母からの宿題 ~母の被爆体験を語る~被爆者健康手帳交付申請書閲覧願編③
まず、着手すべきことは、
「被爆者援護健康手帳申請書閲覧願」の提出先を調べること。
提出先は2つのどちらか。
広島市か広島県か。
市か県か。
市役所か県庁か。
この道は、申請されたときの居住地でわかれます。
申請されたときの居住地が広島市内なら広島市です。
はい、母は広島市内の住民でした。
が。
手元にある手帳の交付年の居住地は旧市内ではなく、合併前の郡部。
これだと県の管轄です。
交付年は昭和37年。
母が結婚した翌年です。
ん?
確か、母は、
「おばあちゃんが家族分をまとめてもらってきた」と
言ってたよな。
ってことは、結婚する前に申請していたはず。
どーゆーこと?
いきなり???が行く手をはばみます。
手元にある手帳の住所は広島市内。
私が生まれ育った家の住所です。
昭和37年に新婚の母が居住していたのは、また異なる住所です。
むー。
母の居住地を書きだしてみます。
①生まれてから結婚するまで(もちろん被爆時も)広島市段原。
②結婚して広島市吉島。
③昭和36年か37年に安芸郡温品(今は広島市東区温品)に転居。
④昭和47年に安佐郡高陽町(今は広島市安佐北区)に転居。
申請したのが①であれば、閲覧願の提出先は、問題なく市役所です。
②でも広島市。
母の話では①のはず。
しかし、手元の手帳の交付年月日は③。
そして記載されている住所は④。
なんじゃ、この迷路は?
③であれば、今は広島市でも、申請時は郡なので、
願い先は県庁になります。
そして、県に申請したことがある先輩方によると、
どーも、県の対応には凹まされる…と。
市役所の援護課の対応はとても丁寧で手厚いけれど、県は…と、
いえ、県職員さんを責めるわけではありません。
定められた法律に準じて対応くださっているのですから。
「個人情報開示」にあたるため、
申請者が死亡している場合、
開示請求はできず、
死亡情報は開示請求の対象とならない…となるらしいです。
そりゃそうですな。
死んだあとに、許可なく好き勝手に閲覧されるとなったら、
安心して死んでもいられません。
閲覧請求できるのは、
A申請者本人と、B申請時に申請者本人が記載している子どものみ。
ふむふむ…む?
A申請者本人はわかる。
B申請時に申請者本人が記載している子どもって???
まだ結婚する前の母が、申請書類に私の名前を記載しているとでも?
いやはや、個人情報って堅守されてますなぁ。
市で保管されていない場合、
県に保管されているか確認をお願いする流れになるのですが、
この調査には時間が要される様子。
そりゃまぁ、そうだよな。
通常の仕事をしながら、
住民の要望に応えるために書庫だの別棟など出向いて
データをひっくり返して調べるんだろうから。
PCに検索ワードかけて、
ちゃちゃっとわかるシステムじゃないですよね…ね?
…ですよね?
調査の結果「県で保管されていますよ」とわかれば、
「自己情報開示請求書」なるものが郵送されてくるので、
これに必要書類一式を提出して、待つ。
待っていると「開示決定通知書」なるものが届く。
これが届いて三か月以内に請求手続きを行う。
でも、まだ、行く手に壁はある。
これで請求できるのは、
「被爆者健康手帳交付申請書のなかにある私の情報」。
申請書の内容ではなく、申請書に私の名前があるかどうか。
とーぜん、あるわけないので、「請求できません」となる。
でも、「メモ書きが欲しいです」と訴えれば、メモがもらえる…らしい。
コピーでもなく、職員さんのメモ。
これでも、県で保管されていなければメモすら入手できない。
県外の市町村役場へ調査の旅が始まる。
先が見えない上に、最終的に入手できるのはメモ。
いや、このメモこそ重大な鍵でもあるんでしょうが。
この先の見えない旅に出ることに勇気が出ず踏みとどまるか、
先が見えないのだから、とにかく早いとこ一歩ふみだすか、
さ、どっち?
半年前の私なら前者。
しかし、今の私は違う!
こうやってnoteに手順を書いていけるのだから!
…やはり動機は不純。
申請先は市か県か。
市役所か県庁か。
どーすればわかる?
「まずは市に電話してきいてみてください」
前述の所属する会の方に教えてもらいました。
電話はハードル高い?
いや、高いハードルはくぐればいい。
これ、我が娘が放った名言。
広島市の援護課のアドレスを検索した。
便利な世の中。
そのアドレスにメールを書く。
まず自分の氏名・住所・電話番号、
被爆2世であること、
母の被爆体験の伝承をしていること、
母の手帳申請の閲覧をしたいこと、
手元にある母の手帳に記されている番号などの情報…。
数字や漢字は電話よりメールのほうが正確に伝わるであろうし、
調べて回答されるのに折り返しの電話を待つ必要もない。
そもそもすぐに返事があるとは思えない。
読まれず、担当課のPCに埋もれていく運命かもしれない。
そうなったら、そのときこそ、
「〇月〇日にメールで問い合わせたのですが」って電話すればいい。
とりあえず、メールだ。
必要であるだろう情報を打ち込み、
最後に「そちらに保管されていますか?」と質問。
アドレスのアルファベットを3度確認して、
エンターキーをポチッと押して送信。
さ、回答を待つとしようか。