#1 知るとつくるをつなげる
ビジネスにおけるリサーチの難しさや失敗の話は尽きません。マーケティングリサーチをはじめとする調査活動において下記のような問題は多くの方々が経験していることではないでしょうか。
・リサーチしたのに新たな発見は何もなかった
・リサーチ自体は面白かったが、その後の施策開発に至らない
・探索や発見ではなく結論ありきのリサーチになってしまう
・目的が共有されずリサーチのフォーカスが散漫になってしまう
以下の記事でも指摘されているようにアンケート、行動ログ、インタビュー、観察、、、など様々なリサーチツールを使いこなすリテラシーの問題もありそうです。
リサーチャーという立場で、これらの課題にアドバイスをするならば、「知ること」と「つくること」をつなげることです。つまり生産活動の前半工程としてのリサーチ、後半工程のデザインと分けて考えるのではなく、アイデアのデザインへと一続きに連なる過程の一部としてリサーチを考えるのです。さらに言うならば人間が空気を吸うように、リサーチは生産活動全体において常に自然に行われる営みだと捉えてもいいかもしれません。
実は本来、知ること(=リサーチ)とつくること(=デザイン)は切り離すことができません。リサーチの過程で同時並行的に解決策のデザインが行われていくこともしばしばありますし、デザインの活動の中にも気づきや学びを得ようとするリサーチ的な活動が含まれます。そしてプロジェクトに真摯に向き合っていけばいくほどに、その境界線は曖昧になっていきます。
ところが現実のビジネスでは多くのリサーチ業務は「知る」という行為に特化して独立した工程として行われます。そこに特化した専門の部門やベンダーがいることがそうさせているのかもしれません。リサーチに関する問題の多くは、リサーチを大きな目的達成のための手段ではなく、リサーチ自体を目的にしてしまっていることにありそうです。
目指すビジネス成果に真っ直ぐに向き合い、信念を持ってリサーチに取り組めば「知る行為」は「つくる行為」と交わるようになり、リサーチはより意味のある活動になるのではないかと思います。
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