#6 インタビューで使える5つのキラークエスチョン
定性調査のメジャーな手法として活用されるインタビュー。より良いインタビューにするためには、インタビュアーとしてのスタンスや姿勢、作法が何よりも重要です。そういった基礎となる素養に加えて、インタビューを上手に行うためのちょっとしたテクニックもいくつかあります。
今回はそれらのテクニックのうちの一つである“使えるクエスチョン”を5つ紹介します。いずれもインタビューリサーチでの探索活動を助けてくれる定型の質問です。
Q1.ご両親について教えてください
インタビューリサーチで対象者の価値観や潜在的な意識を理解することは非常に重要です。そこで役立つのが両親についての質問です。人は本人が思っている以上に親から強い影響を受けています。親の職業や暮らし方、人格などを聞いていくことで対象者本人の人格や価値観も想像できるようになります。そして子供の頃のご両親との暮らしを聞くとどのように育ってきたのかも分かります。インタビューに答える対象者自身も自分に関することよりも客観的で答えやすく、有用な答えを得られることが多いです。
Q2.スマホを見せてください
スマートフォンでどんなアプリを使っているか、どんなネット行動をしているかは、その人の人柄や好み、行動特性を表します。スマホにその人の生き様が表れていると言っても言い過ぎではないかもしれません。スマホ画面を見せてもらい、よく利用しているアプリの画面を表示しながら説明してもらいます。取材対象者にとっても普段の行動事実を実際の画面を使って話せるので、言語だけでは伝えづらいことも語りやすくなります。最近だとスマホを見せてもらうことが多くなりましたが、スマホのない人などには財布を見せてもらうことで同様に人物像の理解をすることができます。
Q3.もしも〜だったらどうですか?
見栄や謙遜、または緊張などにより取材対象者がホンネを言わないということはよくあります。特に自尊心や警戒心の強い男性にその傾向がある気がします。「どうせ〜だから」「現実的には〜だよね」というように制約や障害があることを言い訳にして本当の欲求を押し隠してしまうのもよくあるケースです。そんなときに効果的なのが『もしも〜だったらどうですか?』という質問です。もしも社長だったら? もしも宝くじで1億円当たったとしたら? もしも10年前に戻れるとしたら? といった「もしも」の質問によって現実的な制約を取り払い、本当のニーズを語らせることができるようになります。
Q4.私は**ですがご自身はどうですか?
例えば、恋愛、健康、お金といったテーマで、ややデリケートな個人の価値観に踏み込もうとするとき、どのような表現で質問すべきかはインタビュアーにとって悩みどころです。聞き方によっては取材対象者が警戒してしまい、本心を語らないといったこともあります。そこで有効なのが「私は**ですが…」という聞き方です。例えば「私はボーナスが入ったらすぐに使っちゃって無駄遣いをしちゃうんですけどご自身はいかがですか?」というような使い方をします。こちらがプライベートな部分を見せたことで取材対象者も警戒が解け、「実は私もそうで…」とか「いや、私はどちらかというと…」と自分のプライベートを本心で語ってくれるようになります。対象者と上手にラポールを築く上でも役立つクエスチョンです。
Q5.100点満点で言うと何点ですか?
「現在の仕事や職場は100点満点でいうと何点ですか?」といった聞き方をすることで、満足度や幸福度のような主観的な感情のレベルを客観的に理解できるようになります。また「現在が**点ということでしたが100点にするには何が必要だと思いますか?」「この点数は以前より上がりましたか?下がりましたか?」というように点数の話題から次の質問に広げていくこともできて、とても便利で使い勝手のいい手法です。
インタビューにはまだまだたくさんのテクニックや作法があります。この4つのクエスチョンさえ覚えておけば大丈夫!というものではありませんが、インタビューの作戦を立てる際にきっと役に立つはずです。ぜひ試してみてください。