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事実よりも経験を語ることについて

先日行われた国葬で、菅元首相の弔辞が注目されました。

穏やかで朴訥な口調は、首相時代には批判も少なくなかったですが、大事なものを失った悲しみや、これまで目にしてきた光景が、しみじみと伝わってきました。

人の心を動かすのは事実ではなく”主観"であると、こちらのツイートでは分析されていますが、そうだなと感じた経験があります。

芸能人のYouTubeチャンネルで、いわゆる「広告案件」を受けることが少なく無いのですが、大抵は「事実ベースの訴求ポイント」や、特に美容商材では「NGワード」が多く、本人が自由に話せる余地はあまり無いですし、再生数も劣りがちです。

一方で下記の動画は、本人の経験を台本なしでそのまま話したものです。昨年春の公開以来、40万回再生を突破しています。

あくまで本人の経験や主観ベースの情報であり、万人に参考になるような内容ではありませんし、誤りもあるかもしれません。しかし、多くの人に届いたのは事実です。

もちろん、いきなり自分の経験をスラスラと話せるわけがありません。チャ
ンネルを開設して、最初の数ヶ月は台本に沿って話していましたが、徐々に無くしていきました。そちらの方が本人に「向いている」と確信したからです。

試行錯誤しながら伝えたい相手を想い浮かべ、自分の好きなことや価値観を地道に発信し続けた結果だと思います。

しかし、一般の方が「台本なし」で話すのは困難です

いま関わっているこちらのチャンネルでは、博物館の学芸員さんが専門分野や日々の研究成果について紹介しています。

こちらも最初は台本を作っていたのですが、そもそも台本に網羅すべき内容を言語化するのが難しく、大枠だけ決めてアドリブで話して頂くやり方に変えました。

その代わり自分で言うのもなんですが、かなり細かく編集しています。演者が「本当はこういうことが言いたかったはず」と言う観点でストーリーを組み立てています。(ゴーストライターぽさありますね)

学芸員さんは職業柄、事実を伝えることに重きを置きますが、撮影現場や編集では「なぜそれにのめり込んでいるのか」「何が楽しいのか」「ニッチすぎるけどやりがいはあるのか」など、ポジティブ・ネガティブな両方の感情を、怒られない程度に引き出すようにしています。

実は、勝手に裏テーマとして「子供がこの仕事に憧れや興味を持ってもらう」や「世間の理解を増やしお金が回るようにする」点を企んでいます。

事実として、人材や予算不足という課題があるものの、それをストレートに発信し、理解を促すのはなかなかハードルが高い。しかし、1000人に1人ぐらいは、気づいてくれれば良いぐらいな意気込みでやっています。

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ただし最後に。事実よりも経験や主観を語り、相手を惹きつける行為は、フェイクニュースや特定の思想に誘導してしまう危険性も孕んでいます。

アルゴリズムは事実と主観を区別しない。この点を意識せねばと思っています。



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