法令遵守→CSR→健康経営へ

社員の健康管理の企業の取り組みの変化

社員の健康について話し合う、衛生委員会・安全衛生委員会ではどのような内容で議論がされていますか?一昔前までは、労災の有無、時間外労働時間に季節によって定期健康診断のお知らせくらいだったテーマが、ストレスチェックを起点にコミュニケーションを促進する取り組み、食生活や運動機会の増進など、随分増えたなと感じられているかもしれません。実は社員の健康管理の企業の取り組みが、ここ20年で大きく変化しています。

法令遵守からCSR(企業の社会的責任)へ

1990年代後半に長時間労働でうつ病を発症し自殺に至ってしまい、1996年に東京地裁から企業に1億2600万円の賠償を命じる判決が言い渡されました(電通事件第一審判決)。このことを契機に、社員の健康管理について法令遵守とリスクマネジメントの観点が企業の重要課題として取り組まれることになりました。2000年代に入り、法令遵守の観点のみならず、CSRの観点から社員の健康管理に取り組もうという動きが見られ始めました。CSRとは「corporate social responsibility」の略称で、企業が組織的活動を行うにあたり担うべき社会的責任のことです。企業は経済・社会の重要な構成要素であり、実際に環境活動やボランティア、寄付活動など企業の社会貢献のニュースを目にしない日がないほど、消費者や取引先、地域社会といったステークホルダーに対し多くの取り組みが行われています。そのような文脈の中で、社員も立派なステークホルダーの一員であるとの考えから、さらに積極的に健康管理が捉えられるようになりました。

CSRから健康経営へ

さらに2010年代に入ると、社員の健康管理をコストではなく、企業が成長するための投資として捉えて経営上の重要課題として位置づける健康経営という考えに広がりました。CSRよりも予防や健康増進といったさらに前向きに取り組んでいこうという動きが見られ始め、今日の多彩な広がりに至ります。この広がりは決して雑多なものではなく、あくまで健康経営の基盤は法令遵守にあり、これまでのCSRをすべて包括するものです。法令遵守→CSR→健康経営という変化を労使全員が共有することで、毎月の衛生委員会・安全衛生委員会がリスク回避にとどまらず、真の働きがいや生産性の高まりを目指す場としてポジティブな輪を広げていきましょう!

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