中小企業診断士とIT支援
中小企業診断士のIT能力
中小企業診断士にはIT能力が高い人も多いです。
図表:中小企業診断士資格以外の保有資格
この理由は中小企業診断士を目指すルートとして、旧制度時代から以下の3つのルートが大きい流れだったりことも関係しています。
製造業ルート
販売業ルート
ITルート
最近は士業ルート、デザイナールート、管理者ルートなど幅広くなってきていますが、全体としてはITルートが多いと思います。私も「応用情報技術者」を取得してから診断士を取得しています。
ただ、一方でITは苦手だという人も非常に多いのも実際のところです。また、ITルートの人で独立している人はかなり少ないです。
中小企業のIT支援需要
中小企業ではIT導入が遅れているのは間違いありません。IT導入はしないといけないとは思っていますけど、売上拡大や人事面の問題に比べると優先度が非常に低いです。
これは中小企業の経営者の年齢が大きく影響しています。基本的に年齢が高めで、ITを避ける人が多いことも理由です。
ただ、最近は事業承継によって若い人も増えだしているので環境が変わるかもしれないと思っていますが・・・
私は独立診断士の中ではIT対応ができるということは認識してもらっているとは思いますが、IT支援でのお仕事で稼いだ金額は10年間で、50万円以下です。
個人的に営業活動をしているわけでもありませんし、民民の仕事を一度もしていないというのはありますが、もちろんこれでは食べていけません。
大阪では独立した中小企業診断士の中で、IT専業でご飯を食べているという人は10人いるのか?っていうレベルです。
東京は需要が大きいので、状況は違うとは思いますが・・・
一方で、ITベンダー・ITコンサルタントとして、診断士を持っていますという人は多くいます。
つまり、ここで言いたいことは、ITの仕事を診断士に頼むという形にはなっていないということです。
中小企業診断士のIT支援の可能性
前述のとおり、需要が少ないので、現状では診断士としてITを中心にして活動しても、全く食べることができません。
ただ、IT支援は非常に可能性があるとは思っています。
WEB系支援(外向きのIT)
WEB系の支援は診断士の取り組みやすいところです。副業での支援もできる部分だったりもします。もちろん本格的に取り組むと本当に時間を取られますが。
HP展開でも、SNSでも診断士のマーケティングノウハウは活用しやすいですし、利益に直結する形にするためにターゲティング、LP展開、ライティングなどは診断士の知見を活かせるところだったりもします。
実際、私はサイトマップ作製から、ライティングの支援も始めていますし、SNS展開のテーマ提案も含めてやっています。
また、企業がHP制作会社に依頼するときの見積もりについてもセカンドオピニオン的に支援するとコストダウンになる確率が高いです。
インフラ系支援(内向きのIT)
インフラ系の支援はとんでもなく時間がかかりますが、価値をすごく出しやすいところです。
診断士の経営全体・業務の流れを把握するノウハウはシステムの要件定義をする上で役立ちます。加えて、工数に基づいてコスト削減効果を図ることも可能です。
各種運用においてもマニュアル作成支援だとか、ルール作りなどで業務の流れに合わせた形づくりの支援も診断士の知見は役立ちます。
コスト面においても中小企業向けの販社がリースで販売しているIT機器やソフトウェアについて、不要だと提案して、新規リースをしないことで、コストを削減したりすることもあります。
ITに弱い会社はリスクを過大にアピールされて、不要だったり、身の丈に合わない設備を入れさせられたりしている場合が多々あります。
診断士がITの仕事を増やしていくには
ITの仕事を増やしていきたいのかどうかということはありますが、まずは診断士をセカンドオピニオンとして使うとメリットがあるアピールをしていくことが必要だと思います。
大企業がシステムを導入する場合は規模も大きく、社内外でチームを組成して、ベンダーと対等でシステム導入を行うことができますが、中小企業はITの知識がある人がいないため、言いなりになってしまいがちです。
IT導入の際には診断士にチェックしてもらうことでメリットがあるというようなアピールをどれだけしていくかになると思います。
診断士を取り込もうとしているITベンダーもいるので、客観性だったり、第三者としての立ち位置を明らかにしていくことも必要になりますが。
それと、ITに強い独立診断士を増やしていくことも必要だとは思います。独立しているIT系の診断士は数もいませんし、ITに弱い人の方が多かったりするので・・・
インフラ系の人に、WEBもできるでしょって軽く振ってしまうぐらいの状況は中小企業と同じで、診断士の世界でも変わらなかったりします。