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初めての落語。「立川志の輔 独演会」を観に行った話。

落語。そう聞くと思い出されるのは、寿限無、まんじゅうこわい、芝浜。タイトルとなんとなくのあらすじを知っているくらい。

…だったのだが、妻が1度落語を観に行ってみたいというので、観に行くことにした。

初めての落語。

『立川志の輔 独演会』

舞台の真ん中に、少し高くした台、そこに敷かれた紫の座布団。

志の輔さんが出てくるのかと思いきや、初めに出てきたのはお弟子さん。

弟子で申し訳ない、とお客の心情をよく理解しているセリフで笑わせて貰った。

よくドラマなどで観る落語の入り方だった。「知ったかぶりをする人が…」みたいな感じ。

お弟子さんの後は「立川志の輔さん」。お弟子さんが話し終わった後に座布団をひっくり返すのが印象的だった。

同じような入りをするのかと思ったら、フリートークのように話し始めた。地元の話や、昨今のインバウンドの状況、スポーツなど、時事ネタが多い。喋る度に笑いが起きる。

ひと通り話したかと思うと、急に話の雰囲気が変わった。初めは何が起こったのか分からなかった。

急に噺が始まった。

壇上にいるのは一人だけ。しかも座布団とマイクだけ。

なのに不思議だ。何人もいるように観える。最後列だったから表情はよく見えなかったのだが、話している雰囲気で、どの役が話しているのかがわかる。

これは、誰が話しているんだ?と意識をする必要が無い。凄い。

そして、さらに驚いたのは2本目。

休憩を挟み、お弟子さんが終わり(お弟子さんも良かった)、2本目。

またフリートークのような話が進み、同じように自然に噺へと入っていく。

話し始めて数分。シーンとなる劇場。落語って笑える話だと、思っていたのは私の勘違いだった。

登場人物は、5,6人いたと思う。

もうその情景が浮かぶどころではない。観えている。映画を観ているみたい。

今こうして思い出しながら書いているが、思い出すのは、映画のような映像だ。

畳が敷かれ、ちょんまげ姿で、刀を持っている。無骨な表情で、まさに現代人が思い描く武士が舞台上にいる。カメラが出演者の周りを移動し、ダイナミックなアクションシーンにも観える。

不思議な感覚だ。

何を観ている、いや聴いているのだ、私は。

もう1度確認しておく。話をしているのは1人だけ。いや、嘘だ。絶対に数人いる。そう観える。

最後列にいたことを忘れさせる程に、志の輔さんが大きく観える。それ以上に、演じている役が大きく具現化して観える。

噺が終わり、噺の説明があった。

ここで、その日1番の驚き。この時に話されたのは「柳田格之進」という噺。

実はこれ「碁盤斬り」という名前で映画化されているというのだ。

その映画は観に行きたいと思っていた。が観に行けていなかった映画だ。

まさか、落語の噺だとは知らなかった。思わず声を上げそうになる位に驚いた。

初めての落語。感動した。いいものを観た。素晴らしかった

いいお酒が吞みたくなった。

【落語の後に観に行った映画『碁盤斬り』の感想はこちら】

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