マスコミへの告発も公益通報者保護法の対象になりますよ!

昨日の記事に対するコメントに自死した元局長は報道機関に告発文を送っていて正規の告発ではないというものがいくつもあった。
X(旧Twitter)のポストでもそういう書き込みが多くあるので、今日はそのことについて改めて説明する。
公益通報者保護法では通報先として、1.事業者内部、2.権限を有する行政機関等、3.その他の外部通報先を定めていて、それぞれ1号通報、2号通報、3号通報と呼んでいる。
報道機関は3号通報に該当し、消費者庁のHPにも「その他の外部通報先は~報道機関や消費者団体等が該当します。」としっかりと記載されているのだ。
ここは押さえておいてもらいたい重要な点である。

その上で昨日も書いたが、元局長は3号通報者として保護される対象であったのだ。
それにもかかわらず、斎藤知事は副知事に対して犯人捜しを指示し、通報したこととは別の理由を見つけて元局長を処分したのだ。
公益通報者を保護する目的は通報することで不利益処分を受ける事が無いようにすることで、不正等に気がついた者が通報しやすいようにして、社会の健全性を保つことです。
また、通報した内容が間違っていたり、誤解であったりした場合でも通報者が虚偽の通報をしたり、他人を誹謗中傷する等の不正目的での通報で無い限りは通報者を処分してはならないのだ。
公益通報者保護制度で大事なことは通報した内容が公益に資するものかどうかということで通報者が過去に不正を行っていた者であろうと通報の手段が内部だろうと外部だろうと関係が無いということだ。
今回の通報者である元局長に対する誹謗中傷が選挙中に行われたが、元局長がプライベートで何していようが関係ないことで、元局長が通報した7つの疑惑について事実関係を明らかにすることが優先されるべきなのだ。
その点では斎藤知事本人が否定しているから事実ではないということにはならず、第三者による検証がしっかりと行われる必要があるのだ。

以上のことから、斎藤知事の取った最大の問題は昨日も書いた通り、パワハラをしたかどうかではなく、公益通報があったことを受けての対応が公益通報制度を根底からひっくり返すようなことをしてしまったことなのだ。
報道機関に告発文が配られていることを知り、犯人捜しを始め、通報者が特定出来たらPCを押収して中を調べ、そして、懲戒処分にするという……
これが許されてしまうと通報したことが知られたら通報内容について調べられる前に自分が処分されてしまうと誰もが萎縮してしまい公益通報が行われなくなってしまう。
非常に問題ある行為だったと指摘しておきたい。
その上で、報道機関がそのことをきちんと伝えていたのだろうかというと甚だ疑問だ。
元局長が告発した中にパワハラの記載もあった。
20m歩かされただけで怒鳴られたとか、机をたたくとか、夜中でも業務指示のLINEがくるとかイメージしやすいからテレビ受けが良いと思って報道したのだろう。また、特産品などをおねだりしていたというのも分かりやすいだろう。
しかし、これらは事実だったとして問題行為ではあるが、国や行政の制度を歪めるものではなく個人の資質の問題に過ぎない。
それなのに、マスコミ報道は視聴者に分かりやすいものに飛びついて、公益通報制度を歪めることになる点について熱心に報道する姿勢になかったのではないか。
元局長への誹謗中傷が激しくなってしまったのも、パワハラ疑惑に注目が集まりすぎたために通報した元局長の個人の資質に問題があるという批判を呼ぶことになったのではないだろうか。
通報者が誰かの犯人捜しをすること自体が公益通報者制度を歪めることにつながるのであって、通報者の資質等は関係ないとの報道があってしかるべきだったのにそれがなかったことが残念でならない。
これがスタンダードな意見になっていれば、選挙の結果は変わっていたと思うが、通報者に対する信頼みたいなところに持ち込まれてしまったことは大きな敗因だろうと考える。
いずれにしても、百条委員会は継続していて、7つの疑惑について調査が終わっているとは言えない状況だと考える。
このまま有耶無耶に終わらせるのではなく、内容についてしっかりとした調査が実施されることを期待する。
少なくとも補助金を増額してパーティー券を大量購入させたことやオリックスの優勝パレードで補助金を増額して協賛金をキックバックさせるなど利益相反や贈収賄にあたる可能性のあることはきちんと調査し、真実を明らかにすべきだと考える。

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