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SDGsを無視する企業が失う4つの意義

企業とSDGs

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月の国連サミットで加盟国193カ国の全会一致で採択されたもので、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標です。2030年までの目標達成に向けて残り10年をきり、今後世界的な潮流としてさらに加速することが予測されます。先に結論として企業がSDGsに取り組む理由を述べるならば「選ばれる」ためです。誰から選ばれるのかという主語については、株主・経営者・社員・顧客・取引先といったすべてのステークホルダーを指します。

4つの意義とは

SDGsに取り組むことで、すべてのステークホルダーから選ばれる企業になるということについて4つの意義から掘り下げたいと思います。

①存在

企業は利益を追求する組織であるとともに、社会の公器であることは経営者や社員の皆様が深く認識されていると思います。ピーター・ドラッカーは「企業にとっての利益の追求が、自動的に社会的責任の遂行を意味しなければならない」と述べています。企業のミッション(What)、ビジョン(Where)、バリュー(How)に加えて、パーパス(Why=なぜ社会に存在するのか)という根源的な存在意義に立ち還る動きが活発になっているように、従来のCSR(Corporate Social Responsibility=企業の社会的責任)のように本業にプラスアルファして社会貢献を行うことから、CSV(Creating Shared Value=共通価値の創造)として本業=社会貢献として事業融合的に捉える考え方にシフトしています。業績が悪化すれば社会貢献は真っ先にカットするという経営方針からESG投資家に見られるようにニュー資本主義として企業のサステナブル経営、長期的思考経営が求められています。すべての企業にとってSDGsに取り組む大義があると言えます。

②顧客

アメリカの経営学者フィリップ・コトラーが提唱するマーケティング3.0にもあるように、世界をより良くするための企業の目的を共有するパートナーとして顧客と協調する流れに変化しています。これまでは製品中心(マーケティング1.0)であったり消費者志向(マーケティング2.0)でしたが、物質的に飽和した現代は製品・サービスの良し悪しでは差別化が図りにくくなっており、顧客も製品・サービスの物質的満足感から社会貢献といった精神的満足感も求める傾向が強くなっています。

③人材

就活先決定者の決定理由の1位が企業の社会的貢献であるという調査結果もあるように、Z世代の報酬・待遇からの価値観の変化が伺えます。1990年代中盤以降に生まれたZ世代はデジタルネイティブで小さい頃に東日本大震災を経験したことから社会問題への意識も高く、学校教育でもSDGsを学んでいることからサステナビリティはもちろんダイバーシティ・インクルージョンも重視するといった傾向が見られます。2025年には日本の労働人口の50%以上をミレニアル世代とZ世代が占めることでさらに企業に求められる価値観が大きく変わるのではないでしょうか。

④市場

SDGsは年間1340兆円、雇用3億8000万人といった非常に大きな市場機会を創出すると言われています。国際的な目標とビジネスチャンスが連動する、(1)食料と農業、(2)都市、(3)エネルギーと材料、(4)健康と福祉、の4つの分野の60の領域がホットスポットとして提示されています。既に多くの企業がSDGsのような世界的・社会的ニーズから事業目標を考えることで新しい市場のヒントを得ています。

SDGsと健康経営

健康経営に関しては、17の目標のうち目標3「すべての人に健康と福祉を」と目標8「働きがいも経済成長も」の2つが関連していると思われていますが、実は半数以上の9つも該当します。具体的には、ヘルスリテラシーは目標4「質の高い教育をみんなに」(ターゲット4,5,7)、女性の健康保持・増進は目標5「ジェンダー平等を実現しよう」(ターゲット1,2,4,5,6,b)、目標10「人や国の不平等をなくそう」(ターゲット1,2,3)、目標12「つくる責任・つかう責任」(ターゲット4,8)、目標13「気候変動に具体的な対策を」(ターゲット1,3)、目標16「平和と公正をすべての人に」(ターゲット1,2,7)、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」(ターゲット17)です。健康経営に取り組むことは、SDGsという世界の潮流に乗り、選ばれる企業としての経営戦略として大変有効な手段です!

SDGsという観点から健康経営という手段まで、すべてのステークホルダーからこれからもさらに選ばれ続ける企業を目指しましょう!

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