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中小企業診断士と商店街と事例

事例を頼りにするのは危険

商店街の支援をしていると事例を求められることが多数あります。

国・行政の施策自体も優れた施策を横展開しましょう、いくつかの事例を元にうまく真似をしてくださいという方針なので仕方がないのですが・・・

実際に私も多数の商店街の支援をしたり、個人的に研究もしているのである程度事例は知っているんですが、現実的には役に立たないんですよね。

内部環境、外部環境の両方が全然違うのに、同じ商店街でしょうというのはさすがにそろそろやめてもいいんではないかなと。

事例を知らないことはもっと危険

とはいえ、事例を知らないまま事業をするのはもっと危険です。

実際、活性化のアイデア自体は出尽くしています。
以下は比較的有名な取り組み施策です。

  • 購入ポイント【スタンプ事業(東京:千歳烏山)】

  • 単品強化【一店逸品運動(静岡:呉服町)】

  • 敷居引き下げ【まちゼミ(愛知県:岡崎市)】

  • 複数店利用【街バル(北海道:函館)】

ただ、うまくいっている事例は目立ちますが、やってみてうまくいっていない商店街が山ほどあるので、支援する上ではそっちの方が大切です。

なぜうまくいかないのか、取り組んでうまくいったところの理由はというところですね。「なぜなぜ5回」とか山ほど言われているのに、全然進んでいないように思います。

あと支援をする中では他にも有名な商店街のことを知っておくことも大切ではあります。きれいに見せすぎているので、実態は全然違うということを知っておくことも大切です。

商店街を支援する専門家なんかもう出ない

私は10年前から商店街支援をやっているので続けていますが、新しい診断士で商店街支援をやっている人はいません。

商店街の支援をやっているのも事業再生支援の売上があって食べることができているから、半分趣味でやっているというのが現実です。商店街の支援だけでは全く生活ができません。

補助金で食べている方も過去には多数いたみたいですが、現状はアーケードの新設もありませんし、商店街・行政の両方にお金もありません。
(東京は別かもしれませんけど・・・)

今後、何とかしたいと思っても支援者を確保できなくなるのは間違いないので、問題があるなら今のうちにやっておいた方がいいというのは間違いありません。

事例よりも環境分析が重要

中小企業診断士である、私が商店街を支援する場合は環境分析を重視しています。これは再生支援のスタンスなんだと思いますが。

周辺人口や周辺施設、組合員店舗、組合の財務、5年後・10年後の状況などを見た上で、ターゲットを想定して、何を取り組むのかという形ですね。

5年後・10年後を見ると基本的にほとんどの商店街組合は不要になるので、設備投資をするのではなく、できるだけ財務は軽くしていく、解散についても視野に入れながらという支援の形を作っています。

都心部だったり、中心市街地だともちろん違うアプローチをしますし、結局この辺りも環境分析の結果ですね。

調べる時間的負担が大きいので、儲からない仕事が更に儲からなくなるという悪循環・・・

この記事を書こうと思った理由

日曜日に長く支援している商店街地域に関する大学生のプランコンテストを見たので。

WEBなどで成功事例を調べて、提案しているんですが、提案元・提案先両方のバックグラウンドの調査が弱すぎるなぁと思ったので。

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