パワハラだけが問題だった訳ではないのにな…
兵庫県知事選挙が不信任案が可決されて辞職した斎藤元彦前知事が勝利し、知事の座に返り咲いた。
この選挙の勝利によってパワハラはメディアの捏造だったとか、既得権益を壊そうとした斎藤知事を陥れる為に仕組まれたとか、パワハラを無かったことにして全て済まそうとする向きがある。
しかし、百条委員会は斉藤知事のパワハラだけを問題にしたのだろうか?
本当に大事な論点はそこではなかったのではないかと思い、この記事を書く事にしました。
斎藤元彦知事の最大の問題は、自死した元局長が告発をした事を知って犯人探しをし、告発の内容が事実かどうかの第三者による調査が済む前に元局長を処分したことが公益通報者保護法が禁じる「通報者捜し」や、告発者に対する「不利益な取り扱い」に該当するのではないかというところだ。
公益通報者保護法では告発した事によって行政が適正化した効果が高い場合には告発者の非違行為は減免される。
例えば、公共事業を発注する部署で業者から接待を受けて入札情報を流すという事が日常的に行われていた時に自身も接待を受けた事のある職員がこの事実を内部告発して業者との癒着関係が明らかになり、それ以降は同様な行為が無くなった場合、告発した者も非違行為をしていたが、彼の告発があったから止めることが出来たので、その成果を認めて、他の職員より軽い処分とすることが出来るのだ。
兵庫県の例で言えば、仮に元局長に非違行為があったとしても、告発内容の第三者評価が出るまでは処分すべきではなかったのだ。
そもそも、告発文が流布し、公益通報がされた時点で告発者探しを命じたこと自体も公益通報者保護制度の趣旨を毀損しかねない問題ある行動なのだ。
公益通報者保護制度を所管する消費者庁は違反者に対して罰則を設ける法改正の検討も始めている中で、告発者を一方的に処分したことの是非はしっかりと考えないとならないだろう。
兵庫県議会の百条委員会は終わらずに続くようなので、この辺りもはっきりとさせる必要があるだろう。
パワハラがあったかどうかよりも、告発があった時に公益通報者保護法に違反して犯人を探し、告発者を処分するという事をしたことを問題にすべきだったのだ。
制度自体を歪めるような行動を許すべきではない。
そこが有権者に全く伝わらなかった事は残念でならない。
県議会のみなさん、百条委員会、脅迫に負けることなく頑張って欲しい。