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【70】著者の思考をトレースしやすい勉強になる種本『水危機ほんとうの話』沖大幹

未来予想の本をいくつか読んでみると貴重な資源として「水」を挙がってきます

いずれの本でも予測の中核という位置づけではありませんが、他の資源に比べて意識する機会が少ないので印象に残りました。具体的には、人口増加や気候変動により食糧問題が深刻化するが、その際に必要となる水資源の重要性が増すという内容です

さらなる情報を収集するために次の本を選びました

著者は水文学者で東京大学生産技術研究所教授である沖大幹さんです。インターネットで簡単に情報収集してみると、筆者の文献を参考にしている情報が多く見つかりました。この分野の種本という位置づけだと考えています

この本の特徴として、水資源に関する様々なことを網羅的に触れていることや、一般で誤解されているテーマを取り上げて、データに基づいて解説している点があげられます

いずれの点も、非常に理解しやすく、納得性の高いものだったのでこの分野の基礎を学ぶにはとても良い本だと感じました

例えば、古代文明が大河のほとりに生じたと世界史では習うことが多いですが、著者は他の古代文明と大河との関係や農業における水資源の活用実態を踏まえて次のように訂正しています

多雨地域を水源とし海へと流れ込む大河の下流乾燥地域に灌漑農業が発達し、そうした灌漑施設を構築し維持する技術の痕跡が現代に至るまで残っているのを指して我々は古代文明と呼んでいる、と考える方がより核心に迫っているのではないだろうか。

このような点は、単に水資源に関する知識を得るというよりも、物事を考える際に、どのように組み立てるのかという思考のトレース自体が勉強になる内容だと思います

水資源に関する問題に興味がなくても、以上のような観点からも読むことをオススメできる一冊です

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