国際課税の基礎知識3

2までで、国際課税の基礎(どの範囲が税金がかかるのか)を解説してきましたが、これを表にまとめると次のようになります。

この左の状態(もっとも日本であるパターン)だと、日本で全世界の所得を課税します。そしてA国でもB国でも課税されます。このままだと二重課税になってしまうので、これを調整するために法人税の確定申告で「外国税額控除」というものを使います。つまり外国で課税された分は日本の税金で免除してくれると言うことです。しかしながら、外国の税率と日本の税率は違います。例えば、日本の利益が1000万円、A国の利益が1000万円の場合、そして法人税率が日本が30%、A国が10%の場合課税関係はイメージ的に次のようになります。

A国 利益1000万円 税金100万円(*)
日本 利益 2000万円 税金600万円ー(*)=500万円

しかしながら、ここには次の2つの問題が存在します。

どちらが本社なのかわからない場合に日本とA国の課税当局の間で喧嘩になります(つまり、A国を主として考えると、A国で2000万円課税して日本の税金を引くと、10%で計算し直すので逆に税金還付になります)

A国と日本の間で業務委託契約を結ぶことにより、意図的な利益調整ができてしまいます

これらをルールであらかじめ決めておこうということで、それが「租税条約」と言うものです。日本が租税条約を結んでいるのは現在次の国々です。(財務省のHPより)

しかし、、、ここでほとんどの先進国は緑になっていると思いますが、白色の部分はまだまだあります。これらの国がタックスヘイブンとして利用されていると言うことです。またお気づきの方はいると思いますが、この中で(*)のマークが付いている国があります。有名なのはケイマン諸島とかバージン諸島とか言うタックスヘイブンで有名な島々です。これらの国々は、情報は提供するけれど、タックスヘイブンは引き続きやるよと言う国です。これらの国々を使うと、また例題の中の日本とA国の間にこれらの国々をサンドイッチしたりすれば、合法的にタックスヘイブンができてしまいます。

以下、4に続きます。

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