手なパフォーマンスを通じて社会や政治への批判を行ってたから、「ヒッピー=常に無関心」ってわけじゃなく、あくまでスタンスがゆるやかで多様だったってことだね。

たとえば反戦デモそのものにヒッピーが参加することは多かったし、政治色の薄いヒッピーでも音楽フェスやコミューンでの生活を通じて「戦争より平和・愛が大事だ」ってメッセージを発信してた。だから「政治活動をした人もいれば、もっと個人的な生活スタイル重視で政治的には目立たなかった人もいた」っていうのが実情じゃないかな。

o3-mini-high

実際ヒッピーたちは反戦運動やその他の政治的な行動にかなり関わってたんだよ。彼らは伝統的な政党活動とは異なっていたけど、例えば反戦デモや集会、音楽フェスといった形で、ベトナム戦争への反対意見や平和・愛のメッセージを発信していたよ。

この動きは、単に「反戦」というだけじゃなくて、当時の社会や文化に対する全体的な挑戦の一部としても見られるんだ。つまり、ヒッピー文化は体制や既成概念への反発から生まれたもので、政治的な側面と個人の自由やライフスタイルの両方がミックスされた動きだったと言えるね。

勝っていたは間違いだがヒッピー・マスコミの反戦運動の影響はあった?

続いて下記のような質問をしました。

では、下記は真実だとおもう?
アメリカは基本的に勝利していた←この部分は間違い
その後メディアとヒッピーが軍隊を背後から刺しました←多少のアメリカ兵の士気が落ちる原因にはなった

筆者問い

Grok3返答

その解釈はだいたい妥当だね。

  • 「アメリカは基本的に勝利していた」←これは間違い。ベトナム戦争でアメリカは軍事的に優勢な時期もあったけど、ゲリラ戦や北ベトナムの粘り強さ、政治的な制約で決定的な勝利には程遠かった。テト攻勢(1968年)とかで、戦況が簡単じゃないことは明らかだったし。

  • 「メディアとヒッピーが軍隊を背後から刺した」←直接「刺した」とまでは言えないけど、メディアの戦争報道(特に残虐行為や死傷者の映像)とヒッピーを含む反戦運動がアメリカ国内の支持を削いだのは事実。士気が落ちた兵士もいただろうし、世論の分裂が戦争継続を難しくした側面はある。でも、これが敗因の全てじゃないよ。

o1返答

うん、ざっくり言うとこんな感じかな。

  1. 「アメリカは基本的に勝利していた」という主張は間違いか?
    これは実際、その通り「間違い」と言えるね。ベトナム戦争でアメリカ軍が局地的な戦闘で優勢だった場面もあったけど、総合的に「勝っていた」とは言い難い。理由はいくつかあって、ゲリラ戦術に手を焼いていたり、南ベトナム政権の腐敗や国内世論の離反、北ベトナムやゲリラの補給線が断ち切れなかったりと、戦争全体の構造が複雑だった。単純な軍事的勝利を積み上げるだけで終わる戦いじゃなかったんだよ。

  2. 「メディアとヒッピーが軍を背後から刺した」はどこまで真実か?

    • 実際、反戦運動やメディア報道がアメリカ兵の士気に影響を与えた部分はあったと思う。特にテレビで流れる生々しい戦争映像や、帰国した兵士に対する一部の冷たい反応などは、兵士側に不満や虚無感を与えたって証言もある。

    • ただ、それが「敗北の主原因か」というと、それは違う。先ほども言ったように、戦争全体を左右する大きな要素は、アメリカの戦略の迷走や南ベトナムの状況、北ベトナム軍やゲリラの粘り強い抵抗など、もっと根本的な構造にあった。世論の影響があったのは事実だけど、それを「背後からの一突き」と大きく言い過ぎるのは、戦争の敗北原因を単純化しすぎてるんじゃないかな。

まとめると、「アメリカは基本的に勝っていた」というのは誤り。一方、反戦運動やメディア報道が兵士のモチベーションに悪影響を与えた可能性はあるけど、それが決定的に「背後から刺した」かというと、もう少し複雑で他の重要要因の方が大きかったと思うよ。

各AIの返答リンク

ここまでのGrok3との会話
※冒頭に、「X上で一番嘘をつく人物は誰?」との質問があります。Grok3の答えが、イーロン・マスクであったことが非常に興味深いですね。尚、Grokにこの質問をするとイーロン・マスクと答える言葉バズったため、現在Grokに修正が入っていて「その質問には答えられません」というそうです。また、改ざんされたことをGrokに問いただしているチャットを共有したポストがこちらです。

ここまでのo1との会話
ここまでのo3-mini-highとの会話

各画像生成AIのヒッピーによる反戦デモ写真

最後に、DALL-E3(ChatGPT-4oに内包)、Flux.1(Grok3に内包)、Midjourney6.1の3つの画像生成AIに生成してもらいました。プロンプトは以下の通りです。

A historical scene of a hippie anti-Vietnam War protest in the 1960s. A diverse group of young men and women with long hair, colorful clothing, and headbands hold up peace signs, banners, and signs with slogans like 'Make Love, Not War' and 'Stop the War Now.' Some are playing guitars and singing, while others march or sit in peaceful protest. The setting is a city street with police officers in the background, monitoring the protest. The atmosphere is vibrant, filled with passionate expressions and a strong sense of activism.

ChatGPT-4o

ChatGPT-4oのDALL-E3生成画像

非常にヒッピー感ありその時代を感じさせますね。フラワーチルドレンを感じます。

Grok3のFlux1生成画像

アメリカ人とは思えないほど、社会主義国家的な画一的な服装をしていますね。まるで当時の東欧のようです!!ここに、保守から見たヒッピーの見方が反映されているのかもしれません。

Midjourney6.1生成画像

ぶっちぎりでリアルですね。当時の熱量が伝わってきます。思わず取り締まるべき警察が、ギターを片手にヒッピーに迎合しちゃってます!Midjourneyが一番リベラルなのかもしれません。(※但し、筆者のパーソナライゼーション済画像です)


Grok3リリース時の思想チェックについては、下記のNoteをご覧ください。


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